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賢者の剣  作者: 陽山純樹
竜の楽園

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新たな道

「魔力の鎖であるため、力では対抗できないと考えたのか?」


 俺の拘束魔法を受けながら、超然とフォルファが言う。


「竜魔石の力を用いずとも動きを止めるできるようだが、これもまた無意味だ」

「そうかな?」

「お前の力は確かに凄まじい。それは認めよう。しかし、この鎖に宿せる魔力には限界があるはずだ。脱するのは容易い」


 ――彼女の言うとおり、魔法には一度に注げる魔力というものに限界がある。もちろん下級魔法でも俺なら相当な威力を出すことは可能だが、相当な身体強化を行えるフォルファならば、魔法による拘束も引きちぎってしまうだろう。


「確かに、今の状況だったら簡単に拘束は外れる」


 直後、フォルファの背後にレスベイルが降り立った。


「だが、レスベイルと組み合わせれば話は別だ」


 刹那、魔力が膨らみ――レスベイルの魔力と合わせる。


 まだ訓練途中ではあるが、レスベイルと俺の魔力を組み合わせ魔法を放つという手法だ。まだ少々時間が掛かるし色々と課題もあるが、今回については問題なさそうだ。


 光が、一瞬でフォルファを拘束する。その力に竜精も動きを縫い止められてしまったようだ。


「ぐっ……」

「さすがに、神霊の力を宿した精霊と組み合わせれば、キツイらしいな」


 そう述べた時、俺の背後――そこに恐ろしいまでの魔力が生じた。ロミルダがいよいよ攻撃を仕掛ける。


「この状況下で、攻撃を食らったらどうなる?」

「……やってみるがいい」


 不適な笑み。大した自信、と言いたいところだが、その実余裕がないことを俺は半ば察せられた。


「――ロミルダ!」


 名を呼んだ瞬間、魔力が解放される。俺が『無明睡蓮』を使用した時と同じように、振動すら生じさせるほどの魔力。


 皇帝の竜魔石を取り込んだことにより――その力は恐ろしいほどに上がっている。振り返れば、ロミルダの頭上に球体上の魔力の塊が存在していた。紫色を放つそれは、天使の遺跡で竜魔石を発見した時のような、吸い込まれるような美麗さを放っている。


 彼女は俺に視線を向ける。こちらが頷くと――球体を放つべく構えた。


「今ならまだ間に合うぞ。降参してくれないか?」


 フォルファに問う。だが竜精は何も答えない。意地になっているのか……それとも、言葉をなくしているのか。

 拒否という意思表示だと俺は理解し、もう一度ロミルダに向け大きく頷き――彼女の魔力が、俺達へ向け放たれた。


 直後、フォルファのうめき声のようなものが聞こえた気がして――広間が、鮮やかな紫に覆われた。






 光は爆発し、それが広間に轟音と衝撃をもたらす。ソフィア達は大丈夫だろうかと一瞬考えたが……最後に頷く前、アナスタシアがフォローに入っているのは見えたので、大丈夫だと思い直す。


 そして、俺とフォルファは爆心地にいた。どうなったかというと――


「……なぜ、助けた」


 光が消える。俺が無茶をやって部屋は半分ボロボロになったが、ロミルダの光によってもう半分も大きく損傷していた。


 俺はフォルファの言葉に返答せず、別のことを口にする。


「……相殺してみたけど、余波が部屋の中に拡散してしまったな。ソフィア、アナスタシア――」

「無事じゃよ。いやしかし、凄まじいな」


 見れば、アナスタシアとその背後にソフィア。両者共に怪我はない様子。

 そしてロミルダも無事。ここで、俺はフォルファに言葉を向けた。


「言ったはずだ。俺はあんたに協力をお願いしにきた。消えてもらっちゃ困るんだよ」


 ――ロミルダの攻撃は驚異的だった。そして俺は彼女の攻撃を防ぎ、フォルファを守った。


 俺の魔力障壁なら剣である程度威力を殺せば完全に防ぎきる。下手するとロミルダ自身が攻撃の余波で怪我する可能性もあったが、そこはレスベイルが盾となってフォローした。まあ、放っておいても問題なかった気はするけど。


「今の攻撃で、納得はできたか?」


 そして問い掛ける。フォルファはしばし沈黙を守っていたが……やがて、


「死を直感したほどの力だった。認めないわけにはいかないな」


 苦笑しながら竜精は語った。


「いいだろう、その力……裏をかくことができれば打倒できるかもしれん」

「よし、交渉成立だ。あ、もし何か望むものがあれば、協力と引き換えに対価として支払うよ」

「考えておこう」


 わずかに笑みを見せフォルファは言う。ここで俺はアナスタシアに目を向ける。


「これでどうだ?」

「上等じゃな。うむ、ルオン殿の全力が見れてよかったぞ」


 満足そうな侯爵の顔。フォルファの実力についても検証できただろうし、とりあえずここでやるべきことは終わりだな。


「それじゃあ戻ることにしよう……と、帰り道も魔物については注意しないといけないな」

「それと、できればこの遺跡に眠る竜魔石も回収したいところじゃな」


 アナスタシアが言及。確かに――俺はフォルファに尋ねる。


「竜魔石とかはあるのか? 道中、特殊な魔力があることに気付いたんだが」

「そうした物があるにはある。ただ、特殊な魔力という点については、私にもわからない」

「わからない?」

「私はこの場所を利用し眠っていただけで、ここがどういう形で作られたものなのかなど、わからないことも多い」


 なるほど……それ、調べるとしたら時間掛かるのかな?


「それと、魔物については私がいればどうとでもなるぞ」

「お、本当か? なら、少し遺跡内を調べてもいいか……フォルファ、協力してもらえないか?」

「いいだろう」


 一気に協力的になった。そうと決まれば――


「アナスタシア、特殊な魔力については何かわかることはあるのか?」

「具体的にどうこう言える状況にはないが……この部屋に入った直後、そうした力が多く存在しているような気がしたぞ。道中、奥へ行けば行くほどそうした魔力が強くなっていく感じがしたことを踏まえれば、この部屋にヒントがありそうじゃが……」


 彼女はきょろきょろと部屋を見回す。


「しかし、改めて見るとひどいもんじゃのう。崩れることはないと思うが、さっさと退散すべきじゃろうか」

「でも、一番奥が怪しいなら、調べないと――」


 そう俺が言った時だった。


 最初に『無明睡蓮』を放ち、フォルファを吹き飛ばしたことにより生じたヒビ……つまり彼女が打ち付けられボロボロになった壁面が、大きく崩れた。

 俺の攻撃に加え、ロミルダの攻撃によりトドメを刺してしまったらしい。その奥は単なる岩壁だろうし、見る必要もない……と思った。


 だが、奥から現れたのは――通路。


「は?」


 まさか、と思い二度見した。通路がある。


「……ほう、これは興味深いのう」


 アナスタシアが通路を眺め、笑う。


「ルオン殿は運も持っているようじゃな。手掛かりが得られるかもしれん」

「ちょっと待てって……つまり、この遺跡にはまだ続きがあるってことか?」


 こんなの物語の中にはなかったぞ。


「フォルファ、これについては知っていたのか?」

「いや、把握していなかった」


 俺の質問に竜精はそう答える。


「それに、構造物も少し違うな」


 言葉通り、よくよく見れば大理石のような白い素材から青い物に変化している。


「色々と想像をかき立てられる状況じゃな。さて、ルオン殿。どうする?」


 アナスタシアに問われ、俺は仲間を見返す。ソフィアやロミルダは小さく頷き、フォルファは俺の決断に従うような雰囲気。


 そしてアナスタシアは言わずもがな……よって、選択肢は一つだった。


「ここまで来たんだ。先に進むことにしようか――」


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