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賢者の剣  作者: 陽山純樹
神霊の力

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火の精霊

 南から北へ――色々と寄り道をしたが、俺達はようやくサラマンダーの住処へと辿り着く。見た目はノームの洞窟と同じようなものだが、活火山の麓に存在する場所であるためか、周囲に木々も少なく岩ばかり。


 その中を、レーフィンの先導に従って進む。洞窟内の温度はそこそこ高く、俺達は冷却魔法を使いつつ先へと進む。他の精霊の住処とは異なりここには魔物もいるのだが、はっきり言って弱い。よって、ずいぶんと楽に奥まで到達した。


 まあ俺にとって本番はフェウスの所に行った時なんだろうけど……考えつつ洞窟奥を見回す。溶岩が存在し、いかにもという場所。俺達が沈黙していると、溶岩から精霊が出現した。


「客人のようだが、どうも今までとは趣が違うようだな」


 声を発しながら現れた精霊は、全身を赤い衣服で包んだ赤髪の精霊。整った顔立ちではあるのだが、美形の男性をイメージして作ったと言わんばかりの出来の良すぎる顔は、どこか奇妙に思えてしまうくらいだ。


「どうも、レザディ」


 レーフィンが姿を現したサラマンダー……レザディに声を掛けた。


「サラマンダーは契約者に比肩しうる精霊が名乗り出る……やはりあなたが出てきましたか」

「予想通りといった様子だな。その態度に少しばかり引っ掛かるが……事情がありそうだな」

「ええ」


 その瞬間、ロクトやアマリアも姿を現す。ついでに俺は子ガルクに姿を現すよう呼び掛け――出現したガルクを見て、サラマンダーは驚いた。


「神霊殿まで……まるで、この面子で魔王を討つかのようだな」

「ようだ、ではなくて実際そのつもりですよ」


 そこからレーフィンの説明が始まる。レザディの顔は見る見るうちに変化し――やがて、


「そうか。ならば私も協力せねばなるまい」


 えらく芝居がかった言い方で語る。次いでソフィアに礼を示し、


「魔王を討つべく、このレザディ、協力致します」

「ど、どうも……」


 演技しているように見えて、ソフィアも戸惑う。レザディの方は一切気にしている様子はないが。


「ひとまず何事もなく精霊が新たに加わったわけだが……むしろ、ここからが本番だろ?」


 クウザが発言。何が言いたいのかというと、フェウスとの戦いについてだろう。

 レザディはしばし沈黙した後、語り出す。


「私達は基本、神霊であるフェウス様と交流があるわけではありません。住処は知っていますが、そこからは……」

「わかっているさ。そこからは俺がやる」


 こちらが言うと、レザディは「わかりました」と応じ、場所を語る。


 火山の中腹に存在する洞窟が、その住処らしい。入口から魔力を漂わせ魔物や人払いをしているらしく、おそらく魔物との戦いはないだろうとレザディは語る。


「しかし、接触してどうなるかは……」

「わかっているさ。で、ソフィア達――」

「行きます」

「ボクもついていくぞ」

「私も同行するつもりだ」


 口々に言う仲間達。どうなるかわからないんだけど……というかフェウスと戦闘になった場合、どうするのか。


『そう心配する必要はあるまい』


 ここでガルクが話し出す。


『フェウスとは多少なりとも関わりがあるからわかる。戦うとすれば、結界か何かを作って仲間達を保護するだろう』

「……正々堂々戦うためか?」

『いや、どちらかというと奴の趣味に近い』

「は?」


 意味がわからないので聞き返すと、ガルクはなんだか言いたくなさそうな様子で俺達に告げる。


『言ってみれば奴は、自分の力が至高のもので他の存在は全て下、という認識を心のどこかで持っている。我を相手にしてもその様子であるため、人間なら下に見て当然だろうな』

「……面倒そうだな」

『傲慢とでも言えばいいのかもしれんな。奴からしてみれば、ルオン殿の挑戦は無謀なものであり、勝つことなどできないと、しっかりと教え込んでやろうと考えるだろう』

「結界を張るのは、その性格に関係しているのか?」

『ルオン殿の全力を出させ、絶対に勝てないという事実を刻みこませ刃向う気を失くさせるべく動くと考えたまでだ』


 ああ、なるほどね……この辺りについてはフェウスの出方もあるので出たとこ勝負だな。まあ問答無用で襲い掛かって来ても仲間達を逃がすくらいの時間は稼げるだろう。


 しかし、改めて思うけどこの場にいる全員戦うことを前提に話をしているな。何事もなくフェウスが事情を聞きいれて協力してくれる可能性だって考えられるのだが……いや、ガルクが語るフェウスの性格から考えると、望みは薄いか。


 まあなんというか、俺も一戦やらかすことになりそうな気はしているのだが……不安を抱える中、俺達はフェウスのいる洞窟を目指すことになった。






 サラマンダーの住処を出て数時間後、俺達は目的地へと到着する。山の中腹より少し下程度の場所に、目立たないように入口が存在する。

 幻術なども駆使して、この入口は人間なども入れないようになっているが……サラマンダーのレザディに案内され、洞窟に入り込む。


 中に入った瞬間、僅かに気配が生じる。それがフェウスのものなのかわからないが、少なくとも俺達の存在に気付いたのは確かだろう。

 少し進むと、行き止まりとなった。幻術でここには何もないように思わせているのだろう。


「幻術を解除するには?」

「ここは私が」


 レーフィンが進み出る。見守っていると、彼女は風の魔法を使い旋風を起こす。

 洞窟には似つかわしくない清々しい風が舞う。すると正面にあった岩肌が突如消え、目の前には通路が。


「……一ついいか?」


 ここでクウザが声を上げる。


「この洞窟にいるのは疑っていないが、フェウスって不死鳥だろ? 俺としては非常に大きいイメージを持っているんだが、この洞窟を出入りできるのか?」

「外に出る時は人間他様々なものに擬態するのです。だからこそ、こうした狭い通路で問題ないというわけです」

「ほお、なるほど。まあよくよく考えたらそのくらいの技術は持っているか」


 納得したクウザの声を聞きつつ、前へと進む。サラマンダーの住処のように温度上昇は感じられない。本当に何の変哲もない岩肌の洞窟。神霊の住処にしてはずいぶんと地味だ。


「おそらく私達の登場により、フェウス様も興味を抱かれたことでしょう」


 レザディが語り出す。


「しかし、だからといって私達に協力的かと言えば……むしろ住処に足を踏み入れたことで気が立っている可能性もあります」

「仕方がないさ」


 俺は肩をすくめる――フェウスを味方につければ残るは聖樹コロナレシオン関連だけになる。


 フェウスに協力を取り付けた後アカデミアに向かい、その後大陸の状況を見て判断するべきだが……残っている五大魔族のイベントがまだ終わっていないわけだが、それがどのタイミングで行われるかが今後の焦点となる。


 アカデミアでどういうことを習得するのかはわからないが、精霊の力を利用するとなると、ソフィアの戦力アップは間違いないだろう。後は順調にレベルを上げていけば、魔王とも戦えるレベルに到達するはず。それはシルヴィやクウザも同じだろうか。


 カナンが魔族を倒しつつ兵力の確保に努めているので、南部侵攻に対してもそれなりに対策できるだろう。場合によっては神霊の力を活用しても――いや、俺の力を含め神霊が動き出したという情報を考えると、魔王がどういう動きをするかわからないな。大陸崩壊の魔法を行使する際、神霊への対抗策を講じられる可能性だって否定できない。ここはぐっと堪え、魔法を発動するまでは神霊の存在は隠すべきか。


 つまり俺と神霊は当面魔王にバレないよう準備を進める……これがベストか。


「――いよいよですね」


 その時レザディが呟いた。俺にもわかる。前方から、強い魔力を感じ取ることができる。


 俺にとって神霊との接見は三回目だが、ソフィア達は少なからず緊張しているのか無言となっている。仲間達や精霊達と同行している状態が果たしてどう転ぶか……考えている間に、俺達は最奥らしき場所に到達した。


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