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賢者の剣  作者: 陽山純樹
世界を救う者

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答え

 最果ての島から外周部……俺達が訪れた反対側に、もう一つ小さな島があった。とはいえそこは草木すらまともに生えていないような場所……というより、どうやらここは潮流によって一時的に道が現れる、島の一部らしい。


『何もないだろう? 霊脈から少し外れた場所だと、こういう場所もできる』


 と、ラムハザは俺に解説を始めた。


『強力な魔力が存在している場所……その魔力の流れによって植物の育成なども変わってくる。莫大な魔力が存在する島の中心には森があっただろう? あれは、渦巻く魔力が土地に染みつき、結果として木々が育つだけのきっかけを生み出した』

「でもこの離れ島には効果がないと」

『そうだ。魔力の流れ……というより、島の中心にある巨大な本流から離れ、流れが乱れきった結果、植物の育成に適さない場所になってしまったらしい』


 ……地面を見回してみるが、わずかな雑草が生えている程度。なおかつ、虫一匹の姿すらない。


『魔力というのは、自然環境において恩恵をもたらすばかりではないというわけだ』

「それは理解できる……で、俺の力を試すって言っていたけど、具体的にどうやるんだ?」

『極めて単純に、殴り合う』


 シンプルだな。まあ、一番わかりやすいのは事実だが。


『とはいえ、このまま普通に戦えば島へ被害が出る危険性もある。よって』


 そう言ってラムハザは指を鳴らした。次の瞬間、島を囲むように障壁が生まれた。


『霊脈の力を利用して、障壁を構築しておく……もっとも、今回の戦いでどこまで耐えられるかは不明だが』


 俺は無言だった。その代わりにラムハザを見据える。


 神霊……その中で特異な場所に存在する相手の力は、表層で感じ取れる部分でも相当な力なのだとわかる。これまで様々な相手と戦ってきたし、ラムハザよりも強大な敵とも交戦してきた。しかし、それにまったく引けを取らないような雰囲気が、目の前の相手にはある。


「まさか、霊脈から力を吸い出すとか言わないよな?」


 なんとなく尋ねてみると、ラムハザは笑みを浮かべる。


『逆に訊こうか。この場所にいる恩恵を自ら捨てると思うか?』


 同時、ラムハザから魔力が発せられた。それは地面にある魔力を吸い出しているようにも見受けられ……俺は苦笑する。

 この島にある霊脈と戦うような羽目になるってわけか……とはいえ、その力を全て扱えるわけではない。莫大な力の一部だけを使えるということだから、霊脈全ての力を受けるわけじゃないが――それでも無茶苦茶であるのは間違いない。


『ルオン殿』


 そこでガルクの声がした。何が言いたいのかはわかる。こちらは小さく頷き、


「わかった……そちらが本気なら、こっちもそれに応じるまでだ」

『ほう?』


 ――リズファナ大陸からの騒動の後、こうして旅を続ける間も俺はガルクと協議をして色々と準備をしていた。その中で大きな課題が……星神を討つために、武器をどうするのかという点だった。

 星神を討てるだけの力……ソフィアと連携して戦うことにしても、やはり個人の能力を高めなければいけないのは間違いない。技量面や魔法技術については神霊の協力もあって完成の域に達した。ならば俺はどうするのか。


 ソフィアは『神霊の剣』を用いて戦う。星神との戦いに際し、あれでもまだ力不足なのではと彼女が告げたが、ガルク達の協力によって、その力を大きく高める準備をしている。決戦の際は、それによって今まで以上に強力な武器となるのは確定している。

 では俺についてはどうか。リズファナ大陸にいて鍛錬を重ね、星神を討てるだけの技術を手に入れ……そして、俺の武器はどうするのか。


 色々と検討して、そこからこの旅を通して結論を出した……ガルクの手を借りてそれを形にもできた。それは、


『……それが』


 ラムハザが、俺へ向け告げる。


『星神を討つための、答えというわけか?』


 生み出したのは金色の剣。色合いについては別に指定したわけではないのだが、魔力を練り合わせた結果、こういう感じになってしまった。


「そうだな」


 俺は答えつつ剣を構える。今までの経験を活かした魔法剣……無論、まだ完全というわけじゃない。これを完璧に操るためには、まだ足りないものがある。

 それを埋めるために、今回の戦いが役に立つかもしれない……ラムハザは俺の剣を見据えた後、


『恐ろしい魔力だな。量が多いわけではなく、その質が異様だ。それこそが、星神を討つために用意された、切り札というわけか』

「名前もついていないような魔法剣だけどな……それに、この剣は俺一人で完成するわけじゃない」


 同時、俺がまとう魔力にも変化が。星神に対抗するために編み込まれた魔力障壁が、俺の体を保護していく。


「星神に対抗するために作られた決戦術式だが……他の相手にも応用はできる」

『これまで、ルオン殿の前には様々な障害が立ちはだかった』


 と、俺の言葉に続きガルクが言う。


『賢者の血筋でなければ打倒できなかった魔王、特別な力でしか対抗できなかった竜……そうした出来事が、この術式開発に大きな影響を与えた』

『つまりその剣は……あらゆる存在に通用する特別な剣、というわけか?』

「あくまで、これまで戦って知り得たデータに基づいたものではあるけどな」


 俺は賢者の血筋ではないけれど、その効果を擬似的に模した……つまり、今の俺ならば魔王を倒すことができる。

 魔王はとうに潰えているため、本来ここまでする必要はない。というか、やる意味がない……と普通なら思うところだが、俺達は違った。星神はこの世界のあらゆる力を取り込んでいる以上、魔王が体得した技法だって所持している可能性すらあった。


 というより、俺達がこれまで遭遇したことのない防御手段を用いる可能性すら考えられる……だからこそ、敵がどんな手法を用いたとしても応用できるだけの手法を使ったというわけだ。

 これは俺自身が編み出した、特攻として通用する手法も応用されている……まさしく今ある全ての技術を用いて作り出した、星神を討つための手段だった。


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