1(知沙) 私立明正学園高校
※ここから、一時的に舞台が別の高校に移ります。
四月。
私立明正学園高校入学式、前日。
私と星賀志帆ちゃんは、昇降口にある校内掲示板の前に立って、一枚のポスターを見つめていた。
四月恒例の部員勧誘ポスター――部活名は『女子バレーボール部』。
県大会出場が過去数回、現在は正式部員三名という、いわゆる弱小部。今年新入部員が入らなければ廃部もありうる、そんな風前の灯火、虫の息な、我らが女子バレーボール部。
「新入生、集まってくれるといいね」
私がそう言うと、志帆ちゃんは「うん」と力強く頷いた。
「大丈夫、きっと集まる」
「けっこう……ハードルの高いポスターにしちゃったけど……」
「それゆえに目立っているのだから、なんの問題もない」
私と志帆ちゃんは改めて、二人で作ったポスターを見る。
部活名の『バレーボール部』の横に、ぎざぎざの吹き出し。そこには大きく『挑戦者求ム!』の文字。ポスター中央には、果たし状のイメージで、詳細を毛筆で箇条書き。
『史上最難関入部試験有リ! 我こそはというアタッカー募集!』
『合格者特典:エースの座! 参加賞:おいしいお菓子とジュース!』
『腕に自信のあるそこの貴女! プライドを粉々にされる覚悟ができたなら、ぜひ第一体育館へ!』
『なお、入部試験希望者はポスター下部の挑戦券をちぎってね! お菓子が食べられなくなるよ!』
『挑戦券:四月○日××時@第一体育館』
なかなかアグレッシブなポスターだ。配色はキツいし、よくある可愛い絵とかキャラクターも一切ない。女子高生っぽさゼロ。さらには、部員が集まらなければ廃部もありうるのに、史上最難関入部試験を設定するというこのチャレンジ精神。そして何よりアグレッシブなのが、
「ナナちゃんに許可取ってないけど……オーケーしてくれるかな?」
「次会った時に、私から話しておく。ダメだった時はお菓子パーティ計画に戻るだけ。やはり問題はない」
史上最難関入部試験――その試験官になってもらう予定の人物に、試験を設定したことすら伝えてない。
最初はお菓子パーティへのお誘いだったのを、志帆ちゃんが膨らませたのだ。
「……新入生、集まってくれるといいね」
「大丈夫だよ。まったく知沙は心配性だな」
志帆ちゃんは私を安心させるように、自信たっぷりの笑顔で言う。すごいなあ志帆ちゃんは、と、いつものように私は感心する。
私も、できることなら、志帆ちゃんみたいに泰然と構えていたい。けれど、なかなかうまくいかない。
私はまたポスターに目をやる。
入学式は、明日。
どんな新入生がやってくるのだろうか。
登場人物の平均身長(第五章):149.5cm
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あけましておめでとうございます。
さて、本編ですが、しばらくは明正学園を中心としたお話が続きます。
それに伴って目次などを少し整理しようと思います。
今後もよろしくお願いいたします。




