表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/213

7月9日 傾けサーボパルサー

7月9日


 予想通り、今日も雨。もう七月だというのに、ここ最近ずっと雨が降り続いている。そろそろ梅雨も明けてほしいものだ。


 二限に授業があったため、一限は日記をつけたりゆっくりしたりで時間をつぶす。なんだかんだでわずか九十分で作業をしようとは思えない。寝不足気味だったから、有意義に時間をつかえたとも思う。


 授業を受けに下に降りてから、下駄を履いたままだったことに気付く。もちろん外は雨。夏場じゃなきゃ風邪をひいていたに違いない。


 二限は材料強度学特論。いつになく無駄話が少なく、城木先生自身も『今日はまじめにやっちゃったんじゃね!?』って満面の笑み。


 内容はき裂閉口についてで、実はある程度までの荷重であるならばき裂の進展はしないというものだった。詳しいことはノートを見ておくこと。


 あと、城木先生が助手になった時の最初の仕事はリヤカーを引くことだったらしい。焼却炉までそれでゴミを捨てていたそうだけど、学生がうっかりリヤカーのふたまで燃やしてしまって総務課に怒られたことがあるそうな。


 授業中、内燃研から研究室対抗運動大会の連絡が来る。時間はいつでも大丈夫でサッカー希望だとのこと。一応これですべての研究室の意見がそろい、ソフト、サッカー、ドッジがそれぞれ3:2:1という結果になった。


 てなわけで、ユーリさんと軽く話し合って20XX1007にソフトボール大会の方向で進めるということにした。来週あたり集まって正式な告知と場所取りなんかの雑務を割り振ろうと思う。集合の知らせはユーリさんがやってくれるから安心。そろそろほかの研究室にもちゃんと動いてもらわないとやってらんない。


 研究室に戻ってきたら世良さんから声をかけられた。『試験片が届いたからそこに置いといた』とのこと。手のひらサイズの段ボールの包みが振動実験の机の下に置いてあった。


 踏んだりしたら困るので持ち上げようとしたら、めっちゃ重くてだいぶビビった。おまけに指先が包みの下に入らなくて持ち上げるまでが大変だった。


 また、それに伴い領収書をこもりんに提出しに行った。同じく材料が届いた山岸とともに特攻を仕掛ける。


 こっちがわざわざ『お願いします!』っつってんのにこもりんはニヤニヤしながら『領収書は受け取りたくありません!』とか言いやがった。黙って受け取ってほしいものだ。


 でも、なぜか機嫌がよかったので、そのまま一言二言話した後にすんなり受け取ってもらえた。ついでに研究室対抗運動大会の仮決定がなされたことも伝えたら、『景品は衣笠先生用の旅行券を推しとけ』って笑顔で背中をポンポンされる。いったいこもりんに何があったというのだろうか。


 午後はゼミの資料を南郷さんと衣笠先生に見せる。方向性はこれでいいけど、説明が不足らしい。初見じゃ何言っているかわからないって言われてしまった。公聴会レベルの文章量でないと説明できそうにない。軽く絶望。


 あと、『みんな適当にやってるから、あんまり根を詰めすぎるな』と心配された。最近目が死んできているからちょっと心配らしい。遠まわしに鬱病の心配をされたのだろうか。


 なお、ハニカム班はサーボパルサーがまた止まって絶望していた。


 ぼちぼちとゼミ資料の修正をしていたら桐野に声をかけられた。なんでも、あいつの情報科の友人のところに、【検閲済み】から身に覚えのない就活関連のメールが届くらしい。どうも根川がメルアドを間違えて登録してしまったようなので、連絡を取ってほしいとのことだった。


 1211082と1221082だから間違えたのもしょうがない。きちんと連絡をしておいた。


 そうそう、今日はやたらと会計の申請が多かった。青松がテープを、柳下が三角コーナー用のネットを、世良さんがゴミ袋を購入。全部帳簿に記入する。柳下は自分のジュースとレシートを一緒にして出してきやがった。できれば分けてほしかったんだけど。


 中学時代、領収書をそんな風にして渡してきた先生を思い出す。あの野郎も私物と経費の奴をごっちゃにしてたうえ、期日に提出しなかった。何度もせっついてようやく出させたのを覚えている。あんな大人にはなりたくないものだ。


 夕方ごろに雨がひどくなる。落ち着くまで待っていたところにこもりんが襲来。変に関わるのも面倒なので目を合わせずに完璧に無関心を貫いた。後になって『俺らばっかに押しつけやがって!』と羽鳥と柳下に抗議される。


 こもりんは例のサーボパルサーについても言及してたんだけど、『【検閲済み】は繊細さがない』とかわけのわからないことを言っていた。さらに意味不明なことに、『動かないならサーボパルサーを傾けて油を集中させて使ってみろ』とも言っていた。


 使ったことないけど、明らかにクレイジーな発言だということは理解できる。どこの世界にそんなことをいう理系の人間がいるのだろうか。あ、ここにいた。


 リト●ノアでアーチェちゃんがSSRに進化した。くりくりおめめと丸っこいお人形さんみたいなお顔がちょうかわいい。やっぱやわらかい顔立ちの女の子は癒しになる。今どきの『カワイイ』と称される奴ってさ、化粧は濃いしキツネやヘビの顔立ちが多くて好きになれないんだよね。


 柳下はサーボパルサーを傾ける(笑)仕事があったので、今日は私が先に帰った。不毛な仕事を延々と続ける彼らに同情を隠せない。だから奴の仕事の丸付けは代わりにやっておいた。


 明日の天気はどうなるか。ちょっと楽しみ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ