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65 おっさんBランクパーティーに昇格する


「ただいま戻りましたわ!」



 アンジェたちが2泊の予定でダンジョン『死霊のほこら』に潜り、帰還予定日である3日目の午前中に思い掛けず早くにみんなが戻ってきた。


「えらく早いが何かトラブルか!?」


 予定ではみんなは今日の夕方に帰って来ることになっていた。


 何か不測の事態が生じたのではないかと俺は慌てて玄関へと駆け付けた。


「いえいえ、その逆ですわ」


「逆?」


「あー、その、何かすまねぇな……」


 ルージュの後ろからケインがばつの悪そうな顔をして右手で自分の頭をかきながら入ってきた。






「ははっ、何だそれっ!」


 事情を聴いた俺は思わずそう言って噴き出してしまった。


 アンジェたちの話によれば、当初はうちのパーティーだけで攻略を進めていたそうだ。


 しかし、聖属性を付与された武器であっさりとアンデッド系の魔物を倒していくアンジェたちの姿を見て、ケインたちもそれにつられてつい魔物に手を出してしまったって話だ。


 今回のダンジョンアタックの準備として、俺はうちのパーティーのメンバーの武器に対してだけでなく、ケインたちの武器にも聖属性の付与をした。


 ケインたちは以前、まだBランクのパーティーだったときに、このダンジョンでかなりの痛手を受けた苦い経験があるそうだ。


 そのお返しとばかりにAランクパーティーとなった今の実力に加えてアンデッドを寄せ付けない聖属性付きの武器によって面白いようにアンデッド系の魔物たちを殲滅していったらしい。


 ケインの代名詞である、両手斧二刀流旋風何とか、とかいう俺にはよくわからない必殺技らしきものも飛び出し、あっという間に最下層である10階層まで到達したようだ。

 さすがにボス戦はうちのパーティーに任せてくれたようだが、あまり消耗しない状態でボスにまでたどり着けたとのことで、多少苦戦はしたが撃破でき、ダンジョンを踏破しての帰還と相成ったということだ。


 俺は根掘り葉掘りダンジョンでの出来事をみんなから聞いて、その後一気に報告書を書き上げた。






 ダンジョン攻略後も『華乙女団』はケインたちの助言や指導を受けながらCランクや時にはBランクのクエストをこなしていった。 



 ――そして



「おめでとうございます。アンジェさんたち『荒野に咲く華乙女団』、本日をもってBランクパーティーに昇格です!」


 『華乙女団(俺たちのパーティー)』は割と早くBランクに昇格することができた。


 その一番のポイントはやはりBランクダンジョン『死霊のほこら』を攻略したことだった。


 元々アンデッド系の魔物が出るダンジョンは攻略しようとする冒険者が少ないため、このダンジョンのギルドポイントは高めに設定されている。


 それに加えて、そのダンジョンで得られる素材を多くギルドに持ち込んだことがさらに大きかった。


 通常、このダンジョンを攻略する冒険者も、その大部分は魔物との戦闘を回避して進むことが多いらしい。

 そのためこのダンジョンから得られる素材はギルドポイントが高く設定されていたことで大量のギルドポイントが獲得できたというわけだ。


 このダンジョン攻略にはケインたちの助力はあったが、それは隠さずにきちんと報告している。


 それでも、アンジェたちも着実に実力を付けているとギルドに評価されての昇格ということだ。


 今回の昇格の肝となった『死霊のほこら』攻略の一番の功労はやはり俺が武器に『聖属性』を付与したことだということで、俺はみんなからめちゃくちゃ感謝された。


 俺の『マジックペン』がみんなの役に立って、おっさんは嬉しい。


 この日はパーティーのメンバー全員で酒場に繰り出したことは言うまでもない。

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新米錬金術師は辺境の村でスローライフを送りたい
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