第344話・ここまでは予定通り
本話はいつもよりボリューム少なめで構成しています。
っと言うのも、現在作者の私が朝から晩まで39度の高熱を出し続けているためまともに執筆できないからです。
読者諸氏には申し訳ないですが、本当に体調が悪いためご容赦いただければ幸いです。
「あっ、会長!」
すっかり荒れ果てた庭園に出た俺は、1人の天界騎士を縛り上げる最中のユリアに遭遇した。
状況から察するに、こいつが今回襲ってきた敵の隊長格だろう。
決して弱くはないはずだが……、まぁ相手が悪かったな。
「お疲れユリア、ミライとアリサは?」
「2人も今、担当区画で生捕りにした天界騎士を捕縛中かと。それより会長––––」
駆け寄ってきたユリアが、俺に耳打ちする。
「会長を疑うことは断じてありませんが……、間違いないんですよね?」
「あぁ、さっきコッソリ宝物庫へ下見に行ってきた。確実だ……フォルティシアさんの神器『インフィニティー・ハルバード』はあそこにある」
俺たちの周囲で、王城専属魔導士たちが破損した建物の修復を始める。
時間を巻き戻すように、砕けたレンガが綺麗に積み重なっていった。
「良いかユリア、こんな天界の雑兵共は前座に過ぎない。今夜––––ヤツは残りの宝具を一挙に回収しようとしてくるだろう。その時は……」
言いかけた俺の肩を、ユリアが笑顔で叩く。
「わかってますよ、プランは予定通り。世界一の天才であるわたしにお任せください」
頼り甲斐のある彼女の言葉を聞いた俺は、頷き返した後に捕縛された天界騎士の下へ向かった。
全身血塗れで、ユリアに完敗したのだと一目でわかる。
「お前が隊長か?」
「ゲフッ……お前か、伝説の竜王級ってのは……なるほど。俺たちはお前が出るほどの相手ですら無かったわけか」
「そう言うことだ、そして単刀直入に聞く––––誰の指示で王城を襲った?」
「…………」
「まっ、普通答えないわな。良いよ……今はお前たちに構ってる暇が無い、後は大人のマスターたちに任せる」
そう言って背を向けた俺に、天界小隊長は一言だけ放った。
「聞いてた通り……“あの方”と似ている、特別な匂いだ……。負けるとわかっていても––––一度お前とは戦ってみたかったな」
俺は足を止めずに、そのまま修復の終わった庭園を後にした。
ここからが––––本番だ。




