ねたばれ8
『ねたばれ』は、城上女バレー部の日常を主に台詞で四コマ漫画風に描くものです。過度な期待はしないでください。
<登場人物>
宇奈月実花:バレー大好き少女。一年生。声が大きい。
三園ひかり:中学時代はリベロ。一年生。背が低く、癖っ毛。
藤島透:中学時代はレフト。一年生。背がとても高い。
霧咲音々:中学時代はセッター。一年生。部活の時以外は眼鏡。
北山梨衣菜:中学時代は水泳部。一年生。漫画『High-Q!!』に感銘を受けた。
岩村万智:城上女バレー部・主将。二年生。テディベアに似ている。
立沢胡桃:城上女バレー部・マネージャー。三年生。
市川静:ポジションはセッター。最近部活に復帰した。三年生。
油町由紀恵:代打の切り札。最近部活に復帰した。三年生。
村田和恵:スポーツショップいわむら従業員。初めての人にも優しいお姉さん。
* トレーニンググッズ
――引き続きスポーツショップいわむら店内
由紀恵「あっ、トレーニンググッズだ! 使ってみてもいい?」
万智「こっちにお試し用のがあるので、どうぞぉ」
静「あぁ、これよく見るね。握力鍛えるやつ」
万智「そうでぇす。テレビを見ながらにぎにぎしたり、お風呂上がりににぎにぎしたりしまぁす」
由紀恵「グリップの色が違うのは?」
万智「バネの硬さが違うんですよぉ。赤、オレンジ、黄色、緑、青、紫の順で硬いです」
由紀恵「わかった! つまり弱いヤツから順番に倒していけと!」
静「またそんな」
万智「まぁそういうことですねぇ」
静「小学生みたいな――えっ! そういうことなの!?」
* にぎにぎ1
由紀恵「というわけで、みんなでチャレンジしよー!」
万智「いえーい!」
ひかり「何が始まったんですか?」
静「小学生が喜びそうなことかな」
梨衣菜「おっ、それはにぎにぎするやつっスね! なるほど! 大体わかったっス!」
実花「私も概ね把握しました!」
音々「悔しい……あたしもわかってしまった……」
透「これはグリップの色が違うと硬さが違うんですよね?」
万智「そぉゆうこと。じゃ、一番軽い赤さんから倒していきましょう! 胡桃さん、どうぞぉ!」
胡桃「ふぬっ……! うっ、これまでか……みんな、あとは任せた……」
静「レベル1でいきなり脱落!? 胡桃はもっと体力つけなよ!」
* にぎにぎ2
万智「胡桃さん以外は赤クリアですねぇ」
由紀恵「なんの負荷も感じなかったよ!」
梨衣菜「綿飴みたいな柔らかさだったっス!」
万智「じゃあ次はオレンジでぇす!」
ひかり「ふむ……これなら、私でもまだ余裕があるくらいですね」
静・音々「同じく」
万智「じゃあ黄色さんでぇす!」
ひかり「むっ……」
実花「ひかりん、頑張って!」
透「て、手伝おうか!?」
ひかり「いえ……えいっ!」
梨衣菜「おおっ! やったっス!」
ひかり「ふー……厳しい戦いでした。次からはお役に立てないと思います」
透「わ、私もやってみていい?」
ひかり「どうぞ」
透「んっしょ」
音々「三園があれだけ手こずった黄色を……まるで飴細工のように握りつぶしたわね」
透「き、霧咲さん! そういう実況要らないから!」
由紀恵「次いこ次ー!」
* にぎにぎ3
万智「はぁい! 後半戦突入! 続いては緑さんでぇす!」
ひかり「これは硬いですね……」
静「おっ……」
音々「んん……」
梨衣菜「霧咲殿! もうちょっとっス! 頑張って!」
音々「よしっ――ふんぅぅうん(裏声)!」
静「霧咲さん! やめて、力抜けちゃう!!」
音々「ふへ……?」
万智「静ちゃんと音々ちゃんはここまでですかねぇ」
音々「中間色止まり……ちょっと悔しいわね。誰か、あたしの代わりにこいつを倒して」
実花「はいはーい! よっ!」
万智「おおー! やるねぇ実花ちゃん!」
音々「あんたも大概バカ力よね」
実花「えへへ、それほどでも!」
* にぎにぎ4
万智「いよいよ寒色! ここからさらに強くなりますよぉ。では青さんをどうぞぉ!」
実花「おっ、これはなかなか」
梨衣菜「やっとまともな敵に出会えたっスね!」
由紀恵「まだまだ余裕っしょー。透くんは?」
透「私は……あっ、ちょっと、うーん、厳しいですかね、あはは」
由紀恵「こしょこしょこしょ」
透「ひやっ、くすぐった――あっ」
音々「すごいわ……グリップが一瞬で車に轢かれたカエルのように……」
透「霧咲さん! 比喩のチョイスに悪意があるよ!」
万智「みんなやるなぁ。じゃあ、次がいよいよラスボス! 紫さんの登場です!」
* にぎにぎ5
実花「あぁ、これは硬い。日常的には使えないですね」
ひかり「と言いつつ曲げられはするんですね」
梨衣菜「五にぎにぎくらいで手が痛くなってくるっス」
由紀恵「まあまあかなー」
音々「ほら、藤島、さっさと握りなさいよ。握れるんでしょ」
透「霧咲さんがいじめる……」
静「実際どれくらい硬いの――うわ、本当に硬い。両手でやっと」
音々「市川先輩の両手、イコール、藤島の片手」
透「もうっ! そういうのやめてってばー!」
胡桃(あっ、透、無意識のうちにグリップを握り締めてる……)
* にぎにぎ6
万智「みんなすごいねぇ。うちのお父さんでも紫は硬いって言うくらいなのに」
ひかり「私もやってみましたが、片手ではぴくりともしませんでした」
音々「あたしも。これから藤島たちと握手するときはちょっと身構えちゃうわね」
透「今日の霧咲さんはいじわるだよぉ……」
由紀恵「ところで、ずっと気になってたんだけど、万智ちゃんがさっきからにぎにぎしてるそれって」
梨衣菜「ん?」
実花「お?」
万智「あっ、気付きましたかぁ? えへへ、これはマイにぎにぎですよぉ!」
静(グリップの色が真っ黒!?)
胡桃(バネがもの凄く太い!?)
万智「トレーニンググッズは自分に合った負荷のものを選びましょう! 継続は力なり、でぇす!」
* 履いてみた
和恵「みんな、ジャージのサイズと、刺繍する名前はこれで間違いない?」
「「はい!」」
万智「一週間くらいでできると思うからぁ、届いたら持っていくねぇ」
胡桃「じゃあ、そろそろお暇しようか。今日は長々とお邪魔しました。ありがとうございます」
和恵「シューズのお手入れの仕方とか、サポーターの付け方とか、わからないことがあったらなんでも聞いてね」
「「ありがとうございます!」」
万智「じゃ、みんな明日学校でぇ。お疲れ様ぁー」
「「お疲れ様でした!」」
――その帰り道
ひかり「そう言えば、新品のシューズは少し慣らしてから使ったほうがいいと聞きますね」
音々「あたしは新品買ったら、家で履くことにしてるわ」
透「私も手でぐにぐにしたりする」
実花「履き慣れることは大事だよね」
梨衣菜「わかったっス! 家に帰ったら履いてみるっス!」
――帰宅後
ひかり「お……北山さんからですね。どれどれ」
梨衣菜『みんなへ! シューズとソックス履いてみたっス! なんかこう、自分、バレーボーラーになった感じするっス!』
ひかり「さすが行動が速い。写真見せてください……っと」
梨衣菜『じゃーんっス!(姿見に映した全身写真付き)』
ひかり「えっ!? ちょ、なんで競泳水着着てるんですかこの人!? 競泳水着+ハイソックス+バレーシューズとかマニアック過ぎますよ!! その格好でバレーボーラーになった感じするって――バレーボーラーに対するイメージ間違ってますから!!」
梨衣菜『いやー、いいっスね、新しいシューズ! 興奮するっス!』
ひかり「私も興奮を禁じ得ません! 興奮の種類も原因もあなたとは違いますけれど!」
梨衣菜『ママに見てもらったら、『いい感じね!』って言われたっス!』
ひかり「お母様!? 迂闊な褒め言葉はよくないですよ! ちゃんとツッコんであげてください!」
梨衣菜『弟にも見せてきたっス! 『かっこいい』って言われたっス! きゃー!』
ひかり「弟さーん!! 視力いくつですか!? 冷静によく見てください!」
梨衣菜『あっ、パパ帰ってきたっス! ちょっと見せてくるっス!』
ひかり「待って! 北山さん、全力で待って!」
梨衣菜『……もう、パパひどいっス! ぷんぷす!』
ひかり「お、これは……?」
梨衣菜『『それバレーシューズか? 新品だな。よし踏んでやろう』とか言い出したんで逃げてきたっス!』
ひかり「お父様ー!! なぜ足元しか目に入らなかったんですか!?」
梨衣菜『じゃあ、自分、夕食なんでこれでー』
ひかり「そのまま家族団らんですか!? 着替えるんですよね? 着替えるんですよね!? もしもーし! 北山さーん!」




