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じょばれ! 〜城上女子高校バレーボール部〜  作者: 綿貫エコナ
第五章(明正学園) VS三坂総合高校
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8(七絵) 明晰夢

 浅い眠いの中で見る夢は、明晰夢になりやすい。


 今回のも、そうだった。


 これは、夢。


 私は試合中だった。バレーボールの試合。私はネット際にいて、私に返ってきたボールを追いながら、落下点に入るところだった。


 さてどこに上げよう――。


 私は考える。


 実際の試合ならば、最も得点する可能性の大きなところに上げるべきだ。


 しかし、これは、現実の試合じゃない。夢の中の試合。


 となれば、上げたいところに上げるのがいいだろう。


 とんっ、


 と軽くジャンプしてボールを捉え、背後にバックトス。


 振り返ると、彼女が飛び上がっていた。


 彼女の背中には、白い、天使の翼が生えていた。


 翼の生えた彼女は、


 重力に縛られることなく空中に留まり、


 しなやかで柔らかなその肢体をぐっと逸らせ、


 一番高いところで、力いっぱい、ボールを叩くのだ。




 ばちんっ!




 聞き慣れた音。


 聞き惚れた音。


 一番近くで、一番長く、私はあの音に耳を澄ませてきた。


 トスを上げれば上げた分だけ、いつだって、彼女は決めてくれた。


 私は何度も同じところにトスを送る。


 そして、ブロックフォローにも入らず、ただその打音を聴く。


 夢の中だからできること。




 ばちんっ!




 ばちんっ!




 ぴろぴろ!




 ……ん?


 なんか今、変な音が混ざっていなかったか?




 ばちんっ!




 ばちんっ!




 ぴろぴろ!




 ばちんっ!




 おかしい……なんで試合中なのに、携帯の着信音が鳴っているんだろう。


 ああ、そうか。


 これは、夢だから。


 ん? 夢……?























 ――ぱちり。


 目を開けた。


 身体を覆う布団と、柔らかい枕の感触、見慣れた天井。


 重い頭をのろのろと動かして、ベッドサイドの目覚まし時計(誰が止めたのか――まあ消去法で私なのだけれど――目覚まし機能は既にオフになっている)を見る。


 現在時刻は、9時32分。


 時計の横には、携帯電話。設定時間いっぱいまで音を鳴らし切り、それでも気付かない持ち主のため、いまだ着信を伝えようと健気に明滅している。


 私は頭を押さえる。


 …………やってしまった。

登場人物の平均身長(第五章):167.0cm

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