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じょばれ! 〜城上女子高校バレーボール部〜  作者: 綿貫エコナ
第二章(城上女子) VS音成女子高校
49/374

45(美波) 見せ場

 24―21。


 土壇場。瀬戸際。土俵際。


 さて、この場面、この状況、セッターである私はど


「よーい、ヅカミー。ごちゃごちゃ考えてねーで私に上げやがれー」


 レフトからじゃじゃ馬(マリチカ)の声。つばめがいなくなって気付く。私にあいつの手綱は握れない。


「いいけど、しくじらないでよね?」


「てやんでー、あたぼーよー」


 言い返す言葉が見つからないわ。


 私は相手を見る。


 サーブはたった今派手にツーアタックを決めてくれやがった両利きの子(スイッチアタッカー)。今回のサーブは右打ち。


 ばしっ、と綺麗なフォームのフローターサーブ。ボールは和美かずみへ。和美は特に緊張した様子もなく、いつものように適度なカットを返してくる。


 私はトスをマリチカへ。


 マリチカはボールを相手コートの床へ。


 24―22。


 まるで呼吸をするように、成女うちのエースは点を奪う。


「よっしゃ! 見せ場だぜぃ、ドロメダ!!」


 相手方から転がってきたボールを掴むと、笑顔でそれをアンに押し付けるマリチカ。


 ローテが周り、さやかが抜け、愛梨アイリーが前衛に上がって、サーブはアン。


 アンのジャンプサーブは、今日は一本も入っていない。


 それを、マリチカは、このミスしたら負ける点数状況で、強要する。


「えっ、で、でも」


 当然、アンは戸惑う。しかし、マリチカはただ笑って送り出すだけだ。


「なあ、ドロメダ。2点差で相手のマッチポイントっつーこの今。てめーは苦しいか? 恐いか? 逃げたいか? ぶっちゃけどーでー」


「正直……全部、そうです」


「だろーな。で、『実は私もだ』って言ったらどうする?」


 アンは目を見開いて、マリチカを見つめる。


「あと、4点だな」


 マリチカはスコアボードを視線で示して、小指以外の指を立てる。


「てめーがあと4点、得意のジャンプサーブでサービスエースを決めてくれりゃ、こんな楽なゲームはねーよ。私はネット際で突っ立ってりゃいい。簡単だな」


 マリチカは、ボールを持つアンの手に、優しく自分の手を重ねる。


「別にてめーが4本連続でヘナチョコサーブを入れるってんなら、それでもいいんだ。そんときは、カットとトスさえ上げてくれりゃ、私があと4点決めてやるよ」


 手にぐっと力を込め、マリチカは口元を吊り上げる。


「いいか、ドロメダ。もう一度言うぜぃ。成女うちらにとって、点は常に自分で奪うもんだ。相手から貰うもんでも、ついでに味方の誰かに取って貰うもんでもねー」


 そう言って、マリチカはアンの背中を叩く。


「わかったら、決めてきやがれ! てめーならできるっ!!」


「はい!!」


 マリチカの激励を受けたアンは、意を決してサービスゾーンへと走っていった。


 ま、大変だとは思うけど、頑張りなよ。


「ヘーイ! ナイッサー、アンっ!!」


 陰ながら応援してるからね、期待の一年生(ルーキー)


「行きますっ!!」


 終わりは、近い。

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