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【書籍版】若返りの錬金術師~史上最高の錬金術師が転生したのは、錬金術が衰退した世界でした~  作者: えぞぎんぎつね
二巻 3月15日発売!

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44 ギルバート救出

 ――ドタドタ


 グルルが歩く度、大きな音が鳴る。

 その音に気付いてやってきた看守のほとんどは、廊下を塞ぐようにして歩くグルルを見て腰を抜かす。

 腰を抜かさなかった看守は逃げだそうとした。

 

「とりあえず、そこで大人しくしとけ」


 俺は看守たちを岩の腕で拘束し、壁に埋め込んだ。

 もちろん顔を廊下側に向けて、息はできるようにしておいた。


「騒いだら、口も塞ぐからな?」


 そう脅すと、看守たちは皆うんうんと素直に頷いた。

 騎士に比べて、看守たちは士気が低いようだ。

 好都合である。


 しばらく、進んだ後、独房の前で、リアは止まった。

 独房の廊下側には頑丈な鉄格子の嵌められていて中を窺えるようになっている。


「……ルードか。いいところに来てくれた」

 

 独房の中には手かせで天井から吊されたギルバートが微笑んだ。

 全身の至る所から皮膚が破れて血が流れている。

 髪の毛は短いがしっかりと生えていた。


「来るんじゃねえ、これが目に入らねーのか!」


 独房の中にいる怯えた様子の看守が、刃物をギルバートの首に突きつける。

 看守の近くには地面に転がる大きめの布袋があった。


「おお、ギルバート、大分やられたようだな」


 俺は看守を無視してギルバートに話しかける。

 どうやら、拷問を受けたようだ。


「ギルバートから得られる情報ってなんだろうな?」

「無視するんじゃねえ! こいつがどうなって――」

「お前こそ、こいつがどうなってもいいのか?」

「何を言って……」


 俺はドミニクを付きの槍を看守に見せつける。


「そいつが一体何だって」

「おいおい。そいつだと? 不敬がすぎないか?」

「何を言って……」

「この方はな、宮廷魔導師団長ダジンスキー伯の息子にして、宮廷魔導師団第一部隊長のドミニク・ダジンスキーさまだぞ! そしてなにより第一王子殿下、いや摂政殿下の再従弟閣下だぞ?」

「なっ」

「ドミニク閣下の命が惜しければ、さっさと開けろ」

「だ、だが、いや、こいつの命が……」


 看守は混乱しギルバートを人質にして乗り切ろうとする。

 きっと、ダジンスキーか宰相辺りに、絶対にギルバートを逃がすな命じられているのだろう。


「優先順位を考えろよ。お前が言うことを聞かないせいで、俺がドミニク閣下を殺したら、お前死罪だぞ?」

「いや、俺は命令を……」

「誰の命令かは知らんが、その命令は摂政殿下の再従弟閣下の命より大切なのか? 冷静に考えろよ」

「……」

「面倒だな。ドミニク閣下を痛めつけたらお前も考えを改めるか?」


 わかりやすいように魔法や錬金術を使わずに、敢えて剣を取り出すとドミニクの肩に突き刺した。


「うぐうううううう!」

「ドミニク閣下もおかわいそうに、頭の硬い馬鹿な看守のせいでなぁ! さて、もう一発」

「待て! わかった。すぐに開ける」

「最初からそうしろ」


 看守は慌てて扉を開けた。

 中に入ると、俺はすぐに岩の手を発動して、看守を壁に埋め込んで拘束した。


「ギルバート、すぐに――」

「俺よりもそこにいる妻を」

「妻?」


 ギルバートは床に転がる布袋を見ていた。


「わかった」


 俺はその布袋を剣で切り開く。

 中には縛られた綺麗な魔族の女性が入っていた。


「エイナは無事か?」

 どうやら、ギルバートの妻はエイナと言うらしい。


「少し待て」

 俺はエイナを縛っていた縄を切り診察する


「外傷もない。気絶しているだけだな」

 眠り薬を使われている。すぐに対処が必要な状態ではない。


「よかった、本当に……よかった」

「エイナさんを起こす前にギルバートの治療が先だ」


 エイナを起こして恐慌状態になられても困る。

 それに、ギルバートの傷もけして浅くは無いのだ。


「痛いぞ。我慢しろ」


 俺はギルバートの手枷を外す。手首から血が流れる。


「結構食い込んでるな。もう少しで骨が見えるぞ」

「それは聞きたくなかった」


 そういって、ギルバートは笑う。

 ギルバートを地面に降ろすと、ヒールポーションで治療していく。


「おお、痛みが引いていく。傷も塞がっているし、もう戦えるぞ」

「本当は休んだ方が良いんだがな」


 しばらく大事をとって安静になど、言っていられない事態だ。


「ルード、助かった」

「気にするな。看守は、ギルバートになにを吐かせようとしてたんだ?」

「王女殿下が魔王軍に内通してたっていう情報だよ」

「そんな事実は無いだろう?」

「ない。だが俺が証言すれば、それを証拠として王女殿下を処刑しやすい」


 処刑は既定路線だ。

 だが、きっと貴族の中にはカタリナを擁護する者たちもいるのだろう。

 近衛騎士たちもカタリナ派だ。


 だが、魔王軍と内通していたというギルバートの証言があれば、堂々と処刑できる。

 そう考えたのだろう。


「もちろん、虚偽の証言などできるかと突っぱねていたんだがな……。エイナを拷問にかけると言われて……。危なかったぞ」


 ギルバートは気絶しているエイナの頬を優しく撫でた。

【読者の皆様へ 作者からのお願い!】


1巻は発売中! 2巻は3月に発売になります!

よろしくおねがいいたします!


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