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第408話・蒼焔竜の鎧

遂にブックマーク4000件突破!!ありがとうございます!!

「いいね」件数も1700を突破しました!

 

「バカなッ……!! バカなバカなバカなバカなバカなバカなバカな!!! 僕の……、僕の恩寵がッ、蒼焔竜はあんなガキを選んだというのか??」


 真なる血界魔装へ変身したカレンを見て、アベルトは表情をグニャリと変えた。

 さっきまで自分が使っていた変身を取り返された上に、目の前で“完成”させられたのだ。


 器の違いをハッキリと見せられたことで、アベルトに動揺が走っているのは一目で分かった。


「勇者アベルト、わたしの兄さんを魔王だとか好き勝手言った罪……絶対許さない」


 ゴミを、虫を見る目で言い放つ。


 同時にカレンの足裏で焔が爆発した。

 大きく跳躍した彼女は、勢いを利用して勇者へ接近。

 蒼焔の斬撃を繰り出した。


「歯ぁ食いしばれッ!」


「ぬぅっ!?」


 大気を断割する程の斬撃。


 すかさず剣でガードするも、爆炎がアベルトの防御を崩す。

 生じた隙を、カレンは見逃さない。

 今までとは比べものにならない身のこなしで体術を繰り出し、連撃を叩き込んだ。


「だあぁッ!!」


 彗星のような一閃が、アベルトをいとも簡単に弾き飛ばす。

 地面を無様に転がったヤツは、血塗れの顔を抑えた。


「さっすがわたしの妹! 何アレめっちゃ強いじゃん!」


 興奮状態のミライが、指を指しながら見惚れていた。

 これが覚醒したカレンの実力……、兄として嬉しさが込み上げる。


 見たかという思いでいっぱいだった。

 とりあえず、やるべきことは決まったと言って良い。


「ミライ」


「あっ、はい。なんでしょう?」


 振り返った彼女の前で、俺はブルーを解いた。


「悪いが魔法結界の維持を引き継いでくれ、もう魔力が残ってない」


「マジで……まぁ別に良いけど。アンタほどデカくは張れないからね?」


「良いよ、その代わり強度だけは限界まで高めておけ。何があっても全体が破れないようにな」


「う、ウッス」


 ミライが杖を両手で握ると同時、俺は前を見据えた。


「カレン! ミライは結界の維持で動けなくなった。ってなわけで喜べ––––お前の能力を愚弄した勇者とタイマンできるぞ」


「フンッ」


 カレンの身体から、火災にも近い焔が溢れ出る。

 完成した血界魔装は、もはや衣と比較になどならない。

 強さの次元そのものが変わっていた。


「アルス兄さんはどうするつもり? どうせ、またなんか考えてんでしょ?」


 さすがは俺の妹、こちらの意図をもう汲んでくれている。


「魔力が無くなっても……、やれることが一応あるんでな」


「なるほど、つまり––––」


 剣が構えられ、アベルトに向けられる。


「あのクソ野郎とタイマンできる代わりに、アルス兄さんの用意する奥の手––––その時間稼ぎをしろってことでしょ?」


「察しが良くて助かるよ、今のお前なら負けないだろ?」


「当然っ」


 瓦礫を足場にジグザグで機動したカレンは、空中で魔力を集約させた。


「竜装––––『蒼焔竜尾』ッ!!」


 剣が焔で包まれ、極端なほどリーチを増した。

 長さにして、80メートルはあるだろう。


 振り下ろされた刃は、鞭のようにしなる焔となって街を叩き割った。

 間一髪で回避したアベルトが、カレンへ向かって飛翔。


 剣撃の弾幕を掻い潜った。


「僕は選ばれたんだ……! 選ばれてここにいる、貴様ら神に逆らう魔王を打ち滅ぼすため、天使による神命を果たすため!!」


 突っ込んで来たアベルトを、カレンは剣に走らせた極太の焔でもって迎え撃った。


「街を破壊して、奪った能力で殺人を代行するのが神命? 笑わせる! どっちが悪の魔王よッ!!」


 勇者のくだらない寝言を、実力と正論で叩き切るカレン。

 空中の戦いを見つめながら、俺は精神を統一する。


「痛覚も感じず、とにかくタフな勇者相手に……通常攻撃は効きにくい。ならっ」


 屋根の上に飛び移った俺は、両手を前へ向けた。

 とっておきの、最終兵器を発動する。


「最初から痛みなど––––、感じさせなければ良いっ」


 俺の瞳が、“金色”に染まった。


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