84話色欲にリベンジするために帰る
ワタルの隣に座ったアスモデウスは妖艶な瞳をワタルに向け、その瞳に目を奪われ何かに憑依された様に意識が朦朧になり、瞳がトローンとトロけていく。
意識が徐々に保持出来なくなり、ワタルはアスモデウスの太腿へ倒れ込んだ。明らかにアスモデウスの仕業なのは間違いない。
そして、意識を完全に手放した。
━━━━精神と魂の狭間━━━
「相変わらず、ここは真っ暗だな。自分の手足までも見えやしない」
少しの光でさえ入り込む余地が無いほどの暗闇の世界。この世界の住人でないと、まともに魔法が使用出来ないばかりか厄介な敵が徘徊している。
「いつもなら、シズカが見つけてくれるのだけれど………」
うーん、周辺は相変わらず闇が充満しており光一粒も見つけられない。それどころか音一つさえ聞こえない。
こう暗闇だと方向感覚以前に自分という存在を見失かねない。早くシズカとララを探さなくては。
「おーい、シズカぁぁぁぁぁ………ララぁぁぁぁぁぁ」
山びこの様に音の反響もなく、周囲に壁らしき物がないのは確認出来た。ただそれだけだ。何の解決にもなってない。
やべぇ、超不安になって来たんだけど………確か、ここに長居してるとヤバいって話じゃなかったか。
ワタルは焦り顔面蒼白になっていく。ここから戻れない場合、現実の体は死ぬ。魂が入ってない脱け殻な体はいずれ死ぬのは、どの世界でも同じ事だ。
まぁ、ワタルがいた地球では魂という存在は地域によっては信じられてるが大抵は信じる人類はいない。
焦って行動開始しようとした時、頭上から何かが落下し、その下敷きになってしまう。
「ぐへっ!いっ、一体何だ!」
「ルル投げ過ぎだよ。着地に失敗したじゃないか」
「ルルは悪くない。シズカの言う通りにしただけ」
俺の上でケンカを始める二人。二人は、外見子供なのでそこまで重くないが、ケンカしてるせいで振動が加わり微妙に痛い。
うぅ、起き上がろうとするが二人が上空から落ちて来たせいで脳震盪になったようだ。今は上手く体が動かない。
「「ううぅぅぅぅぅ」」
ドスドスバシバシ
ワタルの上で足踏みが続けられマッサージみたく痛みより気持ち良さが勝ってきた。やべぇ、逆に眠くなってきたかも。
徐々に瞳が細くなり完全に瞼を閉じた時、誰かに呼ばれた気がした。その声?で意識が一気に覚醒した。
「お、お前ら!いい加減せい」
「「きゃぁぁぁ」」
ふぅ、危ないところだった。もう少しで永遠の眠りにつくとこだった。雪山で寝たら死ぬみたいな感じだ。
いきなり起きたせいか上に乗ってたシズカとルルは地面に落ち顔面強打した。まぁ自業自得だから、俺は謝りはしないぞ。
「いたたたっ、もう急に起き上がろうとしないでよ」
「それは俺が下にいるの分かってたという事だよな?」
シズカの視線が泳ぎまくってる。これは図星だな。まぁ取り敢えず会えて安堵した。もし、再開出来なかったら………考えたくもない。
「ルルは悪くないよ?ルルはシズカがやろうって言ったから」
俺が聞いてないのに、勝手に答える。ルルも共犯だな。しかも、怒られると思って涙がうっすらと浮かんでいる。
こんな表情を見たら下手に怒られないじゃないか。むしろ、何かプリンとか飴ちゃんとかあげたくなる。
「怒ってないよ。ほら、プリンをあげるから笑顔を見せて」
「わーい、プリンだ。はむ、うぅ~ん………この濃厚な甘さ、美味しい」
「あっ!ルルばかりズルい。あゆむ、私もプリン欲しいのだ」
はぁ~、しょうがないな。俺は宝部屋からプリンを取り出しシズカに与えた。
こう見ると普通の子供なんだよな。ただ、その中身は巨大だ。もし、敵になったなら一瞬で塵になるだろう。
「プリン美味しいのだ。そういえば、あゆむ何故ここにいるのだ?」
そういえば、アスモデウスの瞳を見た途端、体が動かなくなりここにいた訳だ。
クソッ、フランの城だから油断したぜ。あのクソ女魔族、俺をどうするのか不明だが今度会ったらただじゃおかない。
そうするには、まず早く戻る必要がある。俺の体は無事だろうか?
「ふむ、成る程なのだ。あゆむの体は無事なのは確かだ。もし、死んだならここも消滅してるからな。よし、手助けしよう。あゆむ手を差し出すのだ」
シズカの言う通りに手を差し出すとシズカが握り締めるのと同時に何やら体に流れ込んでるような感覚を覚える。上手く言葉では説明出来ないが、力が溢れて来るようだ。
「あっ!シズカばかりズルい。ルルもやるぅぅぅぅ」
ルルも俺の掌に触れ、さらに力が流れ込んで一週間位連続で活動出来そうな程力がみなぎってる。
これなら今度こそ遅れは取るまい。いや、楽々殺れるやもしれない。
シズカとルルの力を授かったところで時間が来たようだ。光に包まれ、ワタルは現実へと戻っていった。




