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【書籍版】若返りの錬金術師~史上最高の錬金術師が転生したのは、錬金術が衰退した世界でした~  作者: えぞぎんぎつね
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18 ルードの情報収集依頼

「悪臭がしないだけではなく、いい匂いがするほうがいいよな」

「それは、はい」

「今度、試作品を作って持ってこよう」

「お願いします! 期待して待ってますね」

「いい匂いの石鹸かー。俺はそれよりも汚れが落ちる方が良いな」

「うむ。汚れ落ちにも気をつけよう」


 そんな話をしている間、リアは興味なさそうに机の上をうろちょろしていた。

 錬金術を使っているときは目を輝かせているが、錬金術の話には興味が無いらしい。


 俺はトマソンとヨナから、どのような石鹸が欲しいか聞き取りをした。

 そんな話をしている内に、現在の都市の状況になる。

 衣服洗濯の話から、布の供給状況の話に移り、物流の話になる。

 冒険者の傷口の洗浄の話から、周囲の魔物の話になり、都市の衛生状況の話から南方地域からの避難民の話に移っていった。


 話が一段落ついたところで、俺は尋ねる。


「話は変わるんだが……ヨナは南方に知り合いは多いのか?」

「商売柄、それなりには……なにか気になることでも?」

「いやなに、……昔の俺のことを知っている人を探したいと思っているんだ」


 もし知っている人がいるならば、俺は記憶喪失であるということだ。

 この時代に突然全裸で現われたというわけではないことがわかる。


 逆にもし知っている人が全くいないならば、突然全裸でこの時代に現われた可能性が高くなる。


「昔のルードさんっていうと、私やトマソンさんたちと出会う前ってことですよね?」

「そう。全裸で気付いてからの記憶しか俺には無いが、通常、人が突然成長した姿で現われるわけもなく……」

「確かにそうですね。記憶がないからといって、過去がないわけではありませんものね」

「そこで、俺を知っている人がいないか、ヨハネス商会に調べてもらう事は可能だろうか?」

「すぐに手配いたしましょう」

「ありがとう。もちろん依頼料は払わせてもらう。使い途のない報奨金をたくさんもらったからな」


 その後、交渉の結果、依頼料は二百万ゴルドとなった。

 ヨナはもっと安くてもいいと言ってくれたが、自分には出来ないことをやってもらうのだ。

 それなりに払わないと失礼である。


 交渉がまとまると、ヨハネス商会の絵師がやってくる。


「すぐに終わりますから。動かずにお待ちください」


 俺が椅子に座って動かずにいると、絵師は素早く俺の顔を描いていく。


「はい。完成です。こちらでいかがでしょう?」


 ものの三十分でかなりそっくりに描きあげてくれたので驚いた。


「おお、すごい。そっくりですね」

「恐縮です」


 これならば、俺を知っている人がいれば、気付いてくれるだろう。


「似顔絵はよく描かれるのですか?」

「そうですね。肖像画などは人気の商品ですし」


 他にも素早く絵を描く技術が求められる場面はあるそうだ。



 俺を知っている人を探す依頼を終えると、俺はヨハネス商会で、グルルとガウへのお土産を買った。

 みんなで食べられる甘い物と美味しいお肉だ。

 きっと子供たちも喜んでくれるだろう。


 それに、大きな毛布も買っておく。

 グルルの部屋に敷いたら、きっと寝心地が今よりもよくなるだろう。


 ついでに外でご飯を食べるときにつかう椅子と机も買っておいた。

 念のために机は大きめの物を、椅子は多めに買っておく。


「グルル、喜ぶかな?」

「りゃあ」


 お土産を買ったあと、発毛剤兼育毛剤の材料と、石鹸の材料を沢山買う。


 そして、俺はリアと一緒に帰宅の途についたのだった。

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