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A-20(小夜子) 平気そうな顔
少し離れたところから、涙の音がする。
眉を寄せ、難しい顔をして俯く月美ちゃんと、目を閉じて、口元を引き結んでいる珠衣ちゃんの、向こう。
信乃ちゃんとはるちゃんは、ぽろぽろと涙を零しながら、しゃくり上げていた。
雫ちゃんは、ぎゅっと拳を握って、声を出さないようにしているけれど、時々鼻を啜っていた。
試合に出ていないメンバーも、雫ちゃんたちにつられて涙ぐんでいる。
私から一番遠いところに立つ可那ちゃんは、見ようによってはむすっとしたような、真面目な顔をしていた。
可那ちゃんは強いから、きっとこれからのことを考えているのだろう。
私はというと、たぶん、周りから見れば平気そうな顔をしているんだと思う。
平気そう、というだけで、ぜんぜん平気なわけではないのだけれど……。
ともあれ、あれこれ考えるのは後にしよう。
一つ一つ、やるべきことを、やってから。
ぴぃぃぃ――と笛の音が響く。
整列した私たちは、硬く、はっきりとした、人によっては涙で掠れた声で、言う。
「「ありがとうございました!!」」
ブロック大会県予選、第二日目。
Aコート、準々決勝、法栄大立華VS南五和。
第一セット、25―16。
第二セット、25―19。
勝者――法栄大立華。




