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じょばれ! 〜城上女子高校バレーボール部〜  作者: 綿貫エコナ
第二章(城上女子) VS音成女子高校
43/374

39(胡桃) チームの勝利

 成女なるじょキャプテン・相原あいはらつばめのスパルタ指導によってあずま愛梨あいりが沈み、スコアは17―17の同点。


 サーブは引き続き藤島ふじしまとおる。これを柴田しばた和美かずみがしっかりと返して、得意のコンビバレーから佐間田さまだ芽衣めいが速攻を決める。


 17―18。


 サーブ権が移動して、成女あちらのサーブは、その芽衣サマメィ


 サーブは岩村いわむら万智まちのところへ。万智はやや乱されながらも、許容範囲のBカットを上げる。万智はそのままレフトにトスをもらって、二枚ブロックを打ち抜いた。


 18―18。


 ローテが回って、セッターの宇奈月うなづき実花みかが前衛へ。


 と、ここで実花がわたしに視線を送ってきた。わたしは意図を察して、タイムアウトを取る。


 長めの笛が鳴る。実花以外のメンバーは表情に疑問を浮かべて、ベンチに下がってくる。


「どうしたの、胡桃くるみ? 何か気になることでもあった?」


 サーブを止められた格好のつばめがまず尋ねてくる。チームの中でつばめだけがわたしと同学年、というのも、つばめが真っ先に口を開いた理由だろう。


「このローテの攻撃をどうするか……」


 わたしは目で実花に確認する。実花はにこにこ笑っていた。これで合っているらしい。


「アタッカーが実質万智一人。そして、成女はあと二つローテが回ったら鞠川千嘉マリチカが上がって、さらに一つ回れば一番強いローテ(マリア様ローテ)になる。ここで離されたら、逃げ切られておしまい。そうなる前に手を打っておきたい」


 わたしが言うと、真っ先に手を挙げたのは北山きたやま梨衣菜りいなだった。


「はいっス! 自分が、こうっ、愛梨殿みたいな、きゅ、ひゅ、ずばーんってやつを!!」


「半年早い」


「がーん!」


「いや、梨衣菜、半年であれができるようになったらあなた天才よ」


「ほ、本当ですか、相原殿!? 自分、頑張るっス!!」


 次に発言したのは、リベロの三園みそのひかり。


「今すぐ攻撃力を上げるなら、このローテだけセッターを霧咲きりさきさんに変えるのが妥当ですかね」


「そう。でなければ、透がバックアタックを打つ、とか」


「バックは……じ、自信ありません」


「なら、やはり霧咲さんにセッターをやっていただくのが良いかと思いますが」


 ひかりは音々(ねおん)に視線を送る。音々は頬を掻いて、「みんながそれでいいなら」と応えた。


「私もみんながいいのならぁ」(万智)


「自分は皆さんにお任せっス!」(梨衣菜)


「霧咲さんが入ると、三園さんは抜けちゃうんだよね。そのあとは……?」(透)


「私は、相原先輩さえよろしければ、サーブが終わり次第先輩と代わりたいと考えているのですが」(ひかり)


「私は構わないわよ。必要以上に出しゃばるつもりはないわ」(つばめ)


「で、当の宇奈月は?」(音々)


「私? 私はがんがん行こーぜ、だよ!」(実花)


「宇奈月さん、それ答えになっていませんよ」(ひかり)


 話がまとまったようなので、わたしはぱんぱんと手を叩いてまとめに入る。


「じゃあ、ひかりと音々が入れ替わり。音々がセッター。それに伴って、つばめの守備位置をバックセンターに変更。透はそのままバックレフト。

 向こうにサイドアウトを取られたら、つばめとひかりが入れ替わり。セッターは引き続き音々で、音々が前衛に上がったら、セッターは実花に戻す」


 タイムアウト終了を知らせる笛が鳴る。これでもう、わたしたちはタイムアウトを取れない。


 コートにみんなが散らばっていき、ひかりが音々と入れ替わる。成女サイドが僅かにざわついた。


「お疲れ様、ひかり」


 ベンチに下がったひかりに声を掛ける。ひかりはぺこりとお辞儀をして、わたしの隣に立つと、デフォルトの何を考えているのかよくわからない目でコートを見つめた。


立沢たちさわ先輩。つかぬことをお伺いしますが」


「今のタイムアウトなら、実花だよ。『ちょっとタイム』って顔された」


 先回りでひかりの質問に答える。ひかりは「そうですか」と相槌を打った。


「わたしは、つばめのサーブが終わってからでいいかな、と思っていたのだけれど。でも、実花的にはここだったみたい」


「何がどこまで見えているんですかね、あの人」


「わからないけれど、目指しているものはあなたと同じだと思う」


「と、言いますと?」


 ひかりがちょこんと首を傾げてわたしを見る。わたしはひかりを横目に捉えて、微笑んでみせる。


「チームの勝利」


 短い笛が鳴り、つばめがサーブを放った。

図解。


<現在のローテ>


 ―――ネット―――


 実花セッター 万智 梨衣菜


 ひかり 透 つばめ(サーブ)


 ↑(コートポジション)

 ↓(プレイヤーポジション)


 ―――ネット―――


 万智 梨衣菜 実花セッター


 透  ひかり つばめ


※ひかり(リベロ)は音々と交替中。


※前衛に実花(セッター)、梨衣菜(初心者)がいるので、実質攻撃が万智一人



<セッター変更>


 ―――ネット―――


 実花アタッカー 万智 梨衣菜


 音々(セッター) 透  つばめ(サーブ)


 ↑(コートポジション)

 ↓(プレイヤーポジション)


 ―――ネット―――


 万智 梨衣菜 実花アタッカー


 透  つばめ 音々(セッター)


※ひかり(リベロ)と交替していた音々をコートに戻し、セッターを実花から音々へ変更。


※実花がアタッカーになり、有効な攻撃が可能なアタッカーが万智と実花の二人に。


※セッターになった音々のプレイヤーポジションがバックライトに。


※それに伴い、つばめのプレイヤーポジションがバックセンターに。



<サイドアウトを取られたら>


 ―――ネット―――


 実花 万智 梨衣菜


 音々(セッター) 透  ひかり


 ↑(コートポジション)

 ↓(プレイヤーポジション)


 ―――ネット―――


 万智 梨衣菜 実花


 透  ひかり 音々(セッター)


※ひかり(リベロ)はサーブを打ち終えたつばめと交替。守備位置はバックセンター。


※セッターは引き続き音々。



<ローテが一つ回ったら>


 ―――ネット―――


 音々(アタッカー) 実花セッター 万智


 透 ひかり 梨衣菜サーブ


 ↑(コートポジション)

 ↓(プレイヤーポジション)


 ―――ネット―――


 万智 音々(アタッカー) 実花セッター


 透 梨衣菜 ひかり


※セッターを音々から実花へ戻す。


※プレイヤーポジションは、各々元に戻る。


 * 要約


(1)攻撃力増強のため、実花にもスパイクを打ってもらう。


(2)実花がアタッカーになるとトスを上げるセッターがいなくなってしまうので、


(3)ひかり(リベロ)と交替していた音々(セッター経験者)をコートに戻し、


(4)音々にセッターをしてもらう。


(5)それに伴って(プレイヤーポジションやリベロの出入りなどを)色々調整。


(6)ローテが回って音々が前衛に上がったら、今まで通りに戻る。

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