表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
じょばれ! 〜城上女子高校バレーボール部〜  作者: 綿貫エコナ
第三章(城上女子) VS南五和高校
90/374

83(史子) 全国レベル

 どうも。烏山史子(ふみこ)です。『とりやま』じゃないです。『からすやま』です。


 市川いちかわしずか先輩と可那かな先輩のことはほとんど何も知らずに来ていたので、最初は何が起こったのかとびっくりしました。それは一緒にベンチにいた珠衣ミィ先輩も同じでしたが、珠衣ミィ先輩は『まあ可那さんのやることだし』と落ち着いて成り行きを見守っていました。私もそれに倣い、大人しくしていました。そして、事態はどうやら良い方向に転がったらしく、普通の試合に戻りました。


 その際、城上女あちらはメンバーチェンジをし、市川静先輩と、それからよくわからないバスケ部の人が新たに投入されました。


 そのお二人が、これまたすごいのです。上手く表現できませんが、ひゅ、ばーん! って感じです。


「す、すごいですねっ! あのバスケ部員の方のスパイク!」


「うん……いや、それもそうだけど、今のプレーですごいのは市川さんのトスだよ」


「そうなんですか?」


月美るみさんを見てみ」


 言われて、私は月美先輩に目を向けてみます。ぽかんと口を開けて市川先輩を見つめていました。なんと言えばいいのでしょう、初めて可那さんに会ったときの私の顔が、ちょうどあんな感じだったような。


「んー……次のローテで決めておかないとまずいか……」


 珠衣ミィ先輩は独り言のようにぽつりと呟いて、おもむろに腰を上げ、身体を動かし始めます。その真剣な横顔を見上げていると、なんだか胸がどきどきしてきます。顔立ちは彫刻みたいに整っているし、睫毛すっごく長いし、長く伸ばして二つ結びにした巻き髪は艶があるし……うむむ……プレー中のはっちゃけてる珠衣ミィ先輩もいいけど、黙ってる珠衣ミィ先輩もアリだなぁ。


「……史子?」


「ふぁっ!? な、なんでもありません!」


 急に振り返る珠衣ミィ先輩。私はノートで顔を隠し、試合に集中します。


 スコアは、16―18。


 サーブは岩村先輩です。ばしっ、と放たれたボールは、すぅーと流れ星のように伸びのある線を描いて、しずく先輩のところへ。若干カットがライト側に乱れます。それを見て、はる先輩は速攻に入らずライトでトスを呼びます。月美先輩はボールを追ってライトに走り、そのままライト側を向いてオープントス。はる先輩は軽やかに踏み込んで、跳び、ボールを上から叩きます。


 ばだんっ!


「にょあっ!?」


 はる先輩の打ったボールは、相手のブロックに跳ね返され、はる先輩目掛けて飛んできます。空中で避けられるはずもなく、ボールははる先輩にヒットしてそのまま落下。私は記録をつけるのも忘れて相手ブロッカーを見ます。信乃のの先輩と同じくらい背の高い一年生。よほど嬉しかったのでしょう、ものすごく喜んでいます。


「はる先輩があんなにぴったりブロックされちゃうなんて……」


「〝黒い(Headlong)鉄鎚(Hammer)〟――とおるは普通に全国レベルの選手だから。こういうこともあるよ」


 珠衣ミィ先輩は肩を回しながら、なんでもないことのように言います。えっと、全国レベルって時点で全然普通じゃないと思うんですが……。


 スコアは、17―18。


 足音が、もうすぐそこまで来ています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ