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じょばれ! 〜城上女子高校バレーボール部〜  作者: 綿貫エコナ
第九章 AT和田総合体育館(I)
324/374

201(ひかり) 部屋にいくつかあるバレーボール

「そうですか……ええ。ええ。お疲れ様です。今日はゆっくり休んでくださいね。では」


 通話を切り、画面を見ると、相手の名前が表示されています。半井なからい吹子ふうこさん――玉緒第二高校に進学した、中学時代の同級生です。今日は県大会の第一日目で、半井さんの所属する玉緒第二バレーボール部は二回戦敗退、ベスト16という結果に終わりました。


 それでも、電話の声がどこか晴々としていたのは、試合に出場したメンバーが、全力を出し切ったと、観客席ギャラリーで見ていてもわかったからなのでしょう。


 此度の県大会の組み合わせを知ったとき、私は思わずにはいられませんでした。


 もしも、城上しろのぼり女子ではなく、玉緒第二に進学していたら、と。


 考えるたび頭に浮かんでくるのは、半井さんとともに先輩たちを応援している、自分の姿。


 その想像を追い払うように、私は首を振ります。


 観客席ギャラリーから見ているだけでは、意味がない――。


 ぴこんっ、と携帯がメッセージの着信を知らせました。差出人は、立沢たちさわ先輩。明日の県大会偵察についての連絡です。承知しました、ありがとうございます、と返信。


 すると、ぴこんっ、とまた別のメッセージが送られてきました。差出人は、宇奈月うなづき実花みかさん。部内グループではなく、私個人に宛てたものです。


『いよいよ明日だねっ! お姉さんのこと、緊張してる?』


 私は少し考えてから、返信します。


『緊張してます。が、大丈夫です。ありがとうございます』


 ちょっと素っ気ないかな、と思いつつ反応を待っていると、Vサインと笑顔のイラストが返ってきました。思わず力が抜けて、笑ってしまいそうになります。


「ふう……」


 ぼふっ、とベッドにうつ伏せに倒れます。それから寝返りを打って、枕元にあるバレーボールに手を伸ばし、表面の、経年劣化でざらついた感触を確かめます。


 小学生用の軽量4号球。私の部屋にいくつかあるバレーボールの中でも最古参。小学二年生になって、姉の後を追ってクラブに入った時に、シューズとともに買ってもらったボール。


 あれから、八年。


 これが恐らく、最後で、最大の、チャンス。


 明日は、言わばそのための、下準備。


 緊張はしますが、無駄にするわけにはいきません。


「……お姉ちゃん……」


 直に会うのは、半年ぶり。


 瞬間、私は、がばっと飛び起きました。


 ああ、なんということでしょう……! 私としたことが、非常に重要なことを失念していました!


「気づいてよかったです! そうでした――制服ッ!」


 急ぎアイロンをかけねば、です!































挿絵(By みてみん)

ご覧いただきありがとうございます。

第九章はこれにておしまいとなります。


次章では県大会二日目の模様をお送りする予定です。

また日が空いてしまうと思いますので、のんびりとお待ちください。


では、いつも応援ありがとうございます。

またいずれ(目標は年内くらい……!)お会いしましょう。


今後ともよろしくお願いいたします。

この度はお立ち寄りいただきありがとうございました。

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