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賢者の剣  作者: 陽山純樹
竜の楽園

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竜魔石の活用法

「それでルオン様、ロミルダさんについてはどうされるのですか?」


 ソフィアが改めて問うと、俺は目を細め額に手をやりながら答える。


「ロミルダのことがネフメイザに知られているのは明白だ。よって、彼女が陣頭に立つのは非常に危険だと思う」

「しかし、彼女には戦う意志がある」

「そうだな……戦う意志があるのなら、俺も止める権利はないよ。ただし、何かしら対策はしておかないと」


 ここで、俺はソフィアに視線を送る。


「……俺は侯爵に言われ相当動き回ることになるだろう。できればソフィアも彼女を支えてほしい」

「もちろんです」


 彼女は頷き、会話を終えた。

 その後、地上に戻りリチャルと相談。一階部分には何もないらしく、戦利品としては三つだ。


「騎士達が遺跡から取り込んだ魔力と、竜魔石にアーティファクト。成果としては上々だ」

「それとルオンさん、騎士の持っていた剣についてだが」


 と、リチャルが口を開く。


「騎士達が所持していた剣には魔力は存在していたが、特別な何かをするような構造ではなかった」

「魔力の吸い上げは、剣の能力ではなく魔法が原因ってわけだな。奴らが遺跡の力を取り込めるとわかったのも、大きな収穫だな」


 問題は、その魔力をどうするかということだ。普通に考えれば人造竜を動かすためというのが理由になりそうだが……。


「それじゃあ戻るか」


 リチャルが言う。俺は頷き、号令を掛ける。


 遺跡を出て、騎士達が使用した魔法を消す。そして飛竜が待機する場へ赴き、飛び立った。


「手に入れた竜魔石は、ルオンさんの武器の素材にでもするか?」


 リチャルの質問。それもまた一つの手ではあるが――


「いや、ここは最強の武具作成に注ごう。俺の武器はあくまで暫定措置でいい」

「いいのか?」

「ああ。切り札を作成することの方が重要だ」

「……疑問なんだが、その武器はルオンさんが使うんじゃないのか?」

「いや、俺じゃない。使用するのは――竜の力を持っている人物になる」


 つまり、皇帝候補――俺が使うという選択肢もあるが、それ以上に皇帝候補と組み合わせることで真の力が発揮されるし、俺が使う場合はネフメイザが対策を立てている可能性もある。

 リチャルはその意見をくみ取ったか頷いた。ソフィアもまた同調するような雰囲気であり……意見は統一されたようだった。






 翌日、エクゾンの屋敷に帰還し、向こうで起こったことを説明。戦利品を見せると、彼は興味深そうに眺めながら言った。


「水晶球とアーティファクトについては調査を開始しよう。そして、かなり純度の高い竜魔石だな」

「さすがに、侯爵が持っている魔石と比べれば劣るか?」

「あれは特別製だからな……この魔石が保有する能力によっては、対抗できるかもしれないが」

「どういうことだ?」


 聞き返すと、エクゾンは説明を始めた。


「私達の竜魔石は、多少ながら加工を施している……というより、魔石に存在する力に合わせて魔法を付与。それにより竜魔石の力を引き出している」

「今回手に入れた物も、そうした加工を行えば真価を発揮するというわけか」

「うむ。その能力によっては、私に勝てる可能性もある……が、どう扱うかは考えなければならない」

「やり方がいくつもあるのか?」

「ああ。竜魔石の使用方法は大別して二種類。一つは私の持っている物のように魔石の力を魔法で引き出す手法。もう一つが魔石そのものを加工して使うこと」


 そこまで言うと、エクゾンは腕を組んだ。


「前者は魔力を解析できれば即座に竜魔石の力を利用することができるのが利点。ただし、どれだけ複雑な術式を組み込んでも、竜魔石は一つ。そのキャパシティ以上のことはできない」

「後者はそれができるのか?」

「その通りだ。要は竜魔石をいくつも組み合わせて強力な力が宿る武器を作るということ。欠点はいくつも竜魔石が必要であるため、即座に作成できない。さらに、もう一つ」

「言わなくてもわかる。複雑なことができなくなるんだろ?」

「その通りだ。竜魔石にはそれぞれ個性とでも呼ぶべき質的な違いが存在するが、竜魔石同士と組み合わせるとそれがなくなる。よって、組み合わせた竜魔石によってできるのは、使用者の魔力増幅や身体能力増強など、限定される」

「逆に言えば、使用者が特殊な能力だったりすれば真価を発揮する」

「かもしれんな」


 エクゾンは腕組みをやめ、俺に言及。


「先ほど報告を受けたが……あの少女は素質がありそうだな」

「皇帝候補である以上、その力は本物だと断定してもいい」

「彼女をどうする?」

「正直、決めかねているよ。ネフメイザが彼女を狙った以上、何かしら事情を握っているのは間違いないから。ただ、彼女に戦う意志はあるから、多少なりとも教えるつもりではある」


 もっとも、ロミルダがどういう能力なのか調べなければきちんと教えられない……ゲームとは違う状況に陥っている可能性が高いし、この辺りは課題だな。


「その辺りで悩んでいたら、相談に乗ろう」


 と、ここでエクゾンは一度話を切った。


「こちらの状況について話そう。シュオンはひとまず何事もないようだ。続いて帝都側も目立った動きはなし。また、君達の武器も数日以内にはできる」

「それが完了したら、俺はひとまず竜魔石集めかな」

「当てはあるのか?」


 問い掛けに、俺は頷いた。


「物語の中に存在していた竜魔石……それに加え、ロミルダが城から逃げる際に情報を偶然手にした。今回手に入れた竜魔石も、そうした中の一つだ」

「ほう、それはいい」

「ただネフメイザ側だって動いているだろうから、どこまで手に入れることができるかわからないけどね」

「ふむ……ならばルオン君、提案があるんだが」

「提案?」


 竜魔石について心当たりでもあるのだろうか。


「ここから南に、私の領地で最も標高の高い山がある」

「山脈が連なっている場所の一つだな」

「そうだ。その山の中に自然洞窟があり、中に竜魔石が存在する」

「既にネフメイザが奪い取っているんじゃないか?」

「いや、その可能性は低い。なぜなら、相当強力な竜人がいるからだ」

「竜人? とりあえず物語の中でその場所は出なかったな」

「そうか」


 間を置くエクゾン。彼は首に手をやりながらさらに続ける。


「竜人……であることは間違いないが、その人物は竜魔石の影響を色濃く受け、その山の周辺で暴れ回っている」

「厄介だから倒して、なおかつ竜魔石を手に入れてくる、ってわけか」

「そうだ。私自ら赴くと竜魔石ごと逃げられてしまってな。対応できないのだ」

「なるほど。で、その竜人というのは?」

「元は帝国の騎士だったが、ある時山に調査に入って竜魔石の魔力に憑りつかれた。これはおよそ、二十年前の話だ。現在誰も山脈地帯には寄りつかなくなっている」


 はた迷惑だな……しかし、面白い話なのに物語には出てこなかったな。


「その騎士、今回の戦いと何か関連はありそうか?」

「二十年前から暴走している騎士だからな。さすがに無関係だろう。ただ」

「ただ?」

「最近、領地内で見慣れない騎士が動いているという話がある。もしかすると、討伐を計画しているのかもしれん」


 ネフメイザが……? ふむ、そういうことなら放っておくのもまずそうだ。


「とはいえ、まだ潜伏している様子。竜人と戦うにはおそらく竜魔石含有の武器が必須だが、その完成までは余裕があるだろう」

「わかった。なら武器が完成したタイミングで向かうことにするよ」


 二つ返事で了承。エクゾンは「よし」と一言告げた後、俺に別の提案をする。


「ユスカ君については、私なりに考えもあるから任せてくれ。彼と行動したいと申し出ているカトラ君も同じだ。それと、竜人はそれなりの強さで厄介な能力を持っているという話だ。彼らは連れて行かない方がいいだろう」

「なら、武器の能力などの確認もかねて、ソフィアと共に行くことにする」

「うむ、頼むぞ」


 話し合いは終了――こうして、次の目標が決まった。


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