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二十話目:俺から陽キャ美少女に話しかけるとか難易度高過ぎないか_02

 委員長からも『図書室に利用者が少ないことを祈ってるわ』とRINEが来た。


 そういえば二宮さんと一緒に図書当番をした時は、利用者が誰も現れなかった。

 それに期待して図書室に入ってみたが、残念ながらチラホラと生徒が居た。


「ま……マジかよ……」


 思わず泣き言めいた言葉を漏らしてしまったが、それもそのはず。


 受付席に座る二宮さんの隣には、俺と図書当番をこなした時とは違い、同じ図書委員の女子が当番として座っているではないか。


 図書室には面識のない生徒ばかり――。


 これでは教室でクラスメイトに囲まれながら話しかける方が、まだ難易度が低いのではないか? と悟った俺は、立ち眩みにも似た感覚に襲われた。


 二宮さんの隣に座っている大人しそうな女子生徒が、俺を見て二宮さんに呟く。


「あっ……()()二宮さんに興味のある男子が来たみたいだよ」

「う~ん、今日に限って多いなぁ~……」


 どうやら男子から声を掛けられていたようだが、二宮さんはイマイチな反応だ。


「でも私は図書委員としての職務以上のことは、しない主義なのっでえぇ~!?」


 二宮さんはボールペンをクルクルと回しながら隣の女子と話していたが、俺の顔を見た途端、素っ頓狂な声を上げて椅子から立ち上がった。


 その場に居た利用者たちが驚いて二宮さんを見たが、また静かに読書を始める。


 やはり教室で話しかける方が難易度は低いなと思いながらも、俺は理由をつけて二宮さんを誘ってみることにした。


「えっと、二宮さん……。借りたい本があるから、どの棚か教えてくれないか?」

「はいはい、了解しました♪ 図書委員としての職務ですからね~」


 ボールペンを置いた二宮さんは、隣に居る図書当番の女子に了承を得てから席を離れ、俺との会話を始める。


「吉屋衛司くんは、本日どういった本をお求めなのかな?」

「あれ? ヨッシー呼びじゃないんだ」

「今の私は図書当番だよ? ライトノベルなら左手奥の棚にありますよ~」


 図書当番という立場で呼び出されたのが、マイナスポイントだったらしい。

 もう一声欲しいのですが? と言いたそうな期待混じりの表情を向けてくる。


 この表情豊かで可憐な二宮さんに惚れてしまった男子生徒は、大勢いるだろう。


「ごめん、二宮さん。図書委員としての二宮さんに用はないんだ」

「……うむ! 話を聞こうじゃないかヨッシー!」


 どうやら俺の意思は相違なく伝わったようで、いつものあだ名で呼んでくれた。

 ここからが本番だと、俺は気を引き締めつつ話を進める。


「今日はこうして声を掛けられて良かった。コミュ障が何を言うんだって思うかもしれないが、二宮さんと今日限りで話せなくなるのは、その、嫌だったから……」


 図書室の端とはいえ、受付席に座る図書当番の女子からギリギリ見える位置で、実際チラチラとこちらを伺っていて恥ずかしいが、伝えたいことは口にせねば。


「だから明日から、俺からも少しずつ話しかけていきたいんだ。良いかな?」

「……んん~。ダメ!」

「えっ……」


 あっさりとした二宮さんの回答に、思い切り頭を殴られたような錯覚に陥る。

 ただただ呆然と立ち尽くす俺だったが、対する二宮さんは至極にこやかだった。


「明日やろうは馬鹿野郎、さあ今日やろうは最強野郎ってね! 今すぐじゃないとダメだヨッシー! ほらほら、私にドンドン話しかけてみたまえ~」

「あっ……ダメって、明日からだとダメって意味だったのか」


「そうだとも~。それじゃあ仕切り直し! 今すぐヨッシーから話しかけて~」

「えっ!?」


 唐突にトークを求められてしまったが、ここで沈黙してしまうくらいなら、図書室まで駆け付けたりなどしない。


「じゃあ二宮さん」

「はいはい何ですか♪」


「話せなくなってから気付いたよ。二宮さんと話せていないと俺、寂しいんだ」

「わわっ! 今までにないストレートな宣言だね!」


 友人の恋バナを聞いた女子高生を演じる若手女優のように、やや誇張めいた反応をする二宮さんの真意は知れない。


 しかし今まで二宮さんに話しかけてもらっていた分、今度は俺が話をする番だ。


「迷惑かもしれないが、俺からも話しかけたい。もちろん今まで通り、二宮さんも俺に話しかけてくれると嬉しい。だって楽しいからさ、二宮さんと話すの」

「…………ヨッシー」

「お、おう、どうした?」


 今日は多少波があるとはいえ変わらぬ陽キャ美少女っぽさを見せていた二宮さんだが、ここにきて儚さも感じる声音であだ名を呟かれて、俺は動揺に駆られる。


 話しかけてと言われたのに、決意表明を始めるという、ある意味コミュ障らしい失態を犯していたことに遅れて気付いた俺は、みるみるうちに顔から血の気が引いていく。


 だが二宮さんの頬は、俺とは逆に紅潮していき、か細い声で囁くように呟いた。

グイグイ攻められると弱い系陽キャヒロイン再び。

続きの二十話ラストは今日の夕方~夜頃に投稿予定です。

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