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じょばれ! 〜城上女子高校バレーボール部〜  作者: 綿貫エコナ
第十章 AT和田総合体育館(II)
327/374

A-3(叶実) 聞き慣れた声

 耳を傾ける。

 隣に立つ彼女が発する、試合前で少し硬くなっている、聞き慣れた声に。


「さあ、まずは今日の一戦目だ。第一シードのわたしたちは、結果はもちろんのこと、内容も問われることになる。常に丁寧なプレーを心掛けるように」


 厳かに語られるのは、上に立つ者としての矜持。県第一代表・法栄大立華(ほうえいだいりっか)を率いるキャプテンの、有難いお言葉である。

 が、どんな集団にもこの手のしゃちほこばった話が苦手な子はいるもので――、


「おいそこ! ラブリーアンジュ、ちゃんと聞いているか?」

「「あっ、ごめん(なさい)! 聞いてなかった(ませんでした)!」」

「……なるほど。一応、理由を聞こう」

「私は珠衣ミィちゃんに挨拶してました!」

「ぼくは信乃ノノリンに手を振ってたよ!」

「そうか。ところで、わたしは今、試合前の大事な話をしている。わかるか?」

「「えー? だってココロン(心)先輩、いっつも同じこと言うし(言いますし)」」

叶実ドリーム伶美ハッピー、後輩がこう言っているんだが、おまえたちはどう思う?」

「私は立場上あなたを支持するわ、キャプテン」

「私も立場上あんたを支持するよ、キャプテン」

「渋々っ!? わたしの話はそんなに退屈なのか!?」

龍守たつもりさん、そろそろコートに入る時間です」

「ほら見ろ! おまえたちがふざけているからひより(サニー)が怒っているだろう!」

「いえ、私は別に……」

「と、とにかく! 全員傾注っ! 叶実ドリーム伶美ハッピー観鈴パインまるみ(ダイヤ)もなみ(マシェリ)響子エコーひより(サニー)ラブリーアンジュ一凪ブライト丹凛マカロン!!」

「はい」「はーい」「はいさー」「はいはい」

「バラバラっ!?」

「みなさん、油断せずにいきましょう」

「「おおおおっ!!」」

「この統率力の差! おい、ひより(サニー)! おまえさてはキャプテンの座を乗っとる気だな!?」

「リベロはキャプテンになれませんが……?」


 ぐだぐだだった。私は苦笑を押し殺し、隣の人物の肩を叩いて、小声で言う。


「時間よ、キャプテン」

「お、おう! よしっ! 行くぞ!」


 強引にそう締めくくり、彼女はコートへと先陣を切った。その表情が、サイドラインを跨いで戦場コートに入った瞬間、きりりと引き締まる。先程までとはまるで別人――県第一代表・法栄大立華のキャプテンに相応しい、凛々しい顔つきだ。


「お遊び気分もここまでだ。切り替えろよ。イージーミスが命取りになる」


 三年・キャプテン、レフト・175センチ、龍守たつもりはあと


「任せてくださいってー、はあと先輩!!」


 二年、ミドルブロッカー・180センチ、新垣にいがきめぐみ


「……ラインアップ……」


 三年、ミドルブロッカー・171センチ、豊見とみもなみ。


「昨日と、変えてきてますね」


 二年、レフト対角・170センチ、小松里こまつり一凪ひとな


「うちと同じS3ね。これは……まあ、そういうことでしょう」


 三年・副キャプテン、セッター・165センチ、宮野みやの叶実かなみこと、私。


「いいねいいねっ! 真っ向勝負だよ、ノノリン!!」


 二年、スーパーエース・177センチ、天久保あまくぼじゅん


「………………」


 そして三年、リベロ・162センチ――三園みそのひより。


 ――――――――

 心 叶実 もなみ

 愛 純  一凪  L:ひより


 副審によるラインアップのチェックが終わり、ボールが流される。サーブは南五和あちらから。ひよりと愛が交替し、全員がそれぞれのコートポジションにつく。


「まずは一本! 集中していくぞ!」

「「おおおおっ!!」」


 キャプテンの力強い声に、今度こそ全員が揃って答える。

 そして、プレー開始の笛が鳴った。

登場人物の平均身長:164.6cm

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