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第342話・竜たちの集い

 

 流れが変わった––––


 戦況は、近衛連隊が蹂躙されていた状態からまさしく一変。

 王城のあちこちで、一騎当千の無双ぶりを発揮していた天界騎士たちが次々に悲鳴を上げているのだ。


「なんだこいつ……! 神力熱線も対人炸裂刃も効かねえッ!! 一体どうなってんだ!!」


 王城北部で10人の天界騎士と対峙していたのは、ツーサイドアップの髪と美しい瞳を紫一色に染めた少女。


「俺たちのジェットも、兵装も一切が無力化されるなんて……」


 天界騎士たちが見つめる先には、腰へ手を当てながら不敵に笑う人間。

 生徒会会計にして、魔壊竜の名を持つ者––––アリサ・イリインスキーだった。


「もう一度だ!! 対人炸裂刃––––撃てぇッ!!」


 先程対空砲を粉砕した兵装が、騎士たちの肩部分から一斉に発射される。

 しかし眩く光るそれら弾幕は、アリサに近づいた瞬間火を消すように消滅してしまった。


「バカなッ!!」


「バカなも何も、わたしに魔力や神力を用いた攻撃は一切効かないよ。こう見えてドラゴンなんで……」


「クソッ……、“魔壊竜オーニクス”の力か! なぜ血界魔装が再び人間の手に––––」


 そこまで言いかけた天界騎士は、強制的に黙らされた。

 地を蹴ったアリサが、鉄球よりも重い蹴りを叩き付けていたからだ。


「オーニクスのパワーは今、わたしと一緒にある。それが––––」


 周囲の天界騎士が、ホウキでゴミを払うがごとく薙ぎ払われる。

 それを表すなら暴力の嵐、拳の乱流だった。


「わたしが愛した––––竜王との誓いの証だからッ!!」


 兵装を使えない天界騎士など、アリサが持つ体術の前では無力極まりない。

 ドラゴンのパワーを纏った彼女は、雑兵と化した天界旅団を一気に叩きのめしていく。


「クソッタレがああぁああッ!!」


 最後に残った3人が、腕部分からエネルギーソードを錬成して斬りかかった。

 それでも……。


「言ったでしょ、わたしに魔法は––––」


 アリサに触れた瞬間、高密度のエネルギーソードがバターのように溶けて消え去る。

 最後に見えたのは、余裕の表情を浮かべるアリサの顔だった。


「絶対効かない」


 回し蹴りの1つで、3人の天界騎士が蹴散らされた。

 別の場所でも、同様の光景は広がっていた––––


「出力全開ッ!! エネルギーを全部推進力に回せッ!!」


「駄目だ! 逃げきれない!! 後続がまた堕とされたぞッ!!」


 王城の壁面をなぞる高機動で、天界騎士の一団はマッハの速度を出しながら飛行していた。

 さっきまで悠長に行っていた攻撃のためではない、必死に“逃げる”ためだ。


「チイッ!! 古代帝国の遺産が! 調子に乗りやがって––––」


 後方へ向けレーザーを乱射しながら悪態を吐く天界騎士も、言葉を終える間すらなく叩き落とされた。


「単装対空砲にはイキれても、所詮マッハ止まりね。昨日のアルスの飛行速度には到底及ばない」


 城の側面を、超高速で反射するピンポン球を思わせる動きで雷流が走っていた。

 イナズマは壁を蹴り、飛行する天界騎士と交差した瞬間に食らい付く。


 遅れて轟く雷鳴は、彼らの恐怖を倍増させた。


「雷轟竜ライガルアクス……!! なぜ貴様がヤツの力を纏っている!」


 回避運動を取る騎士に、ミライは肉薄しながら答える。


「竜は竜王の下に集う––––自然なことでしょ?」


 雷轟竜の衣へ変身した彼女にとって、音速など自分の下位互換に過ぎない。

 ノロマな亀を、ハンマーで叩き潰すのと難易度はさして変わらないのだ。


「滅軍戦技––––!!」


 天界騎士たちの真正面に回り込んだミライは、ペン型魔法杖に魔力を溜める。

 眩い光が敵を照らした瞬間、臨界点を迎えた魔法は大爆発を起こした。


「『天界雷轟』ッ!!」


 城の隙間を埋め尽くす勢いで、強烈な雷撃が走り回った。

 イカヅチが、飛行していた天界騎士たちをまとめて叩き落とす。


 慣性に引っ張られた敵が、ドサドサと地面に落ちていった。

 その様子を、1人の天界騎士が高空でジッと見つめる。


「魔壊竜に雷轟竜……、まさか人間共が再び血界魔装を会得していたとはな。っと!!」


 上空でホバリングしていた天界小隊長グリペンを、高密度の火炎砲が掠めた。


「残りは貴方だけですよ、愚かな天界の兵士さん?」


 眼前に飛行スーツも無く、肩近くまで金髪を伸ばした少女が浮いていた。

 その手に握られている武器を見て、グリペンは初めて豪傑な顔を歪ませた。


「黄金の神器……、女神アルナ様が作りし『インフィニティー・シリーズ』。天界最強の宝具をなぜ貴様がっ! とても人間ごときでは扱えんはずだ!!」」


「これは我が家に代々伝わる家宝ですよ、でもそうですか……人間如きでは扱えないんですか。フフッ……けどこう見えてわたし––––」


 身体から他の誰とも比較にならない魔力を放出したユリアは、今まさに扱えないと断言された神器を––––アッサリ取り回して見せた。


「天才ですので」


 生徒会副会長、ユリア・フォン・ブラウンシュヴァイク・エーベルハルトは轟然と小さな体で襲い掛かった。



遅ればせながら報告! 総評価ポイントが15,000ptを超えました!!

なろうにおいては非常に多大な数値です。

いつも応援、ありがとうございます!!

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