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じょばれ! 〜城上女子高校バレーボール部〜  作者: 綿貫エコナ
第六章(明正学園) AT獨和大附属楢木高校
180/374

38(夕里) 試合開始

 全集が済むと、各校とも即座に試合に向けてアップを始めた。最初の試合まで正味一時間もないが、そこは獨楢どくならセントレも鶴女つるじょも伝統ある強豪――決められた時間の中で効率よくコンディションを整えていく。


 当然ながら、村木むらき先生の大胆告白を消化する暇も、それについてあきらを問いつめる暇も、あるはずがなく。


 Aコートに獨楢と鶴女、Bコートにウチらとセントレと分かれての、ウォーミングアップ。


 ランニング、ダッシュ、ジャンプ、パス、レシーブ、そして全体でのスパイク、からのサーブ――。


 あれよあれよという間に、気付けば第一試合開始の五分前となっていた。


 ウチら七人はAコートとBコートの仕切り網の端っこに集合して、汗を拭きながら早鈴はやすず知沙ちささんの用意してくれたドリンクに口をつける。


「Bコートの最初の試合は、獨楢とセントレの新人チームで行うことになった。私たちはまず見学――もとい、全員で補助員をする」


 そう言うた星賀ほしか志帆しほさんは、主催の獨楢が用意したラインジャッジのフラッグを抱えていた。


「ラインジャッジ四名と、スコアボード係二名。スコアボード係は知沙と西垣にしがきさんにお願いする。それとラインジャッジだが、とりあえず私と、あと三人」


「私、やりますよ」


 食い気味に立候補したのは、意外にも瀬戸せと希和きいなさん。星賀さんは微笑を浮かべて瀬戸さんにフラッグの持ち手を差し出す。瀬戸さんは旗を三本引き抜いて、うち二本を露木つゆき凛々花(りりか)さん・今川いまがわはやてさんコンビに押しつけた。


「せっかくだから特等席ちかいところで見ましょ、全国レベルのプレーってやつをさ」


「「全国レベル……! そうね(だな)っ!!」」


 瀬戸さんの煽り文句に、露木さん・今川さんコンビは目をキラキラさせて頷いた。かくして担当決めは、ウチが口を挟む前に完了してしまう。


「というわけで、さかえさんには西垣さんのサポートをお願いする」


 にっこり笑ってそう言う星賀さん。自らラインジャッジを勝手出たとこから推察するに、どうやらウチに気をつこーてくれたらしい。あと、やけに積極的だった瀬戸さんも、きっとそれに乗っかったってことなんやろな。


「……了解しました。おおきにです」


 ウチはぺこりと頭を下げる。それから、瀬戸さんにも目だけで礼をした。瀬戸さんは「なんのことやら」とばかりに肩を竦める。


「では、各自持ち場についてくれ。まもなく試合開始だ」


 ウチらは一斉に動き出す。早鈴さんはセントレサイドのスコアボードへ、ウチと西垣さんはその反対の獨楢サイドのスコアボードへ。ラインジャッジの四人は、一番近い角に星賀さんがついて、あとは時計回りに露木さん、瀬戸さん、今川さんの配置となった。


 セントレと獨楢の新人チームは、ベンチで監督の先生から指示を受けている。その間、両チームのキャプテンは主審の神保じんぼ沙貴子さきこ先生と副審の柿崎かきざき悠斗ゆうと先生(獨楢コーチ陣の一人。専門は守備レシーブで、背はウチより低い)とサーブ権争い。それが済むと、キャプテンはベンチに戻り、ほぼ間を置かずにメンバーを引き連れてエンドラインへ。審判の先生たちも所定の位置へ向かう。


 やがて、審判台に登った神保先生が、厳かに笛を吹いた。


 同時に、同じように準備を進めていたAコートのほうでも、笛が鳴った。


「「よろしくお願いします!!」」


 数十人規模の声が、体育館を震わせる。


 Aコート、獨楢レギュラーVS鶴女レギュラー。


 Bコート、獨楢新人チームVS(セント)レ新人チーム。


 奇しくも、どちらも獨楢側のサーブから始まるようやった。

登場人物の平均身長(第五章〜):166.5cm

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