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大学デビューに失敗したぼっち、魔境に生息す。  作者: 睦月
二章 樹海の町の住人たち
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お爺ちゃんズ

 それにしても、中々に気を使う時間だったと、肩を揉み解しながら居間の方へ戻っていくとなにやら騒がしい。

 側にいた一角族と目を合わせるとこちらも首を傾げている、居間へと急いだ。




 包帯だらけのドワーフの爺さんたちが、テレビのニュースを見ながら膝を叩いて野次を飛ばしていた。



「なーんじゃいその情報はっ!! わしらは見捨てられたんじゃぞ! しかっとそれを報道せんかっ」

「ほんにじゃっ!! これじゃからニュースは当てにならんのじゃい」

「死んじまったあとで階級上げられて、どないせいゆうんじゃっ」

「これじゃから政府はのおっ いっちょん信用できんっ」


「子憎たらしい顔しよってからにぃ」

「阿呆っ、アナウンサーのお姉ちゃんはキレイじゃろうがい!それに記事読まされとるだけじゃぞ、そがなこと言うなつ」


「こん色ボケじじいがあ! ええ歳こいてテレビ越しに色めいとるぞっ」

「おまえ、まーだガキこさ得るつもりかい? 故郷になんぼでも産み落としろうがい」

「な、なんちゅう事いうんじゃ……わしゃぁ……あくまで一般論をじゃな」

「「おおぅっ 照れとる照れとる。ジジイが照れとるぞい」」


「くぅっ やかましあっ、お前らゲンコツ食らわすぞ!!」

「「おおう! 上等じゃいっ オモテ出いや」」



「あ、あのー」


 当初、爺さん達の威勢の良い掛け合いに圧倒されて眺めていたが、どうやら喧嘩に発展しそうだったので思い切って声をかけてみた。



 ちゃぶ台ごしに胸ぐらをつかみ合っていたドワーフ達の動きがピタリと止まる。


 こちらの姿を確認するやいなや、スザザっと音がする勢いで全員が横一列に整列し直し、胡座状態で畳に指をつき、深々と頭を下げた。



「「「助けてもろうて、恩にきる」」」


「命に変わる恩がえしなぞ、そうそうできるもんじゃあないが。何ぞ儂らできることあれば言うてくれ」

「あんたに頼まれた事なら、全身全霊込めてお応えしようぞ」


 

 随分と豪放磊落な性格の種族のようだ。

 隣の一角族をみるとどこか楽しそうにドワーフ達を見ている。気が合いそうだよね。



 とにかく、頭を下げるのを止めてもらい、先ほどルルさんにお願いしたように自分たちの知る範囲で情報を教えてもらった。

 

 都心部にはいろんな地方の人が大挙として押し寄せているからか、彼らの性格が出ているのかはわからないけれど、とにかくいろんな地方、時代の方言が入り混じっているのがちょっと可笑しかった。

 


 曰く、自分らは自衛隊所属のアルニア人工作部隊として作戦に参加。

 名前はイゴールさんにアゴールさんにウゴールさん。


 皆さんご兄弟らしく、顔もそっくりのために見分けがつかない。

 だって顔半分はヒゲに覆われてるからね、体格もほぼ一緒だし。俺の中ではお爺ちゃんズと統一する事にした。



 まあ、作戦内容や経過などはエルフのルルさんと大差なかった。


 皆さんが話してくれたのは、自衛隊内でのアルニア人の扱いだった。

 相当に不満が溜まっていたらしい。



 最初転移してきてすぐ、自衛隊員がやってきて保護されたようだ。


 訳も分かっておらず、言葉も通じず、ただ相手の武装が不可思議で人数も多く、好奇心と妥協によっておとなしく連れられていったらしい。

 それにその時点では、こちらを無下に扱うような素振りも感じなかったとの事。


 その後も少しづつ自分たちに日本語を教えてくれ、今の世界の状況を説明してもらったようだ。

 突如現れた異世界のアルニア人やそこからくる魔物達の対応に追われているということを。


 その上で、是非同郷の仲間と一緒に自衛隊の力になってほしいと頼まれ、了承した。


 それからは最初に危惧していたような奴隷扱いはなく、ちゃんと満足のいく衣食住も与えられ、監視されていて自由はあまりないが特に不便は感じていなかったようだ。

 

 他の自衛隊員達との関係も良好で、よく酒を酌み交わしていたらしい。

 


 ただし、徐々に状況は変わっていった。

 都心部の積み上がっていく問題から、政府や自衛隊への非難の嵐。

 そしてアルニア人に対しての風当たり。



 少しづつ、本当に少しづつ待遇に変化が現れていった。

 食事に娯楽は制限され始め、半ば強制的に連行されてきた仲間も増え始た。


 それに伴い「アルニア人は強いから」という単純な理由から、常に都心部防衛戦の最前線に行かされ、ろくな休みも与えられず各地の現場をたらい回しにされる日々。


 まあ、確かに自分らには自衛隊員ほどの集団戦の経験はないし知識も足りない、その上食わせて保護されている以上はある程度の扱いは甘んじて受け入れる。


 ただし、それでも不満は募る。


 国全体がどんどん余裕がなくなり、アルニア人にとって悪い方向に動いているという危機感も日に日に増していっていた。


 それで今回の大規模な魔物同士の争い、その隙に魔物集落を一気に壊滅しようという作戦だが、前線に出される実行部隊はほぼアルニア人で占められていた。



 結果は事前情報との食い違いから、戦力不足に乱戦で指示系統はボロボロ。

 挙げ句の果てにはアルニア人を見捨てるような撤退指令。


 もうさすがにうんざりで、どさくさまぎれをいい事に樹海に逃げ込もうとして今にいたるとのこと。


 喧々囂々と語る彼らを気持ちなだめながら、


 とにもかくにも「先ずは体を休めてくださいね」と伝えると、元気よく「応っ 有難い」との返事とともにちゃぶ台周りへ座り直した。


 どうやら居間には居座るつもりらしい。



 軽くため息を吐きながら、このお爺ちゃんズから避難しているであろう、ガンジー、ロッコにモンテの3人を探しにいった。

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