表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
じょばれ! 〜城上女子高校バレーボール部〜  作者: 綿貫エコナ
第三章(城上女子) VS南五和高校
92/374

85(ひかり) ここではないどこか

「ひかりん」


 宇奈月うなづきさんが話し掛けてきたのは、岩村いわむら先輩の一本目のサーブのときでした。何も言わずにやおら隣に立ったので、思わず身構えてしまいましたよ。


「……どうかされましたか?」


「次のサーブなんだけど、またリベロの人に打ってくれないかな」


「構いませんけれど」


「それから、とーるうとねねちんに、ツーはないって伝えておいて。もしあっても、自分ひかりんが拾うって」


「それは……」


「もし気になるなら、二本目のサーブがレシーブされた直後に大きな声で『ツー』って言えば大丈夫」


「二本目?」


「そう。一本目は黙ってても来ないから」


 色々と引っかかる言い回しです。もしかして宇奈月さん、時間遡行タイムリープしてません?


「ひかりんは、私がここではないどこかから来たって言ったら、笑う?」


「笑うもなにも、事実じゃないですか」


 当県ここではない他県どこかから来てるじゃないですか、あなた。


「おおっ、そうだった!」


 そう言った宇奈月さんの視線が、ふっ、とコートのほうを向きます。つられて見てみると、ちょうど藤島ふじしまさんが結崎ゆいざき先輩のブロックに跳ぶところでした。


 ばだんっ!


 見事なシャットアウト。着地した藤島さんは「よしっ!」と力強いガッツポーズを取り、それから、ちらりとこちらを見てきました。私は「ナイスブロック」の意味を込めて拳を掲げます。……ものすごい勢いで顔を逸らされました。なぜでしょう。あと、宇奈月さん、あなた笑い堪えていますね? 誤魔化そうとしてますけど肩震えてるの丸わかりですからね?


「ごめんごめん」


「まったく……。ちなみに、三本目はありますか?」


「ん? ああ、サーブのこと。たぶんあると思うよ」


「……狙いは、有野ありの先輩ですか?」


「どうだろう。ま、その時に言うってことで。それよりひかりん、そろそろ交替の準備したほうがいいよ」


 宇奈月さんに促され、私は屈伸したり肩を回したりします。あと一つローテが回れば油町ゆまち先輩が下がるので、アップしておいたほうがいいのはその通りです。


 試合は、結崎先輩がフェイントを決め、サーブ権が南五なんいつに移ったところです。立沢たちさわ先輩も、メンバーチェンジの申告のために席を立ち、副審の片桐かたぎり先輩の元へ。


 と、結崎先輩のサーブがネットに掛かります。まさか外すとは思っていなかったので、私は慌ててメンバーチェンジに向かいます。気持ち早めに準備しておいて正解でした――って、おいちょっと待った、です。


 私はちらっとベンチを振り返ります。(ぶい)サインを決めた宇奈月さんが、にこにこ顔で笑っています。


「いってらっしゃい!」


 直後、ぴぃぃ、と主審の笛。腑に落ちないものを感じつつ、私はサイドラインのフロントゾーン側に立ち、油町先輩と手を合わせて入れ替わります。


 スコアは、18―19。


 私は藤島さんと霧咲きりさきさんにツーアタックの件で声を掛け、サービスゾーンへと急ぎます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ