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夏の光

 なとぅ。

 

 陽炎がゆらめくマウンド

 9回裏

 切望してやまない甲子園のキップまで

 あと1アウト

 エースは額の玉汗を袖でぬぐい

 マウンドのロージンを手に持ち

 心を落ち着かせる

 声援が轟く球場

 目深にかぶり直す帽子

 鉛のように重い身体が

 不思議と軽くなった気がした

 あとひとり・・・呟く

 一塁ランナーに目配せをして

 苦楽を共にした仲間のミット目掛け

 腕を振る

 全力投球

 渾身高めのストレート

 思いを込めた球は

 スラッガーのバットが空を切った

 エースは

 拳を高く高く天につきあげた



 甲子園。

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