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公爵家の末っ子娘は嘲笑う  作者: たくみ


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147.作戦会議②

「というわけで、お次はこちらの方々!ぶーぶー」


 アリスが親指を下に向けぶーぶー言いながら魔法を発動させる。ぶぉん、ぶぉんと現れるは二人の女性の映像。


 若い女性とオバサマと言われるくらいの女性だ。


 濃紺の髪の毛を持つ二人。


「でかっ!」


 バストが。思わず声が出てしまったルビーを祖父がギロリと睨みつけてくるが、いやこのお胸を見て大きいと思わない方がおかしい。


 だが……


「見たことないような」


 こんな特徴的な女性たちを忘れるだろうか。


「タリス男爵の妻ケイトと娘のクレアよ」


「タリス男爵……」


 確か特出するところのない無能男爵だったような。


「こちらのオバハンは陛下の愛妾。こちらの小娘はルカ様が夢中になってる愛妾よ」


 うん?急に陛下が出てきたぞ。


「陛下ももう良いお年なのに、こんなデカパ……色気に落とされるなど情けない」


 王妃がお下品なことを言いかけ、何事もなかったようにやれやれとため息を吐く。


「大丈夫ですよ王妃様。王妃様の方が何倍もおきれいですし、フェロモンもありますよ」


「気色悪いこと言わないでちょうだい!私にはあんな胸焼けするフェロモンなんてないわよ!ていうかいらないわよ!」


「冗談ではないですか。ピリピリしすぎですよ王妃様。でねルビーさん、ケイト様は陛下にクレア様はルカ様に色々とおねだりするのよ」


「二人共使い込んでいらっしゃる……と」


 ここで再びパチリと音が鳴りぷはあと二つの呼吸音がした。祖父である宰相と父だ。


「金はアリス様がうまいことやってくださっている。だが、男爵は大臣にされ、ヤツが大臣になったことで意気がる低位貴族が多発している。ヤツの関係者でほんの少し階級が上がった者もいる」


「タリス男爵家は何を勘違いしているのか実力や身分以上の態度を取るのでこちらにいる皆様は頭が痛いのだよ」


 祖父と父だ。


「それでは皆様のお立場が危ないと」


「いや、大臣といっても名ばかりの大臣職。仕事ができるできないは関係ないし、特に発言権もない。発言してもしょうもないことばかり言うから側室の件以外、陛下は相手にしていない。意気がる者を黙らせることくらい本気になれば……」


 祖父の言葉に暗い笑みを浮かべる面々。怖い。


「うちの状況はよくありませんがね」


 ムスッとした様子でハーゲ伯爵が口を挟む。


「ラシア様の正妃の座は守ればよろしいわ」


 アリスがとても簡単なことのように言うのを見ながらルビーはポツリと呟く。


「…………それはもうほっとけばよいのでは?」


「「「…………………………!!!」」」


 うおっ!びっくりした。皆が目を見開いたからだ。


「全てにおいて負けていて」 王妃


「勝算のないアリス様に」 公爵


「ただ気に入らないからと」 ハーゲ伯爵


「つっかかっていた」 宰相


「お前がそれを言うか!?」 ルビー父



 な……仲良しか。ていうか失礼な。


「ルビーさんならわかるでしょう?気に入らない相手を引き摺り落としたい気持ち」


 アリスのなんとも仄暗いねっとりとした響きのする声音にルビーは思わずゴクリと息を呑む。


「能力がないくせに、男の愛情いや性欲?にしなだれかかる女。妻や娘を売り物にして権力を得ようとする男。有能であればまあ目を瞑るけれど、ただかき回すだけの迷惑な存在。そんなものには消えていただかなければ」


 ふふっと笑う様はまるでおとぎ話に出てくる魔女のようだ。ああ、と何か思いついたように手を軽く振るアリス。もう一人の映像が出る。


「この人は……?」


 特徴の見当たらないどこにでもいそうな長めの濃紺の髪の毛を背中で束ねた男性だった。


「タリス男爵の長男ヤハよ。精神科医。マリーナ様の主治医よ」


「この男は?」


 何を仕出かしたのか


「身の程知らずにもマリーナ義姉様に恋心を抱くクソ野郎。でも……男爵家の中で一番気をつけるべき男」


 いや、誰かに恋心を抱くのは致し方ないこと。

 

 だが、アリスのこの言い様。よほど嫌いなようだ。



「どいつもこいつも本当に傍迷惑な家族よねー……」


 ルビーはゾッとした。


 果たしてこの男爵家の運命はどうなるのか……と。


 だが、はたと気づく。



「男爵はいいんですか?」


「小者など放っておけば良いのよ?」


 コテンと首を傾げるアリスの言葉に皆静かに笑う。


 その静かさがルビーにはなんとも薄ら寒かった。


 身体が冷えたからか、頭も冴えた。



「あの、それで私は何をすれば宜しいのでしょうか?」


 そもそも何か頼み事があるとか言っていたはず。ルビーの言葉にニタリと笑うと視線をルビーに向ける面々。もはや嫌な予感しかしないルビー。思わず一歩後退る。


「ルカ義兄様の側室になってほしいの」


「は!?」


 思わず大きい声を出してしまい、慌てて口を押さえるルビーを美しい笑みを浮かべながらアリスは言う。




「あなたに拒否権はなくってよ?」








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