表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
じょばれ! 〜城上女子高校バレーボール部〜  作者: 綿貫エコナ
第三章(城上女子) VS南五和高校
60/374

53(胡桃) カトレア

 しずかをバレー部に復帰させよう作戦は着々と進行していた。


 ハンバーガーショップで話をした翌日、早速可那(かな)から連絡があった。みなみ五和いつわはレギュラーメンバー全員と他多数、加えて二代前の部長も釣れたそうだ。


 となれば、こちらも先々代の主将に声を掛けるべきだろう。もっとも、最初からあの人には声を掛けるつもりでいたが。


 川戸かわと礼亜れいあさん。通称、カトレアさん。


 地元の国立大学に進学し、今は二年生。最後に会ったのは、今年の正月(城上女バレー部は毎年正月にOG会を開催する。現役生とOGが試合をするのが習わしだが、今年は部員がわたしと万智のみだったため、OG同士の試合に万智が混ざる、という形をとった)。


 そのときの話では、大学でもバレーを続けているとのことだった。また、静のことも話題に上った。カトレアさんは心残りだと言っていた。


 わたしが『静のことでお話があります』といった旨のメールをカトレアさんに送ると、瞬時に電話が掛かってきた。


『やっほー、胡桃ー! ちょー連絡待ってたよー! もう事情は大体里奈(りな)から聞いてるよー!』


 開口一番、そう言われた。


 曰く、カトレアさんと、可那が声を掛けたという南五和の二代前の部長――片桐かたぎり里奈さんは同じ大学の同じバレーサークルに入っているらしく、今回の合同練習の件は片桐さんから既に聞き及んでいるとのことだった。


 さらに、カトレアさんは、当時の城上女バレー部員(つまり、わたしの一つ上と二つ上の先輩たち)にもふわっと声を掛けたらしい。地元に残っていて、当日空いているメンバーが二人ほど釣れそう、とのこと。


 情報化社会ってすごい、とわたしは文明の発達に感動した。


『私も当っ然、行くからねー! 試合するなら審判とか必要でしょ? 任せ任せー! あっ、その代わりOG(私たち)にも試合させてね! よっろー!』


 カトレアさんはえらくノリノリだった。わたしは少し面食らった。


『それに、あの成女なるじょをボッコにしたっていう新入生にも興味あるしねっ!』


 どうやら事実が捩じ曲がって伝わっているようだった。まあ、情報の伝達経路に可那がいる時点でお察しか。


『っていうのはさておき、本命の静は、大丈夫なの?』


 カトレアさんは急に真面目な口調になってそう問うた。わたしは、静の性格上、これだけお膳立てすれば間違いなく来る、というようなことをオブラートに包んで言った。


『いや、そうじゃなくて、精神衛生的なこと。急なことだし、どう考えても荒療治だし。OG(私たち)まで出張ると余計なプレッシャー掛かるかなーって。

 もしあれなら……遠慮するけど? あ、里奈には私から説明するから、心配しないで』


 わたしは、静にそれとなく先輩たちのことを伝えて、反応を見てみます、と言った。


『まあ、私としては、静が良いほうに向かってくれればそれでいいから。胡桃には胡桃の事情もあるだろうし、その辺は現役生同士で折り合いつける感じで。卒業生(私たち)はオマケ程度の扱いでいいわ。というわけで、何か変わったことがあったら、また連絡ちょうだい』


「ありがとうございます」


 わたしがそう言うと、カトレアさんは、ううん、と声に力を込めて言った。


『お礼を言いたいのは私のほうだよ。本当に……ありがとう』


 じゃあ、またね、頑張って。


 そう言って、カトレアさんは電話を切った。

登場人物の平均身長:164.8cm

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ