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修行の開始…刀のね

 俺は少し前に五歳になった。


 今日俺は父さんに呼ばれて、今執務室に向かっているところだ。

 今日から刀の稽古が始まることになっていて、教師役の父さんの友達…元パーティーメンバーの方が来てくれるので、その紹介のために呼ばれているのだ。


 俺はどんな稽古を行うのか考えている内に執務室の前まで来ていたようだ。俺は執務室の扉の前に立ち、一呼吸おいて、扉を叩く。

 コンコンコンッ


「イリヤです。」

「入ってくれ。」

「失礼します。」


 俺は一言断ってから執務室に入る。

 奥に政務を行うための机と両端には本棚、そして中央には二つのソファの内装の執務室の中には、仕事用の机に座っている父さんとその前のソファに座る逆立った赤みの強い橙色の髪をした男がいた。

 俺が部屋に入ると、橙髪の男が鋭い視線を向けてきた。


「イリヤ。こいつがイリヤに刀の扱い方を教えることになっている、レオナルドだ。俺の元パーティーメンバーであり、親友だ。」

「お前がアルの子供のイリヤか…アルと違って賢そうな顔してるじゃねぇか。戦いにも頭は必要だが、学者みたいな頭は必要ねぇ。…それに、頭がいいからと言って俺は加減しねぇが途中で音をあげたりしねぇだろうな?」


 レオナルドさんは父さんからの紹介には無関心なように視線を送るだけだ。そして、俺にさすような視線を飛ばしてきて俺に問うた。

 怖いのは怖いけどそれだけだ。強くなりたいのは本音だし。


「当然です。」


 俺はレオナルドさんと視線を交わしながら、短い言葉にできるだけ自分の揺るぎない強くなりたいという気持ちを込めて答えを返した。すると、


「ふう。いいしてるじゃねぇか!」

「当然だ!俺の息子だぞ?」

「へ?」


 レオナルドさんは俺と少しの間視線を交わした後、息を吐くと、刺すような鋭い目線とともに肌を刺すような雰囲気が霧散した。それを見て父さんは嬉しそうにレオナルドさんと話し始めた。

 今までの雰囲気が一気に霧散して友達同士の楽しそうな雰囲気に変わり、俺は少しの間呆けていたが立ち直ると今のが何だったのか、当然気になる。

 変わりようがひどすぎる…。


「ちょ、ちょっと今さっきまでの雰囲気は!?一体何だったの!?」

「ん?ああ、さっきのは試させてもらったんだよ。アルに頼まれたからやってやるのに否はねぇが、芯のないやつに教えるつもりはねぇからな。」

「俺はイリヤなら大丈夫だといったんだが、こいつが譲らなくてな。」


 俺が質問すると、レオナルドさんと父さんは談笑を辞めて答えてくれた。

 レオナルドさんのさっきの鋭い雰囲気が嘘のように柔らかな視線を向けてきた。といっても、元の目つきも鋭いので慣れていなければ怖くも感じるだろう。


 レオナルドさんは逆立った夕焼けのような赤みの強い橙髪に獣を感じさせるような鋭い赤い瞳、180センチ近い身長で引き締まった体つきをしていて威圧感を感じさせる。

 まあ、父さんはいつも通り親バカをレオナルドさんにも見せていたようだ。


 父さんはレオナルドさんと少し話し、こちらに向き直すと


「イリヤ。こいつの教えは厳しいだろうが最後まで諦めずに頑張りなさい。」

「はい!」


 父さんは楽しそうな雰囲気を消し真剣な表情になると俺を言葉で奮い立たせた。いつも親バカで優しい父さんに、こうも真剣に言われると父さんの期待は裏切れないと俺は思った。

――驚かせるほど強くなってやる。


「じゃあレオ。イリヤのことを強くしてやってくれ。」

「当然だ。俺が教えるんだからな。」


 父さんと師匠は拳を合わせると笑みを交わした。

 俺はそれを見て素直に羨ましいと思った。そして、俺もなんでも通じ合っているような友達っていうのが欲しいと思う。

 前世ではいたのはいたけど、少なかったからなぁ。茜…俺の幼馴染な…が近くにいたから結構嫉妬されてたからなぁ。

 この世界ではそれ以上のしがらみはあるけど、隠せば何とかなることだからいい親友を作りたいな。


  俺がそんなことを考えていると師匠が部屋を出て行こうとしていたので、俺も執務を再開しようとしている父さんに礼をしてから、部屋をでて師匠を追いかけた。


-----------------------------


「今日からここで稽古をすることになる。」


 師匠はその建物の中に入っていくのでそれに続いて入ると、師匠は中央で止まって振り返ると俺にそう言った。

 そして着いたのは、王城の一角にある。訓練場のいくつかの内の一つだ。訓練場は周りを魔法の施されたコンクリートのようなもので覆われている。この世界には魔法があるので普通のものでは簡単に潰れてしまうのだ。そして俺が稽古をつけてもらう訓練場は50m×50mの大きさをしている。


「俺が教えるのは刀の振り方、体の扱い方、基本的な技だ。後は実戦の中で無駄をそぎ落として、自分なりの技にすればいい。」

「え!?型とか受け継がれてきた技とかを教えてくれるんじゃないの?」


 俺はそれを聞いて普通に驚いた。こういうのは洗練されながら受け継いできた技術的なものを習うんだと思っていたからだ。

 というか、普通はそういうことを教えてくれるものだよな。


「確かにそういう教え方をする場所はあるが…、決まったことだけを教えていると、そいつの長所が伸ばしにくいんだよ…。洗練された技術に応用、何てな相当達人になってからでないと逆に悪くなりやすいんだよ。…それに、一人ひとり使える魔法も違がうし、魔力の量も違う、身体能力も違う。それなら実戦の中で自分の戦い方にした方が俺は良いって考えなんだよ。」


 俺はそれを聞いて確かにそうかもしれないと思った。

 前の世界では一般人と達人の身体能力の差なんて知れていた。だが、この世界には魔力が、魔法がある。

 だから、身体能力の差が激しい…技術では弱者が強者に勝てないぐらいに。そして前の世界ではできなかったような人外の動きが出来る人なんてざらにいる。


 それを聞くと、自分のできる技術を基本と合わせて独自のスタイルにした方がいいのかもしれない。

 …まぁそれも才能がある人の言うことなのかもしれないけど。

 

 それに魔力を目に集中させれば、体が反応できない速度にまでも見ることができる程の強化もできる。それを使えば無駄を見つけることなんて簡単だろうしな。


「まあこのやり方が嫌なら他のところに行ってもいいんだぜ?」


 師匠は意地の悪い笑みを浮かべながら聞いてきた。まあ当然俺の答えは決まっているわけで…


「いえ俺は師匠の元で師匠を超えるつもりなので。」

「いうじゃねぇか!そういうことならびしびし鍛えてやるよ。」


 俺は意趣返しのつもりで不敵な笑みを浮かべながら答えると、師匠は獣のような獰猛な笑みを浮かべた。

 …やべぇ。ちょっとダメな人を挑発したかも…と俺は早くも挑発したことを後悔していた。















「はあ…はぁ…んく…はあ…ごほっ」

「よく頑張ったじゃねぇか。いきなりこれをやりきるとはな…」


 俺はあの啖呵を切った後師匠に木刀を渡され、稽古が始まった。その稽古が思ったよりも…というか普通5歳には課さないだろっていうような量をさせられた。

 …いくら休憩をはさみながらといってもきついものはきつかった。それに魔力による身体強化は無しでやったからなぁ…。


「今日はここまでだ。これから毎日来るからな。しっかり体を休めろよ。」

「はぁ…は、い」


 俺が息が整い始めるの見ると師匠は俺を置いていこうとしたが、


「いや、今日だけは部屋まで運んでやる。」


 そう言い師匠は俺を抱き上げると部屋まで運んでくれた。途中のメイドさん達の視線がとても優しかった…。


「じゃあな。しっかり休め。」

「…はい…」


 今度こそ師匠は部屋を出て行った。すぐその後に俺の傍付きのメイドが入ってきた。


「イリヤ様…大丈夫ですか?」

「セレスか…。大丈夫だ…疲れただけだからな…。」

「無理はしないでくださいね。」


 部屋に入ってきたのは小さいころからの付き合いである21歳になったセレスだ。

 セレスは21歳になって少し落ち着いて綺麗な女の人になった。そしてあの時は気づかなかったがほんの少し耳が尖っている。そうセレスはハーフのエルフだったらしい。そんなセレスは俺のお姉さんのようなポジションでよく俺が疲れていたりすると心配しにきてくれる。


「セレス。疲れたから寝させてもらうよ。片付けは頼むよ。」

「お任せください。」


 俺はセレスに片づけを任せ、俺は自分に上級時空魔法『加速』をかける。

 加速は名前のままの魔法で時間を加速させる魔法だ。これを体にかけることで疲労の回復を早めるのだ。昼から王宮を抜け出すための休憩だ。


 どうやって王都を周ろうかな?やっぱり屋台を周るのもいいよな。いろん…な店を…まわ…て


「お休みなさい。イリヤ様…」


 


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