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じょばれ! 〜城上女子高校バレーボール部〜  作者: 綿貫エコナ
第三章(城上女子) VS南五和高校
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62(月美) 整列

 生徒主導で急に決まったという経緯のわりに、合同練習カチコミは段取りよく進行し(立沢たちさわ胡桃くるみ小夜子さよこが(主に可那かなの暴走を防ぐために)綿密に打ち合わせをしたのだろう)、ついにメインイベントである試合が始まろうとしていた。


 問題の市川いちかわしずかは、立沢胡桃の後ろで大人しくしている。


 まあ、市川静のことは、可那や立沢胡桃がなんとかするらしいし、わたしは試合に集中するとしよう。


 可那経由だからどこまで真実か不明だが、あの〝毒蜜蜂《Killer Honey Bee》〟――音成おとなる女子を倒したというメンバーには興味がある。


 わたしは、ポジションの確認をしている相手ベンチを見やる。


 目を引くのは、やはり、メンバーの中でも頭一つ大きい子。身長は信乃ののより僅かに低いようだが、体格的には、バランス良く筋肉のついている彼女のほうが上だろう。年下の女の子にこんな評価を下すのは申し訳ないが、ひょろ長いタイプの信乃にはない『厚み』がある。


 藤島ふじしまとおる、だったか。珠衣ミィに聞いたところによると県選抜のメンバーだったらしい。彼女が城上女のエースなのだろう。


 わたしは視線をその隣に移す。城上女で二番目に背の高い子。練習を見る限りは経験者で、普通に上手い。なんとなく、同類セッターの雰囲気を感じるが、スパイク練習でクイックを主に打っていたので、ポジションはミドルブロッカーだと思われる。


 そして、セッターは、わたしと同じくらいの身長の、ポニーテールの子。彼女も経験者だろう。クセのない、お手本のように綺麗なトスを上げていた。一年生だが、熟練という言葉が似合う。


 熟練と言えば、あの癖っ毛の子もかなり上手い。とても丁寧なプレーをする。惜しむらくは、そのポジション。本来は守備専門リベロなのだろうが、城上女の選手プレイヤーが六人ぴったりしかいないせいで、前衛フロントもこなさなくてはならない。まあ、その辺りは市川静の件とも関連しているらしいが、とりあえずこの試合に限っては、さほど脅威ではないだろう。


 あとは、裏エースと思われるぽっちゃりした子。彼女だけが二年生らしい。背は低いが、打点はそこまで低くない。そして打音が一人だけ違うのが恐い。聞けば、新入生が入ってくるまでは、公式戦に出ることもなく、音成女子に混じって練習する日々だったらしい。見た目よりずっと根性のある子のようだ。


 最後に、(消去法で)センター対角の子。城上女で三番目に背が高い。動きを見る限りは初心者だが、身体能力も運動神経も高そうなので、これからぐんぐん伸びるだろう。


 一通り見回して、確かによく揃っている、と感心する。


 六人中五人が、並の高校なら即戦力の逸材。残る一人も、初心者ながら大いに素質アリ。180台一人、170台二人という高さも脅威的だ(しかも三人とも一年生)。少人数ながらセッター経験者とリベロ経験者が既にいるのも大きい。もし市川静が復帰して、チームとしてまともな形に仕上がれば、強敵になるのは間違いないだろう。


 けれど……、とわたしは目を凝らす。


 たぶん、それだけではないはずだ。


 あの音成女子――鞠川千嘉(マリチカ)とやり合ったというのだから、まだ、何かある。


 あの怪物バケモノとタメを張るだけの何かが。


 今のところ、それらしいものは掴めていない。でも、試合が始まれば、あるいは……。


「サーブはこっちからになったよ。それじゃあ、みんな、整列しよっか」


 向こうの主将とサーブ権争いを済ませた小夜子さよこが戻ってくる。やたら張り切っている可那が真っ先に走り出し、そのあとを信乃、はる、珠衣ミィが追う。小夜子は可那たちハイテンション組を眺めながら小走りについていく。しずくと控えの二年生たちは小夜子のあとに続く。


 で、わたしは最後。それは全体でも最後だったらしく、わたしがエンドラインに立って向こうを見ると、城上女(向こう)は市川静を除く全員が整列していた。


 主審の城上女OGが、試合開始の笛を鳴らす。


「「「よろしくお願いします!!」」」


 さて……どうなることやら。

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