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じょばれ! 〜城上女子高校バレーボール部〜  作者: 綿貫エコナ
第八章(城上女子) VS明正学園高校
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171(ひかり) 横ピース

 何やら相手ベンチからびしびしと視線を感じるタイムアウトでしたが――まあ、三泊四日で寝食を共にしながらフルネームを覚えてもらえずに終わるというのも、それはそれで水臭いでしょう。ここらが潮時だった、ということで。


「バレちゃったね、ひかりん」


「構いませんよ。それに、一年生はまだしも、星賀ほしか先輩や小田原おだわら先輩にまで『ひかりん』呼びを強いるのは、なんだか申し訳ないですし」


「えー? そこは申し訳ないとこ違うような?」


「私のことはさて置いて、です。宇奈月うなづきさんこそ、サーブ、よろしくお願いしますよ」


 現在のスコアは、19―24。


 正しく崖っぷちの現状。サーバーの宇奈月さんには、ここから最低でも五本は入れてもらわねばなりません。そしてサーブを入れてさえいただければ、あとはリベロがボールを落とさなければいい、という話です。


「まっ、できるだけのことはするね!」


 こんな状況でも欠片の緊張も見せず、ぶいっ、と横ピースをする宇奈月さん。「頼みました」と言って私はコートに戻り、定位置コートポジションにつきます。


「っさあああ行きまあああああぁぁぁぁああすッ!!」


 主審の笛が鳴るや否や、とびきり(無駄に)大きな声が体育館に響き渡ります。私は相手コートを見据えたまま、宇奈月さんの息遣いと動きを背中で感じ取ります。いつもの癖も偏りもない綺麗なフォームでフローターを放とうとしている宇奈月さん。ふっ、と相手のレシーバーの視線が僅かに上を向きます。トスアップしたのでしょう――そしてその直後、


 ばしんっ、


 と軽快に打ち出されたボールは、





















 ――がざっ、


 とネットに直撃しました。


「は?」


 がばっ、と私は即座に背後を振り返ります。宇奈月さんは私と目が合うと、ちろっ、と一瞬だけ舌を見せました。そしてわざとらしく顔を両手で包み、天を仰ぎます。


「うわーん!! すいませんすいませんすいませ――ぷくぽぉ!? ちょ、ひかりんっ!? 憤怒おいかりはごもっともですが暴力(お腹にエルボー)はよくないと思います!!」


「問答無用ですっ!! この不届者ッ!! 不埒者ッ!! 不心得者オオオッ!!」


 かくて、宇奈月さんのサーブミスにより、スコアは19―25。


 城上女子VS明正学園――その第一セットは、ひどくあっけない幕切れとなったのでした。


 なお、


「ああんっ! いやんっ! ひかりんのチョップが降り注いでやまないっ!」


 私の宇奈月さんへの折檻おしおきは、見かねた藤島ふじしまさんが宇奈月さんを庇うように割り込んできて私のチョップを受け始めるまで延々と続きました。


 げきおこぷんすかぷんぷんまる、です!!

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