二十三話:陽キャ美少女が髪を触っても良いと言ってきたが緊張する_01
引越しについて、二宮さんの裏アカで呟かれなくなって暫く経過した。
前は週に一~二回あるかどうかだった、昼休みの校舎裏ベンチでの昼食相席も、週に三回は最低でも行うようになっていた。
今日も俺なりに意識して、二宮さんと会話を交わす量を増やしている最中だが、近頃ふと気付いたことがある。
「二宮さん、髪を伸ばし中だよね? もしかして委員長くらい伸ばすの?」
「おおっとヨッシー、半分くらい正解だったと言っておこうかな」
ベンチで昼食を食べ終えた二宮さんは、彼女の横で丸くなって寝ている野良猫をニコニコと可愛い笑みで眺めながら、亜麻色の髪を両手でかきあげた。
「さすがに委員長みたいに腰まで伸ばす気は無いけど、もう少し髪をロングにして髪型のバリエーションを増やそうと思ってました。はい、過去形です!」
「そろそろ夏になるからな。髪が長いと暑そうだね。手入れも大変そうだ」
「うん、まさにそれが理由だね! 今度の週末に元のセミロングに戻そうかと~」
「そっかー……」
俺はセミロングから徐々に髪が伸びて、雰囲気が変わっていく二宮さんの姿も、ちょっと気に入りかけていたので、少しだけ寂しくもある。
二宮さんは俺からの無言の視線に、口の端を軽く上げて微笑んできた。
「だから、私の髪で遊ぶなら今のうちだよ~?」
「二宮さんの髪で……遊ぶ……??」
「ヨッシーも男の子……。好みの髪型とかってあるでしょ? 髪が伸びてる今なら、ポニテでも何でもやってあげようじゃないか♪」
「おおー。髪型ショーみたいなことを、やってくれるわけだね」
多分クラスの男子が教室でこの提案を聞かされたら、怒涛の勢いで『どの髪型を見せてほしいか談義』を繰り広げることだろう。
せっかくなので今日の昼休みは、二宮さんの髪型ショーで過ごすことにしよう。
「じゃあまずは、体育の時にいつもしてるポニテをお願いできるかな」
「はいはい任せて~。各種髪留めも、今日の為に色々持ってきてあるよ~」
二宮さんはそのウェーブが掛かった亜麻色の髪をシュシュでまとめて、ポニーテールを披露してくれた。
ベンチから離れて俺の正面に立ち、決めポーズまでしている。
「お~い。ヨッシーも立って、こっちに来るんだ~」
二宮さんに促されるまま彼女のもとに近寄ると、髪留めがたくさん入った小型のポーチを渡されて、クルッと背中を向けてきた。
「そこそこ見慣れてる髪型じゃなくて、ヨッシーの好きなように髪をいじっちゃって良いよ~。これはヨッシーの欲望が垣間見えるショーでもあるのさ~」
「そう言われると気軽に髪を触れないから、あくまで普通に対応お願いします」
俺は二宮さんに一言断って、ポニテのシュシュを外してみる。
シャンプーやリンスによるものなのか、髪の毛が揺れる度に、凄く女の子っぽい香りがふんわりとただようので、妙に緊張してしまう。
同い年の女子の髪を触る機会などそうそうないので、これ以上緊張が表に出ないようにと、適当に思い付いたツインテールに髪をまとめてみた。
「はい二宮さん。漫画やラノベでよく見かけるツインテールにしてみたよ」
「なるほどツインテか~。私の性格というか、キャラには合わなくないかな?」
「そう、だろうか?」
あまり言及しないようにしているが、二宮さんは意外と背が低めである。
あとこれも、なるべく考えないようにしているが、意外と胸もふくよかだ。
ツインテールになった二宮さんは何というべきか……二次キャラで言うところのロリ巨乳属性オーラが漂っている、ような……。
正直この髪型の二宮さんもかなり可愛い。
心なしか頬が熱くなってきた俺に、二宮さんはムムッと怒ったような顔になる。
「まさかヨッシー……小柄カワイイ竹内さんみたいな子がタイプでは!?」
「えっ? 違うけど……」
見当違いな指摘に否定するも、二宮さんはまだ俺のことを疑っているようだ。
この続きは、今日か明日に投稿します。
対ヨッシー用にステータスを全振りしたい二宮さん回の予定です。
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