12/26
夏の光
なとぅ。
陽炎がゆらめくマウンド
9回裏
切望してやまない甲子園のキップまで
あと1アウト
エースは額の玉汗を袖でぬぐい
マウンドのロージンを手に持ち
心を落ち着かせる
声援が轟く球場
目深にかぶり直す帽子
鉛のように重い身体が
不思議と軽くなった気がした
あとひとり・・・呟く
一塁ランナーに目配せをして
苦楽を共にした仲間のミット目掛け
腕を振る
全力投球
渾身高めのストレート
思いを込めた球は
スラッガーのバットが空を切った
エースは
拳を高く高く天につきあげた
甲子園。




