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【書籍版】若返りの錬金術師~史上最高の錬金術師が転生したのは、錬金術が衰退した世界でした~  作者: えぞぎんぎつね
二巻 3月15日発売!

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47 謎の男

「知らないか? まあ、たしか宮廷魔導師団長ダジンスキー伯の息子にして、宮廷魔導師団第一部隊長のドミニク・ダジンスキーで、第一王子の再従弟だぞ」

「あっ、あの、ドミニクですか?」

「あのって、どのだ?」

「えっと、能力は無いのに、親の力で重用されて、威張り散らしていると評判のドミニクです」

「……なるほど。まあ、多分、そのドミニクだ」


 カタリナは目と耳と口を塞がれて「うーうー」唸っているドミニクを見る。


「それで、なぜドミニクが?」

「俺の家に襲撃をかけたから返り討ちにした。第一王子の再従弟なら人質にもなるだろう?」

「たしかに」

「実際、結構効果があったぞ。魔導騎士団とかドミニクで矢と魔法を受けたら、攻撃しなくなったしな」

「ああ、それで矢が刺さっているのですね」


 そして、俺とカタリナはグルルの背に乗った。


「らっりゃっりゃっりゃ!」

 カタリナもグルルの背に乗ったから楽しくなったのだろう。

 リアは、嬉しそうに俺の肩の上で羽をバタバタさせると、ふわふわと飛んで前方に飛ぼうとする。

 どうやら、リアはグルルの頭の上に乗ろうとしているようだ。


「リア、一気に走るから、大人しくしてなさい」

「りゃ~~……りゃ」

 俺はリアを掴んで、服の中に入れた。

 不満そうな声を上げるが、俺のお腹の温かさが心地よかったらしくすぐに大人しくなった。


「カタリナ、王と従兄殿の部屋はわかるな?」

「わかります。案内しますね」

「頼む。グルル、少し待て」

「ぐる!」


 俺は【物質移動】と【形態変化】を使って、壁に傾斜をつける。


「傾斜はかなりきついが、いけるか? グルル」

「グル!」


 グルルは床に尻尾を叩きつけると、走り出す。


「ぐるるるるる!」

 グルルは急坂を一気に登る。登り切った後、少し宙に飛び出るぐらいの勢いだ。

 地上に飛び出ると、そこには囲むように魔導騎士たちがいた。

 その数は数百人。


「グル!」

 グルルは飛び出た勢いで、前方に頭から突っ込んだ。


「ぐああぁ」「ぐはぁ」


 馬より何倍も重いグルルが高速でぶつかったのだ。

 人などひとたまりも無い。

 十数人の騎士が数メトル吹っ飛ばされていく。

 ある者は壁まで飛んでぶつかって、ある者は地面を鞠のように弾んでいった。


「ま、待て! 止まれ!」


 指揮官が慌てたように叫んでいる。


「止まるわけないだろ。カタリナ!」

「はい、グルル! このまま進んで、その角で右!」

 カタリナがグルルに進路を指示してくれる。

「ぐる~」

 グルルは容易く包囲を突破して、駆けていく。


「そこです!」

「ぐる!?」


 グルルが角を曲がると、そこは王宮の広い中庭だった。

 そして、中庭を囲む建物の屋根や窓には、宮廷魔導師たちがいた。

 魔導師たちのほとんどは魔法を発動する寸前だ。

 魔力を溜め、詠唱を終わらせ、いつでも撃ち込めるようにしていたらしい。


 つまり、こちらの動きを読んでいたと言うことだ。


「放てえええええ!」

 指揮官の大声が響き、魔導師たちが魔法を放とうとし、

「うるさいぞ」

 俺の雷が周囲の建物に落ちた。


 雷によって、建物は壊れ、燃え、魔導師たちは気絶する。

 放たれる直前の魔法は暴発し、放たれた直後の魔法は明後日の方向へと飛んでいく。 


「す、すごい。一瞬で……」

「いくら詠唱を済ませていても、合図があるのなら、どうにでもなる」

「普通は合図があっても対処できませんよ……」

「そうかもな。それでカタリナ」

「わかっています。中庭をまっすぐ進んで……」


 カタリナがグルルに行き先を指示して、

「ぐるぐるるる!」

 グルルが勢いよく走り始める。


「あの建物です。中に入って、しばらく走れば――王の寝所があります!」

「ぐる!」


 勢いを保ったまま、グルルは建物に突っ込んでいく。

 建物の開いた大きな入り口に、グルルが飛び込もうとしたとき、中から人影が現われる。


「ググゥウルウ!」

 そして、正面からグルルを受け止めた。

 二メトルほど後ずさったが、グルルが止まる。


「ここは通さぬ」


 グルルを止めきって、その男はにやりと笑った。

 


 止めきると、男は拳をグルルの脳天目がけて振り下ろす。

「ぐぅる!?」

 グルルが目をつぶった。


 グルルの背から飛び降りながら、【物質移動】と【形状変化】を使って、石の壁を作り出し拳を止める。

 壁を半分破壊し、拳は止まる。


 異常な威力だ。グルルを止めたことといい人族の膂力とは思えない。


「グルル、下がってろ

「ぐる」

「お前、魔人か?」


 俺の問いには答えず、

「さすがのキレだな、ルードヴィヒ」

 そういって、男は不敵に笑う。


「いや、千年前よりキレが良くなっていないか?」

「…………お前、何者だ?」


 そういいながら、俺はドミニク付きの槍の穂先を男に向ける。


「言ってもわかるまい。というか、何だそれは?」

「摂政たる第一王子殿下の再従弟閣下だ」

「そうか」


 全く興味がなさそうだ。


【読者の皆様へ 作者からのお願い!】


1巻は発売中! 2巻は3月に発売になります!

よろしくおねがいいたします!


ついでに、ブックマーク、並びに、

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