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第465話・空母機動艦隊

 

 ––––アルスフィア洋。


 ミリシア王国の存在する西のラロナ大陸、アルト・ストラトス王国がある東のグラジオン大陸。

 それらに両脇を挟まれた大海洋が、名をアルスフィア洋だ。


 この広大な海に、『連合王国艦隊』は決戦のため集結していた。


 雲の下、駆逐艦と巡洋艦に守られる形で航行する巨大艦の姿があった。

 長い木製全通甲板と、艦側面に艦橋と煙突––––何より“艦載機”を搭載した艦艇。


 アルト・ストラトス王国海軍所属、航空母艦『レッド・フォートレス』が波を切って移動していた。


 もちろんこれ1隻だけではない、数キロ間隔で他に何隻もの航空母艦が浮かんでいた。

 その数6隻、超大国に相応しい空母機動艦隊の姿だった。


 空母とは、洋上の飛行基地のようなもの。

 多数の戦闘機、攻撃機、爆撃機を搭載した大型艦艇を指す。


 長距離飛行が可能な艦載機部隊を用いて、敵の砲撃圏内の遥か外から攻撃できるロングレンジ戦法を得意とする。

 制空戦闘、対地攻撃、対艦攻撃を波状的に行うことができ、さらに最も高価な母艦は常に安全圏でいられる。


 これは、先進国の軍隊を持ってしても撃破困難な代物で、現状––––洋上艦において最強クラスの兵器だ。


「通信室長より艦長へ、ミサイル駆逐艦『アルフォン』より内火艇が発進。10分後に本艦へ接舷します」


 その報告を聞いて10分後、横付けされた内火艇から1人の男が空母へ乗り込んだ。

 彼は飛行甲板まで足早に登ると、待っていた艦長と対面する。


「本作戦を指揮することになった、ラロナ大陸方面軍統括作戦司令長官のルクレールだ。よろしく艦長」


「お待ちしておりました将軍、空母『レッド・フォートレス』へようこそ」


 挨拶を済ますと、ルクレールは周囲を取り巻く大艦隊を見渡した。


「綺麗な陣容だ……、高い練度がうかがえるな」


「もちろんです、我が第1機動艦隊は王国屈指の精鋭。さらに言えばその全艦艇を集結させているのですから……まさに圧巻でしょう」


「確かに、このセクターだけで50隻はいるな。しかも空母が7隻とは……出し惜しみは無しと見える」


 現在、連合軍は艦隊を3つに分けていた。

 1つはここ、フェイカー島より250キロの海域に展開する“第1機動艦隊”。


 先程も述べた通り、空母を中核とした部隊である。


「超戦艦『グリフィス』はもう先に行ったのか?」


「はい、第1打撃艦隊を率いて第1〜第15任務部隊の直掩へ。また大戦艦『ロング・ゲート』は、第16〜第30任務部隊の支援に就いています」


 もう2つは、上陸部隊を中核とした主力艦隊だ。

 こちらはフェイカー島から東西に70キロの海域へ位置する、文字通りの主力。


 2艦隊を合わせた総数はなんと800隻を超えるという、まさに海面を埋め尽くさんばかりの大艦隊だ。


 だが、それほどの部隊でも今––––フェイカー島へ近づくことはできなかった。


「ミサイル攻撃はどうなりましたか? 将軍」


 艦長の問いに、ルクレールは首を横に振る。


「全て防がれた、現状––––艦隊の接近は不可能だろう」


「では……」


「あぁ、予定通り“例のプラン”を使う」


 将軍が見たのは、空母と同様に護衛されている4隻の輸送艦。

 あれこそが、フェイカー島攻略の鍵となる存在を乗せていた。


 ––––ビーッ––––!!


 突如、艦に警報が発令された。


『偵察機より報告! フェイカー島方面から接近中の航空機多数認む! 速度400ノット、高度2000メートル、総数76。真っ直ぐ突っ込んでくる』


 けたたましいサイレンが鳴った。

 甲板作業員たちが、大急ぎで戦闘機の発艦作業に移る。


 対空砲に、次々と人員が配置されていった。


「上陸部隊ではなく、直接こちらを狙って来ましたか」


「想定内だ、艦橋に案内してくれ」


 飛行甲板から、次々とエンジンを唸らせた戦闘機が発進していった。


開 戦

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