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十二話目:文明の利器スマホで陽キャ美少女が休日も話しかけてくる_02

 二宮さんから送信されたのは、俺と違う中学校の制服を着た昔の写真だった。

 今より少しだけ大人しそうな雰囲気の陽キャ美少女が微笑んでいる写真だ。


「もしもし~? ヨッシーの生の声で感想を聞きたいので電話しちゃいました! どうですどうです? これはレアな写真ではないでしょうか~?」


「レアだね。イベント配布SRキャラ『二宮姫子(中学生)』みたいなレアだ」

「ちょっとw それスマホゲーで誰でも手に入るヤツじゃんw 許さんw」


 女子からの写真に「可愛い」の一言も言えないのは、さすがにまずかったか。

 笑い混じりに二宮さんからRINEの通話を切られたので、メッセージを送る。


『読者モデルの撮影で使われなかった写真とかあれば、ガチャ産SSR!』

『それはないけど、読モのカメラマンでも撮れない激レア写真を見せようかな~』

『おおー。どんな写真か楽しみだ。送信待ってるよ』


 御世辞ではなく本当に、どんな写真が送られてくるのか楽しみに待っていると、十数分ほど経ってから一枚の写真が送られてきた。


 画像のサムネイルの時点で肌色が多いので、薄々正体を察しつつも画像を開いてみると、案の定ちょっとオトナな自撮りだった。


 高校の制服であるYシャツのボタンを上三つほど開けて胸の谷間をアピールしながら、スカートも際どいところまで片手で持ち上げ、真っ白で健康的な太ももを見せている。


 そしてRINE通話が掛かってきて、二宮さんは自信満々に言ってのけた。


「もしもし~? これがガチャ産SSR『二宮姫子(オトナJK)』です!」

「何度でも言うからな。親御さんが泣くぞ、これは確実に泣くから!」


「意外と冷静だねヨッシー。私も今気づいたんだけど、胸元を拡大表示してみて」

「え? ボタン外し過ぎとはいえ、制服のYシャツ着てるだけじゃな……いな!?」


 言われた通りに拡大すると、桃色のブラがほんの僅かにチラ見えしていた。

 これは完全アウトな写真である。さすがに一友人として物申さざるを得ない。


「狙ってやった訳じゃないのがまだ救いだけど、それでもこんな際どい自撮りを男友達に送ったらダメでは!?」

「いやあ、私も下着が映ってるとは思ってなかったから、普通に恥ずいですね☆」


「下着が見えて恥ずかしいって羞恥心はあるのか……。そこは安心したよ……」

「どうせ見られるなら下着も黒とかオトナっぽいのに着替えるべきだったね~」

「反省すべきところは、そこじゃないから!」


 俺はRINE通話を一旦切って、流出でもしたら大変なことになる二宮さんの自撮りをスマホから削除していると、RINEメッセージでこんなリクエストをされた。


『ヨッシーの自撮りも欲しい! 普通の自撮りで良いですから~』

『まあ、中学時代のジャージを寝間着として着てるショボい格好でよければ』


 さりげなく俺まで、自撮り写真を要求されてしまった。男友達に下着を見られたというショックを少しでも緩和できればと思い、素直に送信してみたのだが――。


『彼氏の寝起き姿を、私自ら激写したよ! って言って家族に共有しますね~』


 ――と返信が来たので、脊髄反射で俺はRINE通話を掛け、そんな誤解を招く言葉と共に写真は絶対に見せないでくれと、二宮さんに念押しするのだった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

・この日の裏アカ【おしゃべり好きな宮姫@76danshi_UraakaJoshi】の呟き

 昔の学校のジャージを着ている男子の姿って、

 SSRクラスの破壊力があるよね!

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ダサくて見るに堪えない! 的な意味の破壊力だとしたら、心が折れそう……」

 それこそガチャ産SSRキャラみたいなぶっ壊れ性能の攻撃力を誇るダサさだとしたら、完全に俺の心は折れてしまう。

 いや……ジャージという規格品だから大丈夫なはずだ。

 俺は無心で自分にそう言い聞かせることで、心の平穏を保つのであった。

ジャージ姿の写真をヒロインがゲットできた十二話目、終了です。

次話は体力テストに備えて、ヒロインが主人公を朝練に誘うお話です。

主人公と一緒に過ごしたい系陽キャヒロインをお楽しみ頂ければ幸いです。

ラブコメ好きな方、ブクマやご評価で応援して下さると大変励みになります!

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