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賢者の剣  作者: 陽山純樹
世界を救う者

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戦いの意味

「ひとまずガルク、切り札については使用できる準備だけしてくれ……できるか?」

『可能だ。ただし敵が星神から力を供給されているという前提でなければ効果は発揮しないぞ』

「準備しただけで終わるかもしれないが……俺達が懸念している通りなら、使うのもやむなしだとは思う」

『わかった。ならばその辺りのことも夜の内に調べておくとしよう』

「わかるのか?」

『魔力の流れを追えばいい。敵の拠点近くで大地から魔力を吸い出している……それが星神の力であるなら、確定と言えるだろう』

「もしそうであったなら……」

『使うしかなさそうだな』

「切り札を失うことで星神との戦い……勝算は変わるか?」

『星神がどういう状態なのか、判断できぬところもあるため判然としないが、痛手であるのは間違いないな』


 ……こちらの切り札を使わせたということから、敵としては今回の戦い意味があったということになりそうだな。


「それが決戦の際に足かせにならなければいいけど」

『ここまでが星神の策であるのなら、我らのリソースを吐き出させるのが目的なのかもしれんな』

「今まで傍観者に徹していた相手だけど、さすがに自分を滅ぼそうとしている相手である以上、万全を期すということか?」

『概念である星神がそこまで考えているのかはわからん。だが、我らの動きに呼応して何かしら動きがあるのは事実だ。魔族を利用したのは……その一端かもしれん』


 既に滅んでしまったので話を聞くことはできないが、結局別世界における『ソフィア』などを召喚したあの魔族は……星神による技術を解析しそれによって俺達を打倒しようとしたけど、最終的に利用されたという形なのだろう。


「星神は、これからも平行世界から人員を呼び寄せるつもりなのだろうか?」

『わからん。今回は手持ちに兵隊がいなかったが故に……そして魔族が技術を持っていたがために利用しようと考えたのかもしれん。どういう意図にせよ、長期戦となればこちらは決戦に使うつもりだったリソースを消費することになる。これを打開するには、早期に敵と決着を付けるほかない』

「放置すれば当然……」

『危険なことになるだろう。あの者達を無視すれば、何をするかわからない』


 ……同一存在というのは非常に面倒だ。現在は敵の動きを捕捉できており、もしこの周辺を離れようとすればすぐにわかるようになっているから大事には至っていない。

 しかし、この場を離れ自由に動けるようになってしまったらどうなるか……見た目は何も変わらない。そもそも同一存在なのだ。いくらでも悪いことはできるだろう。


「正直なところ、相当ヤバいよな、今回の敵は」

『悪意という面を考慮しても、星神のやり方は悪辣だな。それでいて、向こうは相当な策を所有している』

「……たぶんガルクは同じ事を考えていると思うけど、敵の目的は同一存在同士を戦わせることだよな」

『それで間違いないだろう。ルオン殿が敵へ語ったとおり、魔力を流して相手に干渉する。それによって再起不能にすれば、その時点で星神の勝利と言えるだろう』

「つまり敵は是が非でもそれを実行してくる……」

『我らはそれを防ぎつつ、敵と戦わなければならない』


 課題は山積……なおかつ、ガルクはさらに懸念がある様子。


『ルオン殿、天使についてなのだが……』

「ああ、どうした?」

『これはあくまで推測だが、天使や魔族は同一存在でなくとも干渉してくる危険性がある』

「それは、何故だ?」

『魔力の所持量……その差だ。魔力の保有量が大きい竜や天使は、相手側としても魔力を流す量が違う。それによって、干渉できてしまうかもしれん』

「なら次の戦いも人間だけでやるしかないな」

『なおかつ、賢者の血筋を持つ者は回避すべきだ』

「だとすると、かなり人員が絞られるけど……」

「――まあそれでも、やるしかないな」


 ここまで俺とガルクの会話に対し、割って入ったのはデヴァルス。


「敵の目論見の一つを潰すには、それしかない」

「リスクは承知の上で、か……そちらとしては、敵に干渉されるのがもっとも警戒すべきこと、という考えなのか?」

「ああ、それで間違いない」

「何が起きるのか推測できていたりするか?」

「色々あるが、再起不能にするだけなら可愛いものだろう。一番の懸念は洗脳系の魔法だな」

「洗脳……星神の力を使い、寝返らせるということか」

「星神の魔力に対し様々な策と準備をしているが、それでも同一存在などを利用すれば貫通してしまうのかもしれん」

「あくまで可能性の話だけど、十分あり得そうだな……ソフィア」

「はい」

「ソフィアを含め賢者の血筋……エイナやフィリ、アルト、ラディ。そしてオルディア……全員拠点で待機していてくれ」

「大丈夫、ですか?」

「賢者の血筋を持つソフィア達は星神との戦いにおける主戦力なのは間違いない。そこが参戦できないのは大きな痛手だ」


 俺は率直に感想を述べる。ソフィアを含め、この場にいる者達の表情は曇る。


「だが、敵は星神ではない……それどころか、星神から仮初めの体を与えられてはいるが、力の規模としては星神本体と比べれば弱いはずだ」

「それは、そうですが……」

「敵はここまでの戦いで俺達の力量をある程度推察したはずだ。なおかつ、今度こそ本番だということを示し、ソフィア達を引っ張り出そうとしている」

『ああ、それは間違いない』


 ガルクは同調。デヴァルス他、この場にいる者達は一様に頷く。


「それこそ、一番やってはいけないこと……この場は俺を含め、賢者の血筋を持つ人間以外で戦うことにする」


 明言に俺は心の内が決意で満ちるのを自覚する。


「場合によっては俺がフルに力を使う……が、星神としては俺こそ一番警戒すべき相手だろう。実際、幾度も俺の目の前に現れたくらいだからな。一番マークされているのは確実だし、俺にそれをさせることで何か罠が発動するかもしれない」

「では、どうするのですか?」

「敵の策が発動しても問題ないくらいの余力を保って勝つ……星神が直接介入しなければ十分可能だと思う。主戦力は前と同じくリーゼ達……それで、今度こそ決着をつける――」


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