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第277話・滅竜王アルス・イージスフォードVS女神レイ・イージスフォードⅡ

 

 世界に鐘の音が響き渡った。

 圧倒的なブルーの魔力が空間をたゆたう。


「さぁ女神……、こっからが本番だぜ」


「ッッ……!! ざっけんな、ざっけんなざっけんなざっけんなざっけんな!!! どこまで世界を愚弄すれば気が済むのよ!! お兄ちゃん、今自分がどんな存在になってるかわかってるの!?」


『滅竜王の衣』×『ブルー・ペルセウス』、理すらねじ破った変身をする俺にレイは激昂していた。


「さぁな、でも今のお前よりかはよっぽどマシだろうぜ」


 さっきまでとは次元が違うスピードで、俺はレイの首を蹴り飛ばした。

 蒼いオーラが光跡として残る攻撃に、レイが荒んだ地面へ転がり落ちた。


 さっきとはパワーも違いすぎる。

 憤怒と慟哭に染まった女神は、ユラリと立ち上がって正面から突っ込んでくる俺へ迎撃体勢を取った。


「お兄ちゃん!! わたしはあなたを助けたいだけなのッ!! 竜王級という不遇でゴミカスな体質を、他でもないこのわたしが消してあげるのよ!?」


 レイの周囲に、10を超える魔法陣が浮かんだ。

 それら全てから、瓦礫を溶断するレーザーが放たれた。


「わたしがお兄ちゃんを解放するッ! だから––––そんな薄汚い女共の力、早く捨ててよッ!!!」


 レーザーの猛激を掻い潜った俺は、ブルーのオーラをバリア代わりにして肉薄した。


「クッ!!」


 女神が神速で振った剣は空を斬る。

 既に俺の目には、ガラ空きとなったレイの背中が見えていた。

 ヤツの目ですら捉えられない、超高速移動で回り込んだのだ。


「わかってねぇのはお前だレイ、俺はテメェなんかに微塵も救済なんざ求めてねぇ」


「嘘を言わないでッ!!」


 振り向きざまに放たれた雷撃ごと、俺はレイの頬を思い切り蹴り飛ばした。

 小さな前歯が宙を舞う。


「ガッフッ!?」


 大量の血を吐き出したレイは、よろめきながらも剣を横一閃に放った。

 空間ごと切り裂かれる攻撃を、またも俺は空へステップしてかわす。


 レイの背後に着地したと同時、両手に赤い劫火をたぎらせた。


「星凱亜––––『火星獣砲』ッ!!」


 地面を抉って撃ち出された2発の魔法は、女神へ一直線に飛んで命中した。

 爆炎が女神を覆うのも待たず、俺はさらにブルーの魔力を高めた。


「はぁあああッ!!!」


 1発ですら強力な『火星獣砲』を、これでもかと連射しまくる。

 攻撃している間にも出力はドンドン高まり、最初は赤かった魔法も高熱化して青く染まった。


「この勘違い馬鹿女神が! 俺がなぜこんなに怒ってるかもその調子じゃわかんねえだろうな」


「ぐあっ……あぁッ!! がああ!?」


「お前はミライの言った通り––––究極のお節介なんだよ! 人がやっと掴んだホワイトな生活を邪魔して救済だ? 抜かすんじゃねえ! 全部お前の自己満足じゃねえか!」


 黒煙で見えなくなっても、俺はお構いなしに右手を掲げた。

 蒼い焔が凝縮され、みるみる内に火球を形成していく。


「くだらない幸福感を得るために、お前は俺の家族を傷つけた!! 断じて––––それだけは看過できんッ」


 形成した火球を高密度に凝縮し、俺はレイめがけて全力で投げつけた。


「星凱亜––––『太陽神越陣』ッ!!!」


 眩い閃光の後、激烈な大爆発が発生する。

 これがトドメとなったのだろう……崩れ掛けだった要塞を木っ端微塵に砕き、空がより一層の蒼で照らされた。


 土の地面へ着地した俺は、眼前に堕ちた神を見つめた。


「……はっ、はは。あっはは…………」


 砂塵が晴れる。

 レイは立ち上がると、血まみれの顔をゆっくり俺へ向けた。


「そうか……お兄ちゃん。お兄ちゃんはもうわたしの知ってる、わたしだけのお兄ちゃんじゃないんだね……」


 女神から垂れた血が土へ染みた。

 なんの作用か、血痕から無数の薔薇が咲き誇った。

 棘だらけのそれは、まさしく魔性の神となったレイを象徴していた……。


「だったら……取り戻すっ、わたしのお兄ちゃんをッ!! わたしだけのお兄ちゃんを!! お前はもうわたしの知るお兄ちゃんじゃない! お前は別人だッ!! お兄ちゃんがいないこんな世界なんて––––全部滅ぼしてやるッ!!!!」


次回決着

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― 新着の感想 ―
[良い点] レイたん、極端やったな… ○ゥみたいに、来世でまた会うパターンになるか?! [一言] これは完全に○ジータさんがダメ押しでエネ○ギー弾を連射して一帯が破壊される光景のやつやん… ↓ …
[一言] 世界を壊すって、そんな事竜王級がさせると思うの? そんなに救済したいんだったら、まずはお前を救済してやるよ!って言いながら、聖剣を素手で叩き壊し、動けないように四肢を打ってしまえばいい。 …
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