表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/22

19.ナニカを伝えたくて

 こんにちは、葵枝燕です。

 連載『(から)梅雨(つゆ)()く』、第十九話です!

 それでは、どうぞご覧ください!

「これ、どうぞ」

 そんな言葉と共に、緑茶の入った五百ミリリットルペットボトルが俺に差し出される。俺はそれを受け取りながら、

「すみません。ありがとう、ございます」

と、まだ荒い息を整えつつ言った。ふたを開け、透き通った濃緑色の液体をのどに流し込む。心地よい冷たさが、のど奥を伝っていった。フハッと、小さく声を漏らす。

「生き返りましたか?」

 ()(むら)さんが言う。その声音に、かすかな笑みを感じた。それだけのことで、少しだけ安堵する俺がいた。

「はい、なんとか。すみません、お茶、ごちそうしてもらっちゃって」

「いいんです。気にしないでください」

 微笑みを浮かべる彼女を、あらためて美しいと思った。そんな彼女から、目を離せなくなる。

(あま)(さわ)さん」

「はい」

 彼女は、俺を見ない。紫村さんの視線は、ひっきりなしに車が行き交う道路にだけ向けられていた。拒否されているような気がした。

「なぜ、呼び止めたんですか?」

 その問いは、俺に真っ直ぐに突き刺さるようだった。凍てついているわけでもなく、鋭いわけでもなく――それなのに、刺さって抜けない棘のように、俺に向かって飛んできたのだ。

「なぜ、そんなに息を切らせるまで、私なんかを追うような――そんなことをしたんですか?」

 その言葉が哀しかった。私なんか――か。そこに、彼女が自分自身を卑下していることを垣間見た気がした。なぜ、そんな言葉を発するのか。なぜ、自分で自分を傷付けようとするのか。

 俺は、きっとそんな彼女を見たくなかった。だから、口を開く。

「何かを」

 俺が何を伝えられるのかはわからない。俺が何を言ったところで、紫村さんには伝わらないのかもしれない。傷付けてしまうのかもしれない。

 それでも、伝える前から諦めることはしたくなかった。

「何かを、伝えたかったんです」

 第十九話のご高覧ありがとうございました!

 行間についての意見には応えられませんが、評価や感想などいただけると嬉しいです! 気になる点は、メンタル弱いので何とぞお手柔らかにお願いいたします。

 それでは、第二十話で!

 葵枝燕でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ