表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
じょばれ! 〜城上女子高校バレーボール部〜  作者: 綿貫エコナ
第十章 AT和田総合体育館(II)
333/374

A-9(珠衣) 言いかけたこと

 ごくごくごくっ――!


 と、珠衣ミィは引ったくるようにして手にしたドリンクを勢いよく喉に流し込んでいく。


 じゅんのやつめ……っ! 敵に回すとほんっときつい!!


 ブロック大会県予選、Aコート準々決勝、法栄大立華VS南五和。

 7―5で迎えた序盤の終わり、仕掛けてきたのは県内最強の左――天久保あまくぼじゅん

 強烈なジャンプサーブとバックアタックによって、純は後衛バックにいながらにして試合の主導権を握っていた。

 そしてスコアが10―5のダブルスコアになったところで、南五和(珠衣たち)は一度目のタイムアウトを取った。


「やっぱ厄介この上ねえな、あの天久保ヤロー――」

「はい……正直、かなり鬱陶しいです……」

「ズ、ズクズク? なんか顔が恐いけど……?」

「今のところ、ジャンプサーブそのものは、対応できていると思う。ちゃんとわたし(セッター)のところに返ってきてるから。あとは攻撃だけど――」

「わっ、私が決めますっ!」

「私にやらせてください!」

「えっと……信乃ののしずくも、大丈夫? 純のペースに呑まれてない?」

「なに、やる気はあるに越したことはねえ! その調子であのやっほい娘をぶっ飛ばせ!」

「頑張りますっ!」

「泣かせてやります!」

ズクズク!? だから顔が恐い顔がっ!」

珠衣ミィ的には……あんまり攻撃に意識を割くと、今度は守備レセプションが崩されそうで恐いんだけど」

「「うっ……」」

「そうだね、珠衣ミィちゃんの言うこともすっごく大事。サーブカットは今、うちの生命線だってことを、みんな忘れないようにっ!」

「「はいっ!」」


 ぴったり揃う珠衣ミィたちの返事。小夜子さよこさんはふんわりと微笑み、それから内緒話でもするように、少し声をひそめて言った。


「……こう言うのはあれかもだけど――私たちは今、あの法栄大立華ほうえいだいりっかを相手に、かなり戦えてるって思うの。レセプションは安定してるし、攻撃だって、決して決まってないわけじゃない。だから、あとは――」


 小夜子さんの言葉は、そこで途切れた。タイムアウトの終了を知らせる笛が鳴ったのだ。


「とにかく、そういうわけだから――できることを一つずつやっていこう!」

「「おおおおっ!!」」

「み、皆さん、頑張ってくださいっ!」

「南五和ああぁー! ふぁいとおおぉー!!」

「「おおおおおおー!!」」


 史子ふみこやはる、控えメンバーの声援を受けて、珠衣ミィたちはコートに戻る。レセプションに参加しない珠衣ミィは、ネット際のポジションについて、月美るみさんと攻撃の打ち合わせをしつつ、小夜子さんの言いかけたことについて考えを巡らせた。


 小夜子さんの言う通り、珠衣ミィたちはけっこうイイ線いってると思う。守備も攻撃も悪くない。

 けど、それだけでは、法栄大立華(県ナンバーワン)には届かない。

 まだ、何か、足りないものがある――。


 なんて考えているうちに、都合四度目の、純のジャンプサーブが放たれる。


「よぉー……ほいやっ!!」


 ぱあんっ!


 と軽快に打ち込まれたボールは、可那さんの守備範囲へ。


「よっしゃ来たああああ――――って!?」


 レシーブの寸前、サーブを正面で待ち受けていた可那さんは、大慌てで横っ飛びした。ボールはそのままエンドラインを割り、アウトとなる。


「こん、の……ざっけんなお前ええええ!! なに外してやがんだコラああああ!!」

「わああんっ、ごめんなさいごめんなさい!! って、いやいや!? なんでぼく敵に怒られてるの!?」


 かくして、スコアは10―6。ようやくこちらにサーブ権が戻ってくる。月美さんが前衛フロントに上がり、信乃のの後衛バックに下がる。


「いいかお前ら!! 勝負はこれからだぞ!!」

「「おおおおおっ!!」」

「声が小せええええ!!」

「「うおおおおおおおおっ!!」」


 恒例のめちゃくちゃな大声を上げながら、珠衣ミィは思考を続ける。


 足りないもの……今の南五和に――珠衣ミィに、足りないもの……。


 答えは、出ない。そうこうしているうちに、信乃のサーブから、次のプレーが始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ