39 家を建てよう その3
ちょっと短いので、すぐに次の話をあげます。
錬金工房を作り終わると、完成だ。
「これで、家の建築はひとまず終わりだ」
「「やったー!」」「すごいすごい!」
「りゃっりゃ!」「がぅがぅ」
子供たちはリアとガウと一緒に嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねていた。
そして、すっと静かに俺の作業を見ていた大人二人が言う。
「本当に数時間でこんなお屋敷を建ててしまわれるとは……」
「錬金術とは本当にすごい物だったのですね……」
「錬金術って言うより、ルードさんが凄いのでしょう」
「本物の錬金術は、魔法よりも役に立つ。何かあれば言ってくれ」
「ありがとうございます!」
すると大人の一人が言う。
「ルードさん、ぜひ夕食をご一緒に食べませんか?」
「ありがたいが……いいのか?」
「もちろんです。井戸のせめてものお礼です!」
俺はせっかくなのでご招待を受けることにした。
集落に子供たちとガウ、リア、それに家の建築を一緒に見守った大人二人と戻る。
「ルードさん、お待ちしておりましたよ!」
集落のリーダーの老女を中心としてみなが歓待してくれた。
集落には全員が入れるような大きな建物はない。
集落の中心、井戸の周りに布を敷いて、皆で座って食事をとる。
リアとガウの分の食事も用意してくれているようだ。
だが、リアはともかくガウは食事量が多い。
生活が楽ではなさそうな避難民にとっては負担が多き過ぎる。
だから、ガウの分の食事は自分で用意する。
「ガウは狼だから専用の食事があるんだ。すまない」
「そうなのですね」
ガウの分の食事は魔猪の肉だ。
それを魔法の鞄から出して焼いて食べさせることにした。
そして俺は出された食事をごちそうになる。
とてもおいしい食事だった。





