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#140 後始末した、王都 12

 ジアトル達もその集団に気づくと自分達からも近づいて行き、親しげに話し始めたんで彼らが増援で間違いないみたいだ。

 お互いの情報交換もしたいだろうし、話が終わるのを離れて待っているとジアトルが壮年の男を二人連れて俺達の方へやってきた。

「リクさん、紹介します。隣にいるのがコランタ商会で重役を勤めている私の父でガルドルといいます。そちらは私に護衛を派遣してくださった傭兵団大地の盾の団長でゼークンドさんです」

「ガルドルという。簡単にだが事情は聞かせてもらってた。かなり危ない状況から息子を助けてくれて、心から例を言わせてもらう」

「ゼークンドだ。こっちも部下達を助けてくれて感謝してるよ」

 そんな言葉に続いて二人共手を出してきたんで、そう気にしなくていいと返事を返して双方とガッチリ握手を交わしておいた。

「いや、それにしても腕利きだってのは聞いてたが、これほどとは思わなかった。全員が百人力は堅そうだし、リクさんとその後ろにいる槍使いの人なら並みの魔人位サシでもやれそうじゃないか」

「それは間違いないのか?ゼークンド」

「ええ、見立てには自信がありますよ。これならジェルマン商会の制圧も安心して任せられそうだ。で、早速だが俺達は何をすればいいかな?」

「大地の盾の皆さんには商会の包囲をお願いします。その間に俺達は隠し部屋や隠し通路ないか魔術なんかで商会内部の様子を探ります。包囲の完了を待って俺達が踏み込み内部を制圧。その後の書類や金品の差し押さえに俺達が倒した連中拘束はそちらでお願いします」

「妥当な案だな。こっちに異論はない。連絡役としてこっちから一人付ける。制圧が完了したらをそいつを使ってくれ」

「分かりました。ありがたく使わせてもらいます」

「そうしてくれ。じゃあ、すぐ部下達へ指示を出してくる。そっちも準備してくれ」

 軽く手を上げたゼークンドが自分の部下達元へ戻って行ったんで、俺達も自分の作業を開始した。

 ちょっと距離があったんで商会へ少し近づき、俺にティータとティーエで土系の魔術と精霊術でジェルマン商会の建物を探っていく。

 幸い魔術的な防御は皆無で手の取るように中の様子を調べられた。

 案の定重要書類や金品をしまっていそうな隠し部屋に桟橋の方へ向かう地下通路なんてものもある。

 隠し部屋の方は気配探知で中の物の持ち出しに警戒していれば後回しで良さそうだが、地下通路は真っ先に押さえておく必要がある。

 他にも応接室や重要人物の私室らしい場所の当たりもついたんで、脳内の地図を元に内部を制圧していく順番を組み立てて行く。

 そう悩まずに段取りが決まった所でゼークンドが準備完了を伝えてきたで、早速行動を開始した。


 ガルドルとジアトルは少数の護衛とここに残ってもらい、それ以外の全員で足早にジェルマン商会の建物へ近づいていく。

 幸い出入り口に見張りは立っておらず大地の盾の面々が素早く商会の建物を包囲していき、ゼークンドからの包囲完了の合図を待って先頭を任せたアデルファが戦鎚で玄関ドアを吹き飛ばし商会へ踏み込んで行った。

 そのアデルファにはティーエをつれて地下通路への出入り口を押さえに向かってもらう。

 その後に続くアグリスとティータには従業員や用心棒の居住に使われていそうな2階より上から下りてくる連中への対処ため階段の方へ向かってもらった。

 最後に重要人物が居そうな区画へ向けてバルバスとガディに大地の盾の連絡員と供に俺も商会内へ足を踏み入れた。

 特に抵抗を受けることもなく玄関ホールを抜け、その辺りからちらほらと騒ぎに反応して廊下に出てきた従業員や用心棒とかち合い始めた。

 まあ従業員は言うに及ばず用心棒の腕も大した事なく、短剣やショートソードで襲ってきても簡単に躱せ、すれ違いざまにカウンター気味で打ち込む当身の一撃だけで楽に仕留められた。

 そんな連中を7〜8人気絶させて廊下に転がし、念の為通り道にある部屋に誰もいないことを確かめながら進んで行く。

 最初の目標である出入り口から一番近かった応接室だろう部屋の前まで来ると中に複数人の気配を感じたんで意表を突く意味も込めて扉を蹴破った。

 もう夜だけに用心棒辺りが勝手に酒でも飲んでいるのかと思っていたんだが、とてもそうは見えない良い身なりをした壮年の男2人と若年の男が1人部屋の奥にあるテーブルを囲んで酒を飲んでいた。

 その内壮年の男の片方があっという間に表情を歪め、明らかな怒気のこもった声を俺達にぶつけてきた。

「何者だ。お前達は」

「ただの傭兵だよ。ああ。聞かれる前に答えるが、ここへ踏み込んできたのはこの商会の連中が俺達を殺そうとしたんでな、その落とし前をつけるためだ。で、身なりからしてあんたらは下っ端じゃなさそうだが、ここの幹部と思っていいのかな?」

「確かに私がここの責任者だ。それにしても傭兵がよくやりそうな事だが、お前らは運がないな。ここをただの奴隷商会だと侮って乗り込んできたその軽率さをあの世で悔やむがいい」

 そんなセリフに続いて壮年の男が自身の腕に嵌めてある格納庫から俺達との間に大量の鉱石をばら撒き、反対の腕に嵌めた合った腕輪型の魔道具でそれらを部屋の天井に届きそうなゴーレムへと変化させた。

 この魔道具はパルネイラにあったドゥルガス海賊団のアジトで見たやつと同じものだ。

 となるとここにはドゥルガス海賊団が掛かっている可能性が高いな。

 そう考えを巡らす間に目の前のゴーレムが動き出すが、そこから推察できる性能もパルネイラの奴と大差は無さそうだ。

 これなら様子見も必要なさそうなんでさっさと片付けようと思ったんだが、先に動き出していたバルバスがほぼ同時に見える4連突きでゴーレムの両肩と両股関節を砕き無力化してしまった。

 その次の瞬間には驚愕しているゴーレム使いの真横へバルバスは踏み込んでいて、顎に掌底を打ち込んで気絶させ格納庫とゴーレム創造の腕輪を取り上げてくれた。


お読みいただきありがとうございます。

今週の投稿はこの1本です。

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