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第497話・決着。フェイカー島の戦い

 

 膨れ上がる神モドキの正面に、2本のイカヅチが落下した。

 紫と白色のそれは、真なる血界魔装が顕現したサイン。


「アリサっち、ブラッドフォード書記! あのデカブツを倒すには––––3人による合体魔法、“ユニゾン・サード”しかありません。やりますよっ」


 ユリアの指示で、生徒会はすぐさま魔法の準備を開始した。

 目指すのは、かつてルールブレイカー戦で撃った合体魔法(ユニゾン・セカンド)以上のもの。


 3人は集まり、全神経を集中させて魔力波長を合わせる。

 同調自体はスムーズに進み、全員の魔力が数十倍を超えて膨れ上がったが……。


「ヤバい……! 身体が弾け飛びそうッ……!!」


 涙目で苦しむアリサ。

 ユリアとミライも例外ではなく、全身を尋常ではない激痛と吐き気が襲っていた。


 歴史上––––2人以上での合体魔法は、成功例が存在しない。

 今彼女たちは、人類史への挑戦を行なっているのだ。


「ッ!!」


 もちろんだが、これほど莫大な魔力を放出して“神”が黙っているわけがない。

 瘴気で覆われた巨大な手で、生徒会メンバーを叩き潰そうとして––––


「ぬぅんっ!!」


「だぁあッ!!」


 横から跳んできたラインメタル大佐とカレンが、残った全ての力で弾き返す。


「ここから先は不可侵だ、決して通させんよ」


「姉さんたちには、瘴気1つ触れさせやしない!!」


 2人の声が響いたと同時、雲を裂いて次々と航空機が姿を現した。

 航空母艦から発進した、第3次攻撃隊がようやく到着したのだ。


「撃ち込めっ!!」


 大佐たちが離れたと同時、150機を超える攻撃機から一斉にロケット砲が発射された。

 1機につき4発積んでいるので、述べ600発ものロケット弾が壁のように迫り––––


 ––––ドドドドドドドォンッ––––!!!!


 神の上半身を、集中的に大量の炸裂が襲った。

 爆発の規模は凄まじく、空が照らされるほどだ。

 顔面の形は半壊しており、明らかにダメージを負っている。


 だが、それでもなお生徒会に手を振り下ろそうとして……


「うわぁッ!?」


 神の右腕を、地上にすら届くレベルの大爆発が襲った。

 威力はさきほどのロケット弾攻撃を上回っており、肘から先を一時的に吹っ飛ばしてしまう。


「弾着!! 次弾装填、高め2!!」


 爆発の正体は、沖合に展開した連合海軍によるものだった。

 46センチ砲を持つ旗艦『グリフィス』を筆頭に、『ダイヤモンド』、『フォッグ・アイランド』、『マウンテン・キャッスル』が次々と斉射。


 精度を高めるため、火器管制レーダーをフルに使っての射撃。

 強烈な艦砲射撃によって、神は完全に足止めされた。


「わたしは……、わたし達は––––ここで勝たなければならないんですッ! 絶対に!!」


 ユリアの声と同時に、那由多の果ての奇跡が舞い降りる。

 3人の魔力波長が、ミクロ単位での同調に成功したのだ。


 成功の原因は––––


「3人共、多分同じ人のことしか考えてなかったからかな?」


 苦笑するアリサに、ミライが答える。


「この技はいずれ……アイツにぶつけるんだもん、当然じゃない」


 高まった魔力はイナズマを走らせ、地面を砕く。

 艦砲射撃と空爆によって、動きを止められた神へ––––最大最強、一撃必殺の魔法を撃ち放つ。


「捧げましょう、いつか竜王級すら倒すこの技を––––先に貴女へお見舞いしてあげます!」


 ユリア、アリサ、ミライの3人は全力全開で命を燃やした。

 全ては想い人のため、最大のライバルのため、倒すべき宿敵のため……全てを乗せた少女たちの魔法が発射された。


「「「合体魔法(ユニゾン・サード)––––『オーバーロード・ブラスト』ッッ!!!!」」」


 一瞬だった。

 3人の合体魔法は神をアッサリと貫き、大気をイオン化。

 上空で炸裂したそれは宇宙を照らし、オーロラを発生させてしまうほどの威力。


 もちろん––––


「やっ……った!」


 大きく爆散した神は、夕暮れの空へ霧散していった。

 瘴気は1粒残らず消え去り、空へと溶けていく。


 惑星の終焉は回避され、神の復活という『パーティー』は阻止された。

 3人共に、回復したばかりの魔力を使い切り、その場で倒れる。


「わたし達だけで……勝った! 初めて、アルスくんに頼らずに……!」


 満面の笑顔を見せるアリサに、同じく夜空を見上げたユリアが返す。


「これは第一歩です、あの方をいつか倒すための––––きっと、会長も喜んでくれるでしょう」


「じゃあそうと決まったら」


 ニッと微笑んだミライが、元気に声を出す。


「帰りましょう! 王都へ!」


 フェイカー島、最後の戦い。

 ––––勝者、王立魔法学園生徒会、および連合軍。


 もう二度と、フェイカーが作られることは無い。

 彼女たちは––––大天使との戦いに勝利したのだ。


続きは時間とモチベがあったら書くつもりです

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― 新着の感想 ―
[一言] 楽しく読ませてもらってたので是非続きを…
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