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【書籍版】若返りの錬金術師~史上最高の錬金術師が転生したのは、錬金術が衰退した世界でした~  作者: えぞぎんぎつね
二巻 3月15日発売!

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25 狼藉者の罪

「歯磨きが好きなのか? リアは変わった竜なんだな」

「りゃむ!」


 それから俺は風呂場に向かって服を脱ぐ。


「ぐる~」

「ごめん、グルル、少し待っててくれ」

「ぐる」


 風呂場に入れないグルルが悲しそうに鳴いていた。


 俺は急いで顔を洗い体を洗い髪の毛を洗う。

「りりゃあ!」

「はい、リアもな」

「がう!」

「ガウもか」


 リアとガウも洗って欲しいらしく、風呂場に入ってきたので、一緒に洗う。


「こう、お湯で体を洗うとスッキリするな!」


 千年前は【物質移動】で体をきれいにしていたが、お湯できれいにするのも気持ちのいいものだ。


「りゃ!」「がう!」

「あとでグルルも洗ってあげよう」

「――――ぐる~」


 呟いただけなのに、聞こえていたのか遠くからグルルの声が聞こえた。


「体や髪を洗うのに最適な匂いもありそうだな……」


 俺は風呂場から出ると【物質移動】で一瞬で体と髪を乾かした。

 リアとガウの体も一瞬で乾く。


「もう少しに匂いのバリエーションを増やしておこう」

 俺はハーブの匂いを組み合わせて、沢山の種類の石鹸を作ったのだった。





 次の日、俺は子供たちに魔法を教えたあと、また留守番を頼んで王都に出かけることにした。


「ぐる……」

「ごめんな。昨日の襲撃者の情報を調べないといけないんだ」

「ぐるる……」


 そして、子供たちにも注意事項を伝える。


「タルホもみんなも、留守番中はあまり離れないようにな」

「わかった!」

「怪しい奴がきたら、家の中に入って、鍵を閉めてくれ。鍵はここをひねれば閉められる」

「ふむふむ。わかった!」

「強化済みだからな。多少の魔法をうけてもびくともしないから怖くないぞ」

「わかった!」

「グルルも怖くないからね」

「ぐる~」

「ガウ。グルルと子供たちを頼んだよ」

「がう」


 そして、俺はリアを抱っこして王都に向かった。



 最初に向かうのはやはり冒険者ギルドだ。

 ギルドの建物に入ると、冒険者が数人いた。

 俺を見つけたギルバートが、受付の向こうから走ってくる。


「おお、ルード! 見てくれ!」

「どうした?」

「生えてきたんだ!」


 ギルバートは嬉しそうに大声でそう言うと、自分の頭を指さした。

 きっと、大声なのは、錬金薬の宣伝もかねてくれているのだ。

 ありがたい話だ。


「おお? 昨日の今日で、もう効果があったのか?」


 だから俺も大きめの声で返事をする。


「ああ、効果が凄いな。さすがは錬金薬だ」

「よく見せてくれ」


 頭皮を確認すると、たしかに産毛のような物がびっしりと生えていた。


「おお、いい調子だな。痒みや痛みは?」

「今のところ無いぞ!」

「そうか、異変を感じたら、すぐに報告してくれ」

「わかった!」


 無事効果を発揮したようで良かった。


「もし、頭髪に悩みを抱えている者がいたら、俺の薬のことを教えてもいいぞ」

「おお! 錬金術の普及のためだな。任せろ!」


 冒険者たちはヒールポーションを使ったので、錬金薬の効果を知っている。

 だが、冒険者たちの依頼人はまだ知らないのだ。


 発毛剤兼育毛剤は見た目が変わるので、周囲に効果がわかりやすい。

 もし、馴染の冒険者の頭髪が急に生えてきたら、依頼人たちも気になるはずだ。

 そこから口コミが広がれば、錬金術の普及にも繋がるというもの。

 地道だが、効果はあると信じたい。


 頭髪の話を終えると、ギルバートが尋ねてくれる。


「それで、ルード。俺の頭髪をチェックしに来てくれたわけではないんだろう?」

「そうなんだ、実はだな。昨日――」


 俺は家を襲撃されたことを報告した。


「子供たちに危害を加えようとし、それを守ろうとしたグルルとガウに暴行。そのうえ家に火を放つ……か」

「ギルバート、この場合はどういう罪になるんだ?」


 俺はこの時代の刑法には詳しくないのだ。

 千年前ならば、縛り首でもおかしくは無かった。


「王都内で放火したら死刑だが……王都の外だからな。この場合どうなるんだ?」


 ギルバートでも判断が難しいらしい。


「中と外では違うのか?」

「街や村の中の建物に火をつけたら当然犯罪だ。だが、外の建物は、建物と認められるかどうか」

「どういうことだ?」

「えっとだな……」


 ギルバートが言うには、法的に街や村の外は人が住む場所ではなく、建造物が財産として認められるか微妙らしい。


「冒険者的にわかりやすく説明するとだな。オークやゴブリンの家を焼いたら罪になるのかと言う話だ」

「いや、だが、それは……人族が建てた物と、それ以外のオークやゴブリンが建てた物は違うだろう?」


 千年前は少なくともそういう考えだった。


 そのとき、受付の奥にいた少女がびくりとした。

 そしてつかつかと歩いてくる。


「ルードさん。魔族が建てた物はどうなると思いますか?」

「君は?」

「ギルド職員のアイナです。そして魔族です」

「りゃ~」


 リアがアイナを見て首をかしげた。


「……すまない。無神経だった」


 俺の発言は人族を特別視するものだ。

 まるで魔族の建てた物は、壊しても燃やしても構わないと捉えられかねない発言だった。

 いや、俺の内心に人族以外を差別する心が無かったとは言えない。

【読者の皆様へ 作者からのお願い!】


1巻は発売中! 2巻は3月に発売になります!

よろしくおねがいいたします!


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