表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
賢者の剣  作者: 陽山純樹
世界を救う者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1035/1082

戦いを楽しむ

「そちらと問答する気はない」


 俺の言及に対し、魔族はそう答えた。


「全ては覇業のため……ここで貴様らを倒す」

「だそうだが、わざわざ魔族に付き従っているのは嫌にならないか?」


 今度は話の矛先を『ソフィア』へ向けてみると、


「マスターと呼べる彼の意見に賛同するかは微妙ですが、星神に反抗しようとする存在を倒そうという意見では一致していますので、問題はないかと」

「……なるほど、な」


 星神打倒という事実が何より罪深いって話か。


「付き従っているわけではないのか?」

「あくまで私達は器に呼び寄せられた意思ではあるため、命令には……あなた方を誅せとの指示には従っていますよ」


 ……向こう側が勝手に内輪揉めするという可能性はなさそうだな。まあそんなことを期待する気もないが。


「なるほど、そちらの状況はわかった」


 俺は一度深呼吸をする。カティは既に周辺を一度は調べたはず。敵の計略が何なのか……まだ不明な点はあるにしろ、それは戦いの中でつかむしかないだろう。


「なら遠慮なく、ここで全てを終わらせる……正直、いよいよ決戦という段階でうんざりしていたところだ。まさかこんな形で妨害してくる輩がいるとは」

「ご愁傷様です」


 敵が臨戦態勢に入る。これまで遭遇してきた敵も相応の強さを所持していたが、この場にいる面々はとりわけ強いと断言できる。

 ここまでの戦い、リーゼ達は難なく敵を撃破していたが、今回ばかりはわからない……そう考えた時、横にリーゼがやってきた。


「心配になった?」

「そりゃあ目の前の敵は相当な強さだからな……それはリーゼもわかるだろ?」

「ええ、それはもう……でも」


 仲間が周囲に集まってくる。こちらもまた臨戦態勢に入り、周囲に魔力が渦巻く。


「これまで、私達がどれほど鍛練を積んできたか」

「……そうだな」


 俺は一歩前に出る。そして距離を開けて対峙する『ソフィア』へ目を移した。


「俺は彼女とこの場に敵を呼び寄せた魔族を倒す……他は頼む」

「ええ」


 同意と共に、俺は走り出した。すかさず周囲にいた竜や魔族、天使が一斉に襲い掛かってこようとしたが――それを阻むようにリーゼ達もまた突撃する。

 敵の拠点は瞬く間に乱戦の様相を呈し、その中で俺は『ソフィア』と相対し――先ほど戦った『エイナ』と同様、まずは刃を合わせた。


 金属音が響き、俺と彼女はせめぎ合いとなる……そして剣越しに相手の目を見た。その瞳に宿っているのは強い意志……そこは紛れもない事実だが、吸い込まれそうな……虚無を宿しているようにも見えた。


「――ここまでの戦いぶりから、あなた方は私達の想定を上回る力を所持している様子」


 彼女が語る間にリーゼ達が武器を振るい敵を蹴散らす……が、さすがに一撃とはいかず、こちらの人数が少ないため包囲される形となる。


「マスター側が保有している情報と比べて、ずいぶんと齟齬がある様子」

「……あんた達は星神に付き従っているわけだろ? 他ならぬ星神から情報を得ようとは思わなかったのか?」

「無論、やりましたよ。そうした情報を得た上で、まだ想定の上だと言っている」


 ……星神が俺達の能力をどこまで把握しているのかわからない。ただ、星神を崇めている存在とはいえ、俺達のことを全て教えてもらったというわけではない。

 これは何を意味するのか? 疑問ではあったが少なくとも敵は俺達の能力をつぶさに把握しているわけではないと理解できた。そうであれば、


「はっ!」


 魔力を込めて『ソフィア』の剣を弾き飛ばす。途端、相手は数歩後退しながら俺を見据える。


「今の攻撃も、予想を上回っている……」

「なら、どうするんだ?」

「私達が魔力によって作られた仮初めの肉体であるため、と言い訳したいところですが、認めるしかなさそうですね。あなた方は私達よりも……強い」


 冷静に告げた『ソフィア』に、後方にいる魔族が眉をひそめた。そんなはずはない――と、目で語っているような気がした。


「しかし、勝負は決して実力だけで決まるものではありません」

「なら、どうする気だ?」


 俺の問い掛けに対し相手は剣を振ることで応じた。直後、俺の足下……地面から魔力が生まれた。

 融合した精霊を用いて何かをした――俺は一気に後退する。刹那、立っていた場所に光が発生した。それは明らかに攻撃魔法であり、どうやら精霊と融合した『ソフィア』は無詠唱で魔法を自在に操れるらしい。


「色々と工夫をして勝つしかないでしょうね」


 彼女が語る間に、周囲の状況も変化していく。リーゼ達が魔力を発し、渾身の一撃を決める。それを真正面から魔族が防いだのだが……相手は受けきれず吹き飛んだ。

 アルトやフィリもまた、呼応するように相手を吹き飛ばし――その中でキャルンが繰り出した『ファランクス』が、高速で一体の竜へと叩き込まれた。そしてどうやら彼女の攻撃が致命傷となって……滅び去る。


 その直後、形勢が一気に傾いた。キャルンの猛攻が呼び水となって味方が敵を一気に倒し始める。数が減ればそれだけこちらは楽になるため……相手側は防戦に徹する羽目となり、こちらはさらに勢いづく。

 情勢的には、先ほど『エイナ』と戦った時と同じ構図だが……と、ここで敵側が盛り返す。さらに追撃を仕掛けようとしたリーゼ達に対し陣形を組んだ。


 そこで味方は立ち止まる。敵の戦意は喪失していない……どころか、次の一手を繰り出そうとしている。さすがに深追いは厳禁と悟ったか、味方はここで一度仕切り直す。


「さすがに一撃で崩れてはくれないか」

「精鋭を集めているのです。このくらいはやってもらわなければ困ります」

「……精霊と融合した力。それがあるから、あんたがリーダーに選ばれたのか?」

「もう一つ理由はありますが」

「……この世界のソフィアか」

「ええ。彼女を仕留めることができれば、私達は勝利に大きく近づく」


 笑みを見せながら『ソフィア』は語る……その様子から『エイナ』と同様にどこか戦いを楽しんでいる雰囲気があった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ