第34話 前田慶次とアンナ(解説編)
色々と悩んだ末ですが、前田慶次とアンナを描いて、一旦、この小説を完結させます。
他にも描こうか、どうしようか、と迷うキャラが両手の指でも、とても収まらない程にいるのですが。
その中には、それこそ後水尾天皇陛下や鷹司(上里)美子の実子で上里清の養子になった上里松一等もいるのですが。
現状では、どうにもプロット等が上手くまとまらなくて、これで終わらせます。
さて、何で前田慶次とアンナを最後にしたのかを述べるならば。
どうのこうの言っても、アンナがエウドキヤ女帝の実姉である、という理由からです。
更に言えば、それこそ光芒のような一瞬の煌めきかもしれませんが、二人共に本編等で煌めいたときがあり、この人物伝でこの後でどのように想われているのか、というのを描かねば、と考えた次第です。
そして、感想欄等で言われましたが、この二人が本編等で出てくると、本来は仮想歴史小説の筈なのに、大冒険小説等のような雰囲気に思い切り変わるという事情も相まってのことになります。
まずは前田慶次ですが、漫画の「花の慶次」の影響をかなり受けて造形、描写しています。
というか、昨今の前田慶次のイメージですが、その多くが「花の慶次」の影響を受けて描かれている気が私はしてなりません。
もっとも、私が「花の慶次」を読んだのは、それこそ週刊少年ジャンプ連載時の頃で、単行本を揃えはしたものの、他の漫画本等が増えたために、購入して数年程で古本屋に全巻を売却処分した覚えがあり、20年以上、というより30年近く前のことになります。
(ネットで確認したら、「花の慶次」の連載終了は1993年7月とのことです)
そんなことから、かなり怪しい記憶になりますが、それでもあのインパクトは印象に残っており、後、隆慶一郎氏の他の著作の影響もあって、この世界の前田慶次とロマの関係等を描くことになりました。
そして、前田慶次を出す以上は、当然に前田慶次に寄り添うヒロインも出したい、と考えたのですが。
私の筆が奔った結果、イヴァン雷帝の長女アンナが、前田慶次に寄り添うとは。
序に言えば、ローマ帝国のエウドキヤ女帝の姉にもなるという。
(序でで済ますな、とエウドキヤ女帝に激怒されて、私の夢の中で、私のクビはギロチンで飛ぶことになりそうですが)
これまで、数々の創作物で前田慶次は描かれてきましたが、前田慶次の相手のヒロインとしては、最も高貴な女性かもしれない、とまで私は考えてしまいます。
それにしても、幾ら前田慶次が破天荒な人物とはいえ、モスクワのクレムリンまで赴いて、イヴァン雷帝の娘をさらうとは。
度々、繰り返していますが、本当に私の筆が奔り過ぎました。
でも、何故か描いてみると、前田慶次とアンナの夫婦関係に違和感がないことに。
更に言えば、アンナの夫である以上、前田慶次はエウドキヤ女帝の義兄ということになります。
そうなると、色々と政治的策謀等が周囲に巻き起こってもおかしくないのですし、エウドキヤ女帝が疑心暗鬼になって、前田慶次とアンナを監視下に置くようになってとか。
そして、私の筆がその方向に奔る方が、むしろ自然な気さえするのですが。
前田慶次だと、どうにもそうした方向には私の筆が奔らず、それこそ本編で描いたように、エウドキヤ女帝が姉夫婦の問題については完全に匙を投げて、
「お姉ちゃん達の自由にすれば」
と言って放任して。
前田慶次とアンナは、欧州等を気ままにロマ等と放浪の旅を楽しむ、ということになり、それに違和感がないということになりました。
本来からすればアリエナイと言われて、感想欄でも批判等されそうなのですが。
でも、前田慶次ならば、で済むのが本当に凄い気がします。




