マイホームへの侵入者
今日だけでアクセスが四万を越え、
日間ランキング50位圏内に入りました!感謝です!
今日は中庭で木刀の素振りをしている。今回はやらされているのではなく、自発的にやっているのだ。なめてもらっては困る。
あれだけボコボコにされたら、誰だって努力はすると思う。
黙々と全身の力を使うように振る。
百回ほどやると疲れてきた。ちょっと気晴らしに剣道の真似でもしてみようか。
「上段! 火の構え!」
ふふふ、この構えは対戦相手を斬るために
必要な動作は、ただ振り下ろすだけ。斬り下ろす攻撃に限れば、全ての構えの中で最速の行動が可能なのである!
てゆっても、構え方とこのくらいの知識しか知らないけど。
「中段! 水の構え!」
剣先を相手の目に構えるもの。この構えは全ての構えにスムーズに構えることができる。つまり、攻撃、防御、全ての状況に臨機応変に対応できるのである。隙の少ないことから、今の剣道の基本の構えだ。
「下段! 土の構え!」
剣先を水平より少し下に構えて、防御の型と言われているが、機敏には動けなく、相手に対して間合いを大きくとることがある。近年はこの構えを取る人が少ないらしい。
土って何か地味だからね。中二心に響かないのだろう。土魔法は便利だから大好きだけど。
「ふうー」
この構えをすると高校の時を思い出したよ。よく、剣道の時間に先生の目から逃れて遊んでたな。
剣道って何でかけ声いるんだろ?
友達によると『面!』って言って、胴を打ったり、ガッツポーズをすると無効になったりするんだって。
剣道部の友達に真正面からじゃ、勝てないから『胴!』とか言って面をしたらめっちゃ怒られた。
だって、そんなテレフォン斬撃避けられるに決まってるじゃん!相手経験者なのに。
その友達によると、
初心者『めーん』
中級者『メェェェェェェェン!』
上級者『メェンイァァァァァ!』
超越者『言語化不能』
だそうだ。何かポ○モンみたいだ。
後、おじいちゃん達の戦いがすごいらしいとのこと。
俺だって面くらいなら、踏み込みとかできる。その友達が教室でも踏み込みやってくるもんだから覚えてしまった。
「メエエエエン!」
どう? 今の俺。声的には中級者くらい?
「面白い構えだったね。自分で考えたの?」
「え? あ、ノルド父さん見てたの?」
「そうだけど?」
うわああああ!……恥ずかしい
「今の感じで父さんに打ち込んでみなさい」
うわ!出たこのパターン! ノルド父さんことある事に、俺に打ち込ませてくるんだよ。何か嬉しそうだし。
「よっしゃあー! メェンイァァァァァ!(上級者) 」
俺は奇声を発して、ノルド父さんに立ち向かう。くらえ!俺の振りおろし。
「胴!」
「ぐぼぉへぇ!」
……一本……
ーーーーーー
ノルド父さんから綺麗に胴を貰ってからは、しばらく剣はお休み。
今日は魔法の日。今日は土魔法で作った夢のマイホームにブランコを着けるんだ。
屋敷の裏の森。フォークカブトと戯れた場所付近に建設中である。
そこには、エルマンさんに作ってもらった家具を転移であらかた置いてある。お風呂もついてるし、立派な家だ!
俺にとっての第二の拠点である。
「さーて、今日はブランコブランコ~」
そして俺は作りかけの木材をマイホームから取り出そうと扉を開ける。
ガチャ。
「……ガー……ゴー……グー……」
室内を見るといびき声をあげて、大きな男が地面で寝転がっている。いびきの度に盛り上がる筋肉は、バルトロ並のがたいの良さだろう。
「……誰?」
念のため全身をに確認してみる。知らない人だ。こんなゴツい人一度見たら忘れるはずがない。動きやすそうな最低限の場所がカバーされた防具。素材が何かはわからない。すぐそばに転がっている銀色に眩しいばかりの剣は、ぞんざいに扱われて悲しむようにカランと乾いた音を立てる。
ツンツンの髪の毛に、濃い無精髭。
俺に気付いた様子もなく、いびきをかき続けている。
「ご飯ですよー!」
「何! 飯か!」
あっ、起きた。
男はご飯を探して周りをキョロキョロと見渡すが、何も無いことに気付くと舌打ちをして俺を睨み付ける。
「おいガキ。何者だ?」
「いや、それ俺のセリフ。ここ俺の建てた家だから!」
「何だとう!? ここは休憩所じゃなかったのか!?」
「人のマイホーム馬鹿にするな! 奥にいけば、台所に机に椅子にお風呂もあるだろうが!」
俺の言葉を聞くなり、男は立ち上がりのっそのっそと奥に行く。
「うおっ!本当じゃねえか! 部屋があるじゃねぇか! これじゃまるで家だぜ!?」
あの男は俺の前半部分しか聞いていなかったのだろうか?
奥の部屋に行くと、リビングスペースで男がうろちょろと興味深そうに壁や椅子を観察している。
「ほー、へー」
土魔法で作った椅子と机。エルマンさんに作ってもらった椅子と机。両方を置いてある。もちろん将棋も。
「所でオッサン誰? 俺はアルフリート」
「お? 自分から名乗るとは行儀がいいな。俺の名はルンバだ! 」
「ルンバ? あのあちこち動いて掃除するやつ?」
「ん? よく知ってるな? 俺もBランクになってあちこち回ったせいか有名になっちまったかな?」
へへへと頭をガシガシとかきながら照れるルンバ。
何か話はずれてるけど、まあいいや。それよりもともかく。
「ルンバ臭いから風呂に入って!」
これからもよろしくお願いします。




