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第235話・大公式戦トーナメント期間

 

 大公式戦トーナメントの期間が始まった。

 俺の予想では、校内のあちこちで朝から魔法バトルが繰り広げられるだろう、俺はきっと平穏に過ごせるだろうと……淡い期待を抱いていた。


 結果から言おう––––予測は大外れだった。


「来たな生徒会長!! あんたに公式戦を申し込むぜ!!」


 朝一番に登校した俺は、数百人の生徒からなる待ち伏せを食らった。

 こうなってしまったのは、ひとえに“特殊ルール”のせいだろう。


「どうだこの人数、お前に挑みたい連中はなんとこんなにいるんだぜ?」


 先頭の男が得意げに両手を広げる。


 通常であれば1対1が基本の公式戦だが、この期間中だけに限ってはランキング上位者に対して複数人で挑むことができる。


 つまり、学園1位である俺に対してレイドバトルが勃発してしまったのだ。

 聞けば、この日のために学園裏サイトなどを通じて対竜王級のメンバー募集が密かに行われていたとのこと。


 1対1では勝機がないと悟った連中が、呼びかけに応じて次々に参加を表明。

 その数は指数関数的に膨れ上がり、総数300を超える大軍団が結成された。


 実に在学生徒の“半分”を占める数だ。

 しかも、全員がエルフ王級魔導士である。


「公式戦条約に人数の制限はねぇ、俺たち“ドラゴンスレイヤーズ“はアンタに勝負を挑む。まさか……ここで逃げるとは言わねえよなぁ? 生徒会長」


 リーダーと思しき彼の名は……確かカルロス・リード。

 生徒会長選で投票にまで漕ぎ着けるも、俺に敗れた会長候補の1人。


 ランキングは当時5位で、今は10位にまで下がっていたはず。

 なるほど……あの時のお返し、っというわけか。


「逃げるもなにも、最初から逃す気なんかサラサラないんだろう? 元5位さん」


「そういう訳だ、いくら竜王級と言えどもこのエリート300人からなる軍団には絶対勝てねえよ。あのエーベルハルト副会長を倒したのは見事だが、その快進撃––––ここで終わりだ」


「律儀にトーナメント期間まで待った忍耐は認めるけど、本当に良いのか?」


「何がかな? もし降参したかったらすぐ言ってくれよ? 今なら生徒会長の椅子で白旗を認めるぜ」


 全く……なぜ選挙に負けたか、未だに理解していないらしい。

 俺はカバンを地面に置くと、右腕を上げた。


「300人の大軍団––––ドラゴンスレイヤーズへ告げる」


 パチンと指を鳴らすと同時、『魔力結界』が学園を一瞬でスッポリ覆い尽くした。

 それは既に安定化されており、たとえ学園が更地になろうとも復元可能。


 突然の結界展開にどよめきが起こる。

 同時に奴らへ、俺は最後通牒を送りつけた。


「逃げるなら今だけ認める。覚悟のできたヤツだけ残れ」


「ッ……はっ、じょ、冗談じゃないな。俺たちは今日この日のために! お前を1位から引きずり下ろすべく、決起した!! 今さら逃げられるかよ!!」


「良いよわかった……その度胸っ、竜王級として正面から受け止めよう」


 俺の身体から金色のオーラが溢れ出し、吹き荒れた。

 周囲の風が暴れ狂い、『身体能力強化(ネフィリム)』の暴力的な魔力爆発が校舎のガラスを全て叩き割った。


「ッ!!?」


 ようやく誰に喧嘩をふっかけたか、ここで理解した者もいたようだがもう遅い。


「や、やれッ!! 掛かれッ!!! 恐れるな––––こっちは300人の大軍勢!! 散々メタって対策もしてきたんだ!! 竜王級を物量で踏み潰せ!!!」


 大公式戦トーナメント期間は、早朝から300人の学園生徒VS俺1人という大規模公式レイドバトルで開幕した。


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