魔王、ドラグーン第二小隊を迎え撃つ
「悪いけど、これも戦争なのッ」
「喰らえや人外どもッ!」
麻縄の網で三個を纏めた陶器製炸裂弾が18~20mの上空から次々に投じられ、僅差でタイミングを計り、竜騎士の繰る飛竜達が咆哮と共に大きく顎を開けて着火用の火球を吐き出す。
「グルァァアァアァッ!!」
「…… 無駄だ、転移方陣」
俺は即座に直径10mほどの転移ゲートを宙空へ展開し、投じられた炸裂弾も後を追う火球も全てを飲み込ませた。その接続先は都市ブレアード郊外の高空で、直後に北北東の雲間から閃光が奔る。
「なんだとッ!?」
「くッ、転移魔法かッ!!」
「怯むなッ、相手は所詮二人だッ!!」
初めて空間の歪みを目の当たりにしたのか、少々面食らう竜騎士たちを叱責しながら、マスケット銃を構えた隊長格の男が此方を狙う。追従して他の竜騎士達も銃口を向け、転移ゲートの収束に合わせて乾いた音と共に銃弾を降らせるが……
「それも既に対策済みだ……」
放たれた十発の弾丸は転移ゲートと入れ代わり、既に展開していた淡い光を放つ多重魔法障壁にぶち当たり、一枚目と二枚目の障壁に穴を開けた後、三枚目の障壁を破る事ができなかった。
一応、レドリック少年に協力して貰って、敵国のドラグーンが制式採用しているマスケット銃を想定した魔法障壁の耐久試験も済んでおり、三層以上の多重障壁を突破できない事も確認済みだ。
とはいえ、現在の地球製銃器とちがって口径や弾丸そのものがデカいため、その威力が脅威である事は変わらず、危険性が高い連中は潰せる時に潰しておくに限る。
「…… 特に隠蔽能力のある連中はな」
呟きながら右腕に濃縮していた風属性の魔力を解放し、竜騎士達へ向けてテンペストの魔法を撃ち放つ。
「ちッ、散開ッ!!」
「「ガァアァァアァッ!?」」
「「うわぁああァアァアァ―ッ」」
稲妻を伴って吹き荒れる嵐撃を躱しきれず、四騎の竜騎兵が飲み込まれて姿を消し、辛うじて難を逃れた竜騎兵二騎も雷に撃たれたり、乗騎の翼が折れたりして城内へと落ちていった。
「この化物がッ!!」
「うらぁあああッ!」
吶喊してくる竜騎兵が飛竜に吐かせた火球を魔力付与した左拳で打ち払い、間髪入れずに頭上から突き込まれた鉄槍は半歩退いて躱す。
「なぁッ、ぎぃやあぁあああッ!」
「ッ、グガァアァアァッ!!」
そのまま突き出された鉄槍の太刀打ちを掴んで力任せに引っ張り、相手の体勢を崩しながらも至近から豪焔の魔法を喰らわせると、焔に包まれた竜騎士が乗騎と共に悲鳴を上げて墜落していく。
同様にベルベアも突撃してきた竜騎士の槍撃を飛び退って躱し、無言で向けた散弾銃BT98の引き金を引いて一騎を仕留めていたが…… 残りの竜騎士の姿が見えず、気配も感じない。
「何らかの概念装か…… ベルベア」
「……匂い薄くなった、もう…… いない」
恐らくはテンペストの魔法に紛れ、姿を隠して撤退したのだろう。
念のために感覚を研ぎ澄ませれば、此方にゆっくりと飛んでくる吸血姫の気配があり、暫くの後、ばさりという音を鳴らして隣にスカーレットが降り立つ。
「おじ様、全て終わりましたわ」
「こちらも方が付いた、被害と戦果は?」
「…… 同胞の被害は数名、戦果は概ね想定通りです」
「そうか、苦労を掛けたな……」
想定通りという事は此方と合わせて、リベルディア騎士国の遠征軍が保有する航空戦力の約半数を奪った訳だ。
これで制空権は此方にあるし、一戦を交えた以上、散弾銃で武装した吸血飛兵とマスケット銃しか持たない竜騎兵の戦力差を実感できただろう。
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