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第448話・竜王級の秘密

 

「じゃあ教えてやるよ、竜王級の強さの秘密を」


 あらゆる含みを秘めた言葉が部屋に響く中、俺は大天使と真剣に向き合っていた。

 この場で俺は、「竜王級の果てにあるモノ」を手に入れることができるかもしれない。


 大天使は飴をなめながら、耳を傾けている様子だった。

 俺の話に興味津々のようである。


「竜王級の強さは、お前の言う通り体質に秘密があるんだ。端的に言えば……人間を超えた生存性を持つ」


 俺は何も、特殊能力を授かったわけではない。

 あるのはただ、“尋常ではないタフさ”と“反射神経”。


 これが何を意味するかは、もはや明確なもの。


「あまりにも頑丈だから、他の人間ではありえない出力で魔法を使える。それは生まれつきのもので、後天的には得ることができない。この特殊な体質が、竜王級を他の存在と区別する最も重要な要素なんだ」


 大天使は飴を口に含みながら、好奇心旺盛なまなざしでこちらを見つめている。

 俺の言葉に期待を感じているようだ。


「なるほどねぇ、だからアンタが纏うエンチャントは常人なら爆散する規模と」


「その通りだ、例えば––––」


 俺は座りながら、『身体能力強化(ネフィリム)』へ変身。

 黄金のオーラを激しく纏った。


「普通ならそこらへんの魔導士が、重い物を持ち上げる時に使うこの魔法……。俺ならただのパンチが戦車砲と同じ威力になる」


 大天使は飴を噛み砕きながら、ジーッとした目線を俺に注いでいる。

 こっちの言葉に、好奇心が高まっている様子だ。


「そしてこれが––––」


 立ち上がり、気合い一閃。

 黄金のオーラ加えて、紅色のオーラが混じり合う。

 2つの変身が混ざり合った先で、俺は蒼色の魔力を溢れさせた。


「『身体・魔法能力極限化(ブルー・ペルセウス)』。2つの変身の特性を合わせ持ち、さらにパワーアップ倍率は互いを掛け算した値となる。片方だけの時とは比べ物にならない」


「……なるほど、スカッドのヤツが負けたのも当然ね。やっぱりアンタは異物(アノマリー)だわ。それは人間に許される変身じゃない」


「だろうな。この竜王級の真の力は、他の存在とは比べものにならないほどのものだ。圧倒的な戦闘能力を持ち、驚異的な魔法を操ることができる」


「面白い……、でも弱点だってあるんでしょう?」


「まぁな、ここまで大きい力を使いこなすことは容易じゃない。力が大きければ大きいほど、当然その制御も難しくなる。ブルーの力を引き出すには、強大な意志と厳しい修練が必要になってしまう」


 その修練こそが、『神の矛』でのブラック労働だ。

 アレで数年鍛えられたからこそ、図らずも今の変身が可能になったと言える。


「簡単に言えば、お前の言う通り––––俺は異物なのかもな」


 ブルーを解く。

 俺は大天使に向けて、竜王級の秘密を語り続けた。

 ミニットマンは、ノートを取る新人バイトのように聞き続ける。


「さて––––以上が、俺がこの半年で得た竜王級としての経験と知識だ。手加減が大変なのは伝わったと思うが……」


 俺は椅子に座る。


「……どうも、お前には加減する必要が無さそうだ」


 ニッコリと笑う少女。


 このミニットマンという大天使は、今まで見てきた敵の中でレベルが数次元違う。

 俺が戦うという選択肢を避けたのも、おそらく『魔法結界』程度……簡単に破られると悟ったからだ。


 こいつが王都にいる時点で、俺と戦えば一体どれほどの人間が巻き添えで死ぬかわからない。

 極力犠牲者は出したくないし……。


 ここは敢えて情報を与え、あわよくばこっちも貰いつつ……帰ってもらうしか選択肢は無いのだ。


「じゃあお前の番だ、教えてもらおうか……“初代竜王級”について」


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