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賢者の剣  作者: 陽山純樹
竜の楽園

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宮廷へ

 帝国側が見つけていないという前提で、使い魔を用いロミルダの捜索を開始する――ちなみに、使い魔を同時に操る限界は、実を言うと検証したことがなかった。


 そもそもフルに使うということは、他に回す余裕を失くすということ。戦闘できる状態を維持する場合、その数はある程度は限定しなければならない上、数が多ければそれだけ集中する必要がある。


 ただ、この帝都内ならば少なくとも安全は確保されているし、なおかつ町中に範囲を限定していることから、結構な数を生み出すことができた。ただまあ、最終的な数については途中から数えるのを放棄したので、自分でもよくわからない。


『帝都は広いからな。ルオン殿が生み出した数でもかなり大変だろう』


 ガルクが言う。ベッドの上であぐらをかき使い魔を維持する俺の真正面に出現している。


『しかし、我としても想像以上に数が多いぞ』

「……帝都内に捜索範囲を限定すれば、このくらいは」


 とはいえ、維持するのが大変だ。魔力的に余裕はあるのだが、制御面に限界がある。使い魔は使役する数を高めたり質を上げたりすれば制御が難しくなるのだが、その問題が今の俺に当てはまっている。


 加えどこにいるかもわからない人物を探す、というのが相当神経を使う。使い魔にはロミルダの姿を叩き込んでそれっぽい少女を見つけたら報告するよう指示を出しているのだが……それを逐一確認するだけでも、一苦労。


「というか、ゲームと容姿が同じなのかもわからないんだよな……」


 ボヤくように呟く俺。俺が想像しているのはあくまでゲーム上の姿。それを大きく異なっている場合、はっきり言ってお手上げだ。

 帝国側はその辺りの情報を掴んでいるのかどうか……ここが問題だが、とにかくやれるだけやるしかない。


『見つけた場合、連れて帰ると言っていたな』


 ガルクが言う。俺は使い魔からの報告を受けつつ、返答。


「侯爵は俺の嘘を勘ながら言い当てた人だ。事情を説明したらあっさりと同意してくれるだろ」


 その方が今後のことを考えるとよさそう……と、思ったところで窓を見る。気付けば茜色に染まっていた。


「夕方か……」

『帝国側の捜索部隊についてはどうなっている?』

「それも調べているけど、見つからないな。俺が見逃しているだけかもしれないけど」


 組織の名前は知っているけど、騎士の格好をされていたら見分けがつかない。聞き込みをする兵士とかの姿も発見できたが、どうやら関係なさそう。


「一日で結果を出すというのはさすがに無理って話か……この数を維持しながら眠るのは無理だし、今日はこの辺りで終了か」


 俺は使い魔の数を減らす。ひたすら集中しなくても維持できるくらいの数に。


「……さて」


 ベッドから下りて思う。もう一つの目的……ネフメイザについて調べることだが――


『気配隠しの魔法を使えば問題なさそうに思えるが』


 これはガルクの意見。確かにそうなんだが――


「俺の存在を認知されている可能性を考えると、何かしら対策の一つもしていそうだよな」

『確かに。だがリスクを取らなければ情報は掴めんぞ』


 ガルクの言葉も一理ある……一番問題なのは見つかった場合。無理矢理力押しで突破してもよさそうだが、ネフメイザが何かしら対策を立てていることを考慮すると――


「……まあ、ここで悩んでいても仕方がないか。城に接近し、探知魔法系の仕掛けがないかを確認して、見つからないよう配慮しつつ調べることにしよう」

『うむ』


 ガルクも同意。ということで、夜を待って行動することになった。






 その後も利用できる使い魔でロミルダの捜索を行うが……成果はなし。ただ、夜になってもなお騎士が複数動き回っている姿を確認できた。何かを探している様子なので、おそらく彼女の捜索か……皇帝側も見つけてはいない雰囲気。


 そして、夜も更け町が寝静まった時間。俺は宿をこっそりと出て宮廷へ向け移動を開始する。


『城壁はどう越える?』


 ガルクの問いに、俺はそびえたつ城壁を指差す。


「レスベイルの分析だと、町中では魔力を探知している様子はない。よって、魔法で飛び越える。見張りはいるだろうけど、気配を隠せばいけるだろ」

『我が多少の時間、気配隠しの魔法を維持すればいいんだな』

「ああ。数分と経たずして飛び越える」


 と、いうわけで城壁に近づき実行。気配を消す魔法を行使しバレないようにしてから、風の魔法を行使し空へ跳躍。城壁の上には兵士もいるようだが、それを華麗にスルー。


 一枚城壁を越えると建物の外観なども変わるのだが……それらを全て無視し、俺は先へと進む。道中、物陰に隠れレスベイルで宮廷へ向け魔力探知を行ってみるが……取り立てて問題はなさそうな気配。


『これはあくまで推測だが』


 ふいにガルクが話し出す。


『ルオン殿の実力をネフメイザは把握しているかもしれないが、気配を消し行動できるということまでは推測できないのではないか?』

「そういったことは看破していないと?」

『あるいは、何度もやり直していると仮定した場合……下手に干渉すると危険だと考えたか』


 ――まあ、俺が本気で暴れ出したら帝都がとんでもないことになるのは確か。


『無論、地底に魔力が存在していることからも見つかれば対策を打たれるという可能性もあるが……』

「そうだが、ここまで来たんだ。やるしかないな」


 俺はガルクとの会話を半ば打ち切るように発言すると、城へ歩む。

 やがて三枚目の城壁に辿り着く、ここを超えれば城に入るわけだが……その時、気付く。


「ん?」


 城門が開いている。中からは煌々と光が照らされ、夜中にも関わらず城内はまだ活動中であることを物語っている。

 これは壁を超えずとも入れるか……そちらへ駆け足。近づくと、見張りの兵士が目に入る。当然ながら俺のことは気付いていない。


 そして、城門へ近づく人影。見た目、白銀の鎧を着込んだ騎士数人。


「よお、お疲れ」


 先頭を歩く男性が声を上げると、兵士は敬礼をする。


「お疲れ様です」

「どうも。異常はないか?」

「特に何も」


 俺が目の前にいるが、騎士達も気付いていない。


「まだ他の騎士が出歩いているから、まだ城門は開けたままで頼むぞ」


 そう騎士は言うと他の面々と共に城内へ。俺もまた彼らに追随しようとその後方を歩き出そうとして……ふと、兵士の会話が耳に入った。


「ずいぶんと大変そうだな」

「最近、大臣達の動きがますます変になっているよな……大体、少女なんか探して何になるんだ?」


 ――これはいい情報を聞いた。やっぱりロミルダを見つけていないらしい。俺は心の中で気合を入れ直し、使い魔に発破をかけるように再度指示を出す。


 また会話でわかったこととしては、末端の兵士などだと今回の捜索に疑問を持っているということ。まあこれは当然か。さすがに理由を問われてもネフメイザだって説明するわけにもいかないだろう。


『大臣とは?』


 ガルクからの質問。俺は小さく肩をすくめ、


「たぶんネフメイザの息がかかった人物達だろう。自分が火の粉を被らないように、皇帝を介し大臣達に汚れ仕事をさせていると。ロミルダ捜索もその一つだろう」

『なるほど、徹底しているな』

「その通り。さて……」


 城を見据える。この地下に、竜魔石に関する研究所がある。ゲームにおいてそこはダンジョンになっていた。ネフメイザが本性を現し、イベントをこなした後そこへまずは隠れる。彼を追い主人公達は複雑怪奇な研究所に突入する。


「研究所に行けば、どういうことをしているか察することができるかな」


 そんなことを呟きつつ……俺は中へと入った。


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